說岳全傳第十六回 偽書を下し哈迷蚩は鼻を削がれ、潞安を破られ陸節度は忠義に殉ずる (下假書哈迷蚩割鼻 破潞安陸節度盡忠)
(詩:陸登の忠義の死を讃え、その名が万古に残ることを詠む)
偽の密書計略
- 兀朮に捕らえられた男は自分を単なる商人だと弁明するが、軍師哈迷蚩は不審に思い、身体検査で蝋丸に隠された密書を発見する。中身は両狼関総兵・韓世忠から陸登への書簡で、「奸臣の腹心である孫浩の援軍要請には応じるな」という内容だった。
- 哈迷蚩はこの機密を利用し、韓世忠の使者「趙得勝」を装った偽の書簡を作り、陸登を城外におびき出す計略を立て、自ら使者となって城に赴く。
陸登の慧眼
- 哈迷蚩は韓世忠の家族の詳細(夫人の姓、子息の名・年齢など)を巧みに答え、陸登の疑いを一旦かわすが、密書に染みついた羊の臭いから偽物と見破られる。
- 正体を明かした哈迷蚩に対し、陸登は鼻を削ぎ落として送り返す処罰を与える。
水関からの侵入と落城
- 傷が癒えた哈迷蚩は水中からの奇襲を再度試みるが、仕掛けられた鈴付きの網に阻まれ失敗する。ついに兀朮自らが夜陰に紛れて水中に潜り、網を破って上陸し、城門を開けて全軍を引き入れることに成功する。
- 城が陥落したことを知った陸登は「忠義を尽くすほかない」と述べ、夫人も「節を守る」と応じて先に自害する。陸登も自刎するが、その遺骸は倒れずに立ったままだった。
兀朮の敬意と遺児の保護
- 兀朮が邸内に入ると、陸登の遺骸が剣を手にしたまま直立しているのを見て驚く。民を傷つけないこと、夫妻を合葬すること、遺骸に拝礼することを誓うと、その都度何かを言うたびに屍は動かず、最後に「遺児を我が子として育て、成人後は陸家の跡を継がせる」と約束した時、初めて屍は倒れる。
- 乳母に抱かれていた陸登の遺児が見つかり、兀朮は哈迷蚩の「復讐に子を殺したい」との願いを退け、乳母とともに五百の兵をつけて金国へ護送させる。潞安州には番将・哈利禄を残し、自らは両狼関へ兵を進める。
両狼関の危機
- 総兵・韓世忠は潞安州陥落と陸登夫妻の殉節の報を受け、防備を固める。汴梁節度使・孫浩が援軍要請もなく単独で兀朮の陣に突入したとの報も入るが、五万の兵では五十万の敵に到底かなわない。
- 梁夫人(韓世忠の妻)の勧めで、韓世忠は息子・韓尚徳に一千の兵を与え孫浩の救援に向かわせる。韓尚徳は単騎で敵陣に切り込み奮戦するが孫浩は既に全滅しており、多勢に無勢で包囲される。
- 息子の危機を知った韓世忠自らも出陣し敵陣深くまで斬り込むが、同じく包囲されてしまう。兀朮は韓世忠父子を生け捕りにするよう命じる一方、別動隊で両狼関を急襲させる。
- 関に残った梁夫人は、乳母・乳父に金銀と印綬を託し、幼い韓彦直を連れて先に脱出させ、自らは迎撃の準備を進める。