說岳全傳第十七回 梁夫人は砲火で両狼関を失い、張叔夜は偽って降り河間を守る (梁夫人炮炸失兩狼 張叔夜假降保河間)

(詩:大砲が誤爆し両狼関を失ったことを、天が金国に味方したためと嘆く。また張叔夜の偽りの降伏が、実は河間の民を守るための忠義であったと詠む)

梁夫人の出陣と両狼関の陥落

  • 梁夫人は夫と息子が敵に討たれたと聞き、復讐のため自ら出陣する。「鉄華車」と大砲を配して迎撃態勢を整え、兀朮と一騎打ちで渡り合うが敵わず敗走を装い、大砲で誘い込む策を用いる。
  • しかし発砲の瞬間に落雷が起こり、味方の大砲が暴発して関の防壁を破壊してしまう。この隙に兀朮が攻め込み、両狼関は陥落する。

韓世忠一家の再会

  • 梁夫人は林の中で乳母夫婦と幼子と再会する。一方、包囲されていた韓世忠・息子の韓尚徳もそれぞれ奮戦して脱出し、一家は林で再会を果たす。関を失ったと悟った一家は都へ向かう。
  • 韓世忠は敵将・奇渥温鉄木真(後の元朝の祖・忽必烈の父)と一騎打ちするが、不思議な光に阻まれ討ち取れなかった。

河間府・張叔夜の偽りの降伏

  • 韓世忠は都へ召還され、関を失った罪で庶民に落とされる。
  • 河間府の張叔夜は、陸登・韓世忠の武勇と装備をもってしても敵わなかった兀朮の大軍を前に、正面から戦っても勝ち目がないと判断し、あえて降伏を装って民を守り、後に各地の援軍が来た際に退路を断って兀朮を討つという策を立てる。

張立・張用兄弟の逃亡

  • 張叔夜の二子・張立と張用は父が降伏しようとしていると聞き、母から金子を得て城を抜け出し、金軍に単身で挑む。奮戦するが多勢に無勢で離れ離れになり、それぞれ包囲を突破して逃げ延びる(後に岳飛の陣営で再会することになる)。

張叔夜の降伏と評価

  • 張叔夜は正式に投降し、兀朮は彼の忠義を評価して魯王に封じ、城への進駐を禁じて犒賞のみを受け取らせ、軍を黄河へ進めさせる。

朝廷の対応

  • 朝廷は李綱を平北大元帥、宗澤を先鋒に任じ、黄河での防衛を命じる。これは実質的に張邦昌が二人を危険な任務に追いやる策略だった。
  • 李綱は忠実な下僕・張保を伴い出陣。宗澤は湯陰県へ使者を送り、岳飛らの参陣を要請する。