東周列國志第二十七回 驪姫が奸計で申生を殺し、献公が臨終に荀息へ託す (驪姬巧計殺申生  獻公臨終囑荀息)

驪姬、里克を懐柔しようとする

  • 虞・虢を併合しても、驪姬は太子廃立の功を独占できず不満を抱く。優施は「荀息を奚齊・卓子の傅にすれば里克に対抗できる」と献策し、驪姬はこれを実現させる。
  • さらに驪姬は、太子派の重臣里克を篭絡する策を優施に相談する。優施は「利害を説けば里克は日和見に傾くはず」と述べ、里克の家で酒宴を開くことになる。

《暇豫》の歌で里克を揺さぶる

  • 優施は里克の家で酒宴の席で舞い、「暇豫」という歌を歌う。歌の趣旨は、繁った木(母が夫人である子)には鳥が集まり、枯れ木(母を失った子)は斧で伐られる運命にある、というもの。
  • 里克は歌意を察し、夜半に優施を呼び出して問い詰める。優施は「献公は驪姬に約束し、太子を殺して奚齊を立てる腹づもりだ」と告げる。
  • 里克は「従君して太子を殺すことはできぬが、太子を助けて君に逆らうこともできぬ」と迷い、優施は「中立」を勧める。
  • 里克は大夫丕鄭父にこれを相談するが、丕鄭父は「中立と言えば太子は孤立し、禍は避けられない。むしろ太子派を固めて機を見て君の意志を翻すべきだった」と諭す。里克は後悔するが、既に「中立」と答えた後であり、傷を装って朝廷を欠席する。 (詩:優施の一曲の歌が太子の運命を決めたことを嘆き、日和見に走った大臣の見識のなさを皮肉る内容)

驪姬、申生を陥れる

  • 驪姬は献公に「太子を召して自分が親しみを示せば疑いも解けよう」と勧め、申生を宮中に招く。宴席で驪姬は「太子に無礼な言動をされた」と献公に讒言する。
  • 驪姬は蜜を自分の髪に塗って蜂蝶を集め、申生に「追い払ってほしい」と頼む。それを遠くから見ていた献公は、戯れを痴情と誤解し激怒するが、驪姬は「宮中の恥を表沙汰にすべきでない」と留める。申生は曲沃に帰される。

毒殺の陰謀と申生の自害

  • 献公の外出中、驪姬は「亡き齊姜(申生の生母)の霊が飢えを訴える夢を見た」と偽り、申生に祭祀を行わせ、供物の肉を献公に献上させる。
  • 帰宮した献公の前で、驪姬は酒と肉に毒を仕込み、地に酒を注ぐと地面が膨れ、犬に肉を食わせると即死し、小内侍に飲ませても即死する様子を見せて申生の謀反と装う。
  • 驪姬は泣いて自ら毒を飲もうとする芝居を打ち、献公の怒りを申生に向けさせる。献公は群臣を集めて申生討伐を諮り、東関五を将として曲沃へ派兵する。
  • 太傅杜原款は申生に弁明するよう勧めるが、申生は「弁明すれば驪姬を憎み父を辱めることになる」「逃げれば父を弑逆した汚名を着ることになる」として拒み、狐突への遺書を残して自ら首を吊って死ぬ。
  • 東関五は事後に到着し、杜原款を捕らえて献公に報告する。杜原款は無実を叫ぶが、驪姬の指図で殺される。

重耳・夷吾への疑いと出奔

  • 東関五・梁五は次に公子重耳・夷吾に矛先を向けるよう驪姬を煽り、驪姬は「二公子も申生と共謀していた」と献公に讒言する。二公子が父の訃報も聞かず帰国途中で引き返したことも疑いの根拠とされる。
  • 献公は勃鞮に命じて蒲の重耳を、賈華に命じて屈の夷吾を捕らえさせる。狐突は次男狐偃を蒲へ走らせ重耳を逃がすよう助言する。
  • 勃鞮は蒲城を攻め、重耳は狐毛・狐偃と共に脱出するが、勃鞮の剣で衣の袖を斬られる際どい場面もあった。三人は翟国へ亡命する。
  • 翟に逃れた重耳の元には、趙衰・胥臣・魏犨・狐射姑・顛頡・介子推・先軫ら多くの晋の名士が馳せ参じる。魏犨は蒲人の力を借りて挙兵し晋都を襲うよう主張するが、重耳は「君父を驚かすことはできぬ」と退ける。 (詩:重耳に付き従った臣下たちの顔ぶれと結束を賛美する内容)
  • 夷吾のもとには郤芮・呂飴甥・虢射が集まる。夷吾は賈華の追撃を逃れ、郤芮の勧めで秦に近い梁国へ亡命する。
  • 献公は梁五の進言で群公子をすべて追放し、奚齊を世子に立てる。

献公の死と荀息への託孤

  • その秋、献公は病に倒れる。驪姬は「幼い奚齊の身が案じられる」と泣訴し、献公は忠臣荀息に幼君の後見を託す。荀息は「死を賭して忠を尽くす」と誓う。
  • 献公は間もなく薨去し、十一歳の奚齊が荀息の輔佐のもとで喪主となる。荀息は上卿に任じられ、梁五・東関五が左右司馬として兵を掌握し、国内の異変に備える(続きは次回)。