說岳全傳第25回 王横は橋を断ち渡し場を独占し、張邦昌は偽詔で忠良を害する (王橫斷橋霸渡口 邦昌假詔害忠良)
(詩:吊客・喪門といった凶運が重なるように、岳飛が次々と災難に見舞われる様を詠む)
吉青に禁酒を誓わせ出立
- 岳飛は上京にあたり金兵の渡河を懸念し、吉青に茶を酒の代わりとして禁酒を誓わせる。元帥への伝言を託し、張保を連れて京へ向かう。
断橋の渡し守・王横
- 途中、橋が壊れており、船で渡ろうとすると、船頭は法外な渡し賃を要求する。実は船頭は岳飛たちの荷や馬を狙い、川の途中で仲間の張保を落とそうと企むが、張保に見破られ返り討ちに遭い川に落とされる。
- 対岸に着いた後、船頭は熟銅棍を手に追いかけてきて渡し賃を要求、張保と斬り合いになるが、岳飛が仲裁に入る。
- 船頭は「天下でただ二人、渡し賃を取らない相手がいる。忠臣の李綱丞相と、湯陰県の岳飛だ」と語り、岳飛本人と知って平伏する。名は王横、揚子江のほとりの生まれで、岳飛を慕い橋を壊して路銀を得ようとしていたのだと明かす。岳飛は彼を仲間に加える。
- 王横は妻子に別れを告げ、身軽な足で張保と競うように走り、岳飛は二人を「馬前張保、馬後王横」とからかう。
分宮楼での謀略と投獄
- 京の城門で張邦昌の行列に出会い、岳飛は同道して参内することになる。分宮楼の下で待たされている間、高宗は寵姫・荷香に誘われ月見のため分宮楼へ行幸する。
- 岳飛が跪いて出迎えると、内監が「刺客だ」と叫び捕らえられる。荷香は「聖旨に背いて上京しなかった岳飛が、無断で宮中深くまで入り込み暗殺を図った」と讒言し、酔った高宗はその場で斬首を命じる。
張保、李綱を担いで救出に走る
- 張保は太師・李綱の屋敷に押し入り、李綱を担いで午門へ駆けつける。李綱は岳飛から事の顛末を聞く。
- 東華門に戻ろうとした李綱は張邦昌が仕込んだ釘板を踏んで重傷を負う。
高宗、岳飛を投獄
- 騒ぎを知った高宗は登殿し、李綱の負傷を見るが、李綱は「岳飛には背後に指図した者がいるはずゆえ取り調べを」と奏上し、岳飛はひとまず刑部の獄に下される。李綱は密かに刑部の沙丙に岳飛の身の安全を図るよう頼む。
冤罪を訴えるビラと牛皋の挙兵
- 李綱は張邦昌の陰謀を記した冤罪の訴え状を大量に印刷させ、張保・王横に各地へ配らせる。この噂は太行山の「公道大王」牛皋の耳にも届く。
- ちょうど牛皋の誕生祝いに集まっていた湯懷・周青・趙雲・梁興・張顯・王貴ら義兄弟たちは、岳飛が陥れられたと知り激怒。牛皋は誕生祝いを取りやめ、八万の兵を率いて金陵へ進軍し、鳳台門近くに布陣する。
張俊の敗北と岳飛の赦免
- 高宗が差し向けた張俊は湯懷・牛皋らに撃退される。張俊は「岳飛の一味が反乱を起こした、先に岳飛を斬るべき」と進言するが、李綱・宗澤は「岳飛に賊を退けさせよ、もし失敗すれば我らの一族を斬れ」と保証して岳飛の出陣を願い出る。
- 高宗はこれを容れて岳飛を呼び出す。李綱は岳飛を問いただすが、岳飛は分宮楼での経緯を釈明し、「精忠報国」の刺青を示して忠義を訴える。
- 高宗が当夜の当直官・呉明・方茂を調べさせると、確かに張邦昌が岳飛を宮中に招き入れた事実が判明。高宗は激怒し張邦昌の処刑を命じるが、李綱の取りなしで玉璽献上の功に免じ死罪を免れ、期限付きで都から追放される。
評語
- 結びの一句は「今回もし赦されなければ、後年金国に降って犬羊の徒となることもなかったろう」として、張邦昌がこの後さらに金に降り悪名を残す伏線を示唆している。