東周列國志第一百回 魯仲連が秦を帝と認めず、信陵君が符を盗み趙を救う (魯仲連不肯帝秦  信陵君竊符救趙)

子楚、秦の東宮に入る

  • 呂不韋は王孫異人(子楚)を伴い咸陽に至り、太子安国君と華陽夫人に拝謁させる。異人は夫人の出身である楚の装束をまとって現れ、母への思慕を演出。夫人は喜んで彼を養子とし、名を「子楚」と改めさせる。
  • 子楚は趙で受けた危難と呂不韋の助けを語り、安国君は不韋に領地・邸宅・黄金を与えて厚遇する。

公孫乾の自刎

  • 趙の公孫乾は異人の脱出を知り、呂不韋の計略にはまったことを恥じて趙王に自ら罪を上表し、剣に伏して死ぬ。
  • (詩:見張りの油断と自刎の末路を嘆く内容)

魯仲連、秦帝説を退ける

  • 秦軍に邯鄲を包囲された趙は魏に援軍を求めるが、魏の客将新垣衍は「秦を帝と奉れば囲みは解ける」と説き、平原君も決めかねる。
  • 斉の弁士魯仲連が平原君を訪ね、新垣衍と対面。秦が帝を称えれば諸侯の大臣は入れ替えられ、王侯も辱めを受けると説き、殷紂の故事を引いて説得。新垣衍は帝秦の議を取り下げて魏へ帰り、秦王もこれを知って包囲を緩めるが解かず、汾水に退いて陣を固める。

信陵君、侯生・如姫の計で兵符を盗む

  • 平原君は信陵君無忌に救援を求めるが、魏王は動かず。信陵君は独力で秦軍に赴こうとし、夷門で門番の侯生に別れを告げるが、侯生の態度に違和感を覚えて引き返す。
  • 侯生は、王の寵姫如姫が父の仇討ちで信陵君に恩義を感じていることを明かし、如姫に兵符を盗ませて晋鄙の軍を奪う策を授ける。あわせて力士朱亥を同行させ、晋鄙が従わなければ討つよう勧める。如姫は兵符を盗み出し信陵君に渡す。侯生は同行できぬ詫びとして見送りの車前で自刎する。
  • (詩:魏王の臆病と侯生の計略、如姫の働きを詠う内容)

晋鄙誅殺と趙救援

  • 邯鄲の民は窮乏し降伏論も出るが、食客李同の献策で平原君は私財を投じて敢死隊を組織し、秦軍に夜襲をかけて士気を保つ(李同は戦死)。
  • 信陵君は鄴で晋鄙に兵符を示すが、晋鄙は不審を抱いて交代に応じず、朱亥がその場で鉄槌で打ち殺す。信陵君は軍を掌握し、老兵・独子を帰して精鋭八万を選び秦軍を攻撃。平原君も呼応して秦軍を大破し、王齕は退却、秦は包囲を解く。鄭安平の軍は退路を断たれ魏に降伏。

趙王の謝意と信陵君の謙譲

  • 趙王は信陵君の功を厚く謝すが、朱亥は「人に施した恩は忘れよ、受けた恩は忘れるな。魏王を欺いて兵権を奪ったことは魏に対する罪でもある」と戒め、信陵君は自らを恥じて謙譲する。
  • 趙王は鄗の地を信陵君に与えようとするが固辞の末に受ける。信陵君は魏に帰れず趙に留まる。魯仲連は褒賞を固辞して去る。
  • (詩:魯仲連の高潔を讃える内容)

毛公・薛公との交遊と平原君への諫め

  • 信陵君は趙の隠士毛公・薛公と親しく交わる。平原君がこれを軽んじる発言をすると、信陵君は「賢士を求めぬ者は真の賢者ではない」と怒り、趙を去ろうとする。平原君は自らの非を悟って謝罪し、信陵君は留まる。以後、士は平原君を離れ信陵君に帰した。
  • (詩:貧賤の交わりを厭わぬ信陵君と平原君の見識の差を詠う内容)

魏王、如姫と顏恩を赦す

  • 魏王は信陵君の兵符窃取を知って怒り、如姫と顏恩を罰しようとするが、如姫は自ら罪を負うと申し出て弁明。魏王は怒りを収め、如姫を冷宮送り、顏恩を放免するにとどめる。
  • 秦軍敗退の報が届くと魏王は如姫らを赦免。如姫は信陵君の帰国を願うが、魏王は邑禄を届けるのみで帰国を許さない。

范雎、鄭安平連座の危機

  • 秦は敗戦で帰国。太子安国君と子楚が出迎え、呂不韋の功を称え客卿に封じる。降魏した鄭安平の一族は誅せられ、彼を推薦した丞相范雎も秦法により連座の危機に立たされる。