舊唐書卷三十五 志第十一 音樂四

太廟享祀楽章十三首

  • 貞觀年間、魏徴・褚亮等の作。迎神(《永和》、黄鐘宮三成・大呂角二成・太簇徴二成・応鐘羽二成の九変で共用)・皇帝の行進(《太和》、冬至圓丘の詞を共用)・登歌酌鬯(《肅和》)・迎俎(《雍和》)・皇祖宣簡公および懿王の酌献(《長発》)・太祖景皇帝の酌献(《大基》)・世祖元皇帝の酌献(《大成》)・高祖大武皇帝の酌献(《大明》)・皇帝飲福(《壽和》)・送文舞出迎武舞入(《舒和》)・武舞(《凱安》、冬至圓丘の詞を共用)・徹俎(《雍和》)・送神(《永和》)の構成で、各廟室ごとに歴代祖先の功徳を讃える内容となっている。

永徽以後の太廟楽章五首

  • 永徽以降に続けて作られたもので撰者不詳。太宗文皇帝の酌献に用いる《崇徳》(夷則宮、永徽元年造)、高宗天皇大帝の酌献に用いる《鈞天》(黄鐘宮、光宅元年造)、中宗孝和皇帝の酌献に用いる《太和》(太簇宮、景雲元年造)、睿宗大聖真皇帝の酌献に用いる《景雲》(黄鐘宮、開元四年造)が収められる。皇祖宣皇帝の酌献に用いる《光大》は、旧楽章では宣皇帝・光皇帝の廟がともに《長発》を共用していたが、開元十年に宣皇帝用として《光大》の詞が新たに作られた。いずれも各皇帝の功業と徳を讃える内容。

太廟楽章の別詞三首

  • 太楽に伝わる由来不詳の楽章。迎神(黄鐘宮・太呂角・太簇徴・応鐘羽で共用)、金奏(無射宮、次の迎神)、送神の三章からなり、唐王朝の徳と歴代祖先への崇敬を讃える。

則天武后の享清廟楽章十首

  • 建廟から神霊の降臨・登壇・献饌・祝辞・退廟までの儀式次第に沿った十段の楽章で、則天武后自身の功業(帝業の草創、辺境平定など)を讃える内容が随所に織り込まれている。

中宗神龍元年の享太廟楽章二十首

  • 撰者不詳。迎神(《嚴和》、黄鐘宮三成・大呂角三成・太簇徴三成・応鐘羽二成で共用)・皇帝の行進(《升和》)・登歌裸鬯(《虔和》)・送文舞出迎武舞入(《同和》)・武舞(《甯和》)・徹俎(《恭和》)・送神(《通和》)の皇帝関連の段に加え、皇后の助享に関する段として、皇后の行進(《正和》、貞觀の中宮朝会の詞を共用)・登歌奠鬯(《昭和》)・皇后の酌献飲福(《誠敬》)・徹俎(《肅和》)・送神(《昭感》)が収められ、中宗の中興と皇后の徳を讃える構成となっている。

玄宗開元七年の享太廟楽章十六首

  • 特進行尚書左丞相の燕国公張説の作。迎神三章(各章「肅九室、諧八音」等で始まり天子の孝を讃える)・皇帝の行進一章(《太和》)・登歌酌瓚一章(《肅和》)・迎俎二章(《雍和》)・皇帝酌醴齊(文舞の一章)に加え、獻祖宣皇帝室の奠献に用いる《光大》の舞、懿祖光皇帝室の《長発》の舞、太祖景皇帝室の《大政》の舞、代祖元皇帝室の《大成》の舞、高祖神堯皇帝室の《大明》の舞、太宗文武聖皇帝室の《崇德》の舞、高宗天皇大帝室の《鈞天》の舞、中宗孝和皇帝室の《太和》の舞、睿宗大聖真皇帝室の《景雲》の舞と、歴代皇帝それぞれの功業・徳を讃える各一章が収められている。

太廟楽章十四首(郭子儀・劉晏らの撰)

  • 玄宗至道大聖大明孝皇帝室の奠献に用いる《廣運》の舞(司徒兼中書令の汾陽郡王郭子儀撰)、粛宗文明武徳大聖大宣孝皇帝室の奠献に用いる《惟新》の舞(吏部尚書平章事の彭城郡公劉晏撰)に続き、皇帝飲福受脤(《福和》)、送文舞出迎武舞入(《舒和》)、亜献・終献の行事に用いる武舞《凱安》四章、徹豆登歌一章、送神(《永和》)が収められる。さらに代宗睿文孝武皇帝室の奠献に用いる《保大》の舞(尚父郭子儀撰)、徳宗神武孝文皇帝室の奠献に用いる《文明》の舞(尚書左丞平章事鄭餘慶撰)、順宗至徳大聖大安孝皇帝室の奠献に用いる《大順》の舞(中書侍郎平章事鄭絪撰)、憲宗聖神章武孝皇帝室の奠献に用いる《象德》の舞(中書侍郎平章事段文昌撰)が続き、それぞれの皇帝の治世の功業(郭子儀・劉晏ら功臣による撰であることも含め)を讃える内容となっている。

儀坤廟楽章十二首

  • 迎神(散騎常侍・昭文館学士徐彦伯作)・金奏(撰者不詳)・皇帝の行進(左諭徳・昭文館学士邱説撰)・酌献登歌(太子洗馬・昭文館学士張斉賢撰)・迎俎(太中大夫・昭文館学士鄭善玉作)に続き、粛明皇后室の酌献に用いる《昭升》(礼部尚書・昭文館学士薛稷作、堯の娘の故事等を引き徳を讃える)、昭成皇后室の酌献に用いる《坤貞》(撰者不詳、乾坤の道と内助の徳を讃える)が収められる。さらに飲福(太子詹事・崇文館学士徐堅作)・送文舞出迎武舞入(銀青光禄大夫・崇文館学士胡雄作)・武舞《安和》(秘書少監・崇文館学士劉子玄(劉知幾)作)・徹俎(銀青光禄大夫・崇文館学士員半千作)・送神(金紫光禄大夫・崇文館学士祝欽明作)が続く。太楽にはこれとは別に、迎神・送神各一章のみが異なる別本二首も伝わっている。

昭徳皇后廟楽章九首

  • 内廷から出された楽章で、迎神(《永和》)・登歌酌鬯(《肅和》)・迎俎(《雍和》)・酌献(《坤元》)・送文舞出迎武舞入(《舒和》)・武舞(《凱安》)・徹俎(《雍和》)・送神(《永和》)の構成で、昭徳皇后の内助の徳を讃える内容。

孝敬皇帝廟楽章九首

  • 迎神(《永和》、貞觀太廟の詞を共用)・皇帝の行進(《太和》、同)・登歌酌鬯(《肅和》、同)・迎俎(《雍和》、同)・酌献(《承光》、中宗が孝敬皇帝を享った際の《承光》の詞を共用)・送文舞出迎武舞入(《舒和》、太廟の詞を共用)・武舞(《凱安》、同)・徹俎(《雍和》、迎俎の詞を共用)・送神(《永和》、太廟の詞を共用)という構成で、多くの段が既存の詞の転用によって構成されている。

隠太子廟楽章

  • 貞觀年間の撰。迎神(《誠和》)・登歌奠玉帛(《肅和》)・迎俎(《雍和》)・送文舞出迎武舞入(《舒和》)・武舞(《凱安》)・送神(《誠和》、迎神の詞を共用)の六首からなり、隠太子(李建成)への哀悼と鎮魂の意が込められている。太楽にはこれとは別に、由来不詳の迎神・送神各一首の別本も伝わり、江充の禍(巫蠱の獄)を暗示する語句を用いて隠太子の非業の死を悼む内容となっている。

章懐太子廟楽章六首

  • 神龍初年の作。迎神・登歌酌鬯(南呂均之蕤賓羽)・迎俎及び酌献・送文舞出迎武舞入・武舞という五首に、送神(隠太子廟の詞を共用)を加えた六首からなり、章懐太子(李賢)の徳と非業の死を悼む内容。

懿徳太子廟楽章六首

  • 神龍初年の作。迎神・登歌酌鬯(南呂均之蕤賓羽)・迎俎酌献・送文舞出迎武舞入・武舞の五首に、送神(隠太子廟の詞を共用)を加えた六首からなり、懿徳太子(李重潤)の早世を悼む内容。

節湣太子廟楽章六首

  • 景雲年間の作。迎神・登歌酌鬯(南呂均之蕤賓羽)・迎俎及び酌献・送文舞出迎武舞入・武舞の五首に、送神(隠太子廟の詞を共用)を加えた六首からなり、節湣太子(李重俊)の徳と武功を讃える内容。

則天大聖皇后崇先廟楽章一首

  • 則天武后自身の撰による一首で、亡き父母(崇先廟の祭祀対象)への孝と、尊号を追贈することへの謙譲の意を述べる内容。

褒徳廟楽章五首

  • 神龍年間、中宗の皇后韋氏の祖先を祀るために建てられた褒徳廟のための楽章で、詞はいずれも内廷から出された。迎神(《昭德》、姑洗宮二成)・登歌(《進德》、南呂均之蕤賓羽)・俎入初献(《褒德》)・武舞・亜献及び送神(《彰德》)の五首からなり、韋氏一族の功業と栄誉を讃える内容となっている。