- 太宗が密告の言を聴き入れて取り調べたところ、誤りが多かった。
- 魏徴は、教化を行き渡らせるには上下が相親しみ朝廷が和睦することが必須であるのに、今は密告する者が重用され悪を抑える者が顧みられず、君子はかろうじて咎めを免れ、小人はやがて恥を忘れ、是非を互いに戒め合わなくなる、国の風習がこうであっては教化を求められないと諫め、太宗はこれを容れた。
諫内出髙昌婦女與薛萬均對事
- ある者が、大將軍薛萬均が高昌平定の際に高昌の婦女と私通したと訴え出た。太宗は大理卿孫伏伽に取り調べさせたが萬均は認めず、宮中から高昌の婦女を出して対質させようとした。
- 魏徴は、萬均兄弟の忠誠は早くから知られており、姦私の事は虚実が明らかでないと述べ、罪状が明白であれば孫伏伽に付して裁かせればよく、証拠が定かでなければ萬均はきっと言い分があるはずで、大將軍を亡国の婦女と対質させて醜聞を争わせ、それでも萬均が服さなければ聴く者はかえって疑いを深めるだけだと諫めた。
- 魏徴は、君が臣を礼をもって使い臣が君に忠をもって事えるのが道であり、実であれば得るところは軽く、虚であれば失うところは重いと述べ、秦の穆公が自分の馬を盗み食った者たちに酒を賜った故事、楚の荘王が冠の紐を絶った者を咎めなかった故事を引き、これら夷狄の諸侯でさえ五伯に列し千年の後まで芳名を残したのに、まして陛下は万乗の主として堯舜にも並ぶ道を体していながら、この法に則らないことをすれば、遠方にどう示しがつくのかと説いた。
- 太宗はこの言を容れて対質を取りやめた。