魏鄭公諫錄為政の要は本を全うすることと答える(對為政之要務全其本)
- 太宗は丹霄殿での宴で群臣に対し、政治の要は根本である国内の安定を全うすることにあり、中国が治まらなければ周辺の異民族が服従しても意味がないと述べた。
- 太宗は、臣下とともに天下を治め、四方が静穏なのは皆の忠誠のおかげだと喜びつつも、安きにあって危うきを忘れず恐れを抱いていると語った。
- 太宗は、隋の煬帝が即位当初は天下強盛であったのに徳を捨てて兵を窮め、ついに滅亡を招いたこと、また突厥の頡利可汗も強大さに驕り増長した末に国を失い臣下として自分に降ったこと、葉護可汗も富貴を恃んで婚姻を求めるなど道を失い、その子の代には猜疑心から人心が離れて国が絶えたことを例に引いた。
- 太宗は、堯舜禹湯の徳には及ばずとも、これらの前例を見て常に戒め恐れねばならないとし、臣下には功績をすでに成した今こそ守成に努め、不都合があれば率直に諫言するよう求めた。
- 魏徴は、陛下が天下を大いに治めて功はすでに成ったが、非常の慶事に接するたびに危うきを慮る心を切にされているのは古来まれな慎み深さだと称え、斉の桓公が莒での苦難を忘れぬよう鮑叔牙に祝われた故事(管仲は魯での苦難を、寗戚は牛飼いの日々を忘れぬよう願った)を引き、陛下の安きに居て危うきを思う心はその故事にもまさると述べた。
- 魏徴はさらに、上の好むところに下は必ず従うものであり、陛下の勧奨の詔があれば臆病者でも節義を立てるようになると付言した。