東周列國志第六十三回 老祁奚が力を尽くし羊舌を救い、若い范鞅が知略で魏舒を脅す (老祁奚力救羊舌  小范鞅智劫魏舒)

欒盈の党与の粛清

  • 范鞅が兵で叔虎の邸を包囲し、証人の章鏗を叔虎に殺されたことで攻撃に転じる。叔虎・箕遺は火中を突破しようとするが乱箭に倒れて捕らわれ、荀吳の別動隊も黄淵を捕らえる。范匄は残党を徹底的に捜索させ、智起・籍偃・州賓・中行喜・辛俞、さらに叔虎の兄弟である羊舌赤・羊舌肹までも朝門に拘留させ、平公の裁断を仰ぐこととなった。

祁奚の救命嘆願

  • 羊舌赤(伯華)・羊舌肹(叔向)兄弟は、庶出の弟・叔虎とともに拘留される。寵臣の楽王鮒が助命を申し出るが、叔向はこれに応じず「頼れるのは祁奚老大夫だけ」と述べる。
  • 平公は楽王鮒の讒言により兄弟も欒党とみなし投獄。すでに致仕していた祁奚は急報を受け、老骨に鞭打って范匄のもとへ駆けつけ、「羊舌職の功に免じ、罪なき兄弟まで巻き込むべきでない」と説く。范匄はこれに動かされ、共に平公へ赦免を訴え、羊舌赤・叔向は赦されて復職した。叔向は祁奚に礼を述べに行かなかったが、それは「私心なき恩に報いを求めるべきでない」との高い見識によるものだった。叔虎・箕遺・黄淵は処刑され、州賓も後に范匄の刺客により殺された。

欒盈の楚・斉への亡命

  • 曲沃の大夫・胥午はかつて欒書の食客であった縁から欒盈を厚遇する。晉から追討軍が迫ると欒盈は戦わず出奔することを選び、まず楚へ逃れるが、祖父の代からの因縁を憚って楚を頼らず、家臣・辛俞の助けもあって斉へ向かう。辛俞は「三代仕えた主君は君と同じ」と欒盈への忠義を貫き、追ってきた守門吏に捕らわれても信念を曲げず、平公に許されて欒盈のもとへ向かった。

斉荘公の欒盈支援と崔杼の私怨

  • 好戦的な斉荘公は勇士を集めた「勇爵」を新設し、殖綽・郭最ら九人を選抜。逃れてきた欒盈を、晏嬰の諫めを退けて厚遇し、州綽・邢蒯を人質同然に召し抱える。旧敵同士の州綽・邢蒯と殖綽・郭最は互いに反目するが、荘公は「龍爵」「虎爵」に分けて調停した。
  • 荘公の重臣・崔杼は、亡き棠公の未亡人・棠姜を後妻に迎えていたが、荘公が棠姜と密通していることを知り、深く恨みを抱いて弑逆の機をうかがうようになる。

欒盈の晉侵入計画と失敗の予兆

  • 荘公は崔杼の入れ知恵(実は荘公を陥れる策略)により、欒盈を曲沃に送り込んで反乱を起こさせ、斉軍と呼応して晉を挟撃する計画を立てる。家臣の辛俞は諫めが容れられぬと悟り自刎して忠義を示した。
  • 欒盈は曲沃の胥午の兵を糾合し、旧知の魏舒(魏絳の子)の内応の約を得て絳都への夜襲を決行、守りの薄い南門を破って城内に突入する。范匄は急報を受け、婦人に変装して固宮に逃げ込み、子の范鞅を魏舒のもとへ走らせる。范鞅は出陣寸前の魏舒の車に強引に乗り込み、剣を突きつけて向きを変えさせ、固宮へと連れ去るところで本回は終わる。