魏鄭公諫錄権万紀の恣意的弾劾を諫める(諫權萬紀任心彈射)

  • 魏徴は、治書権万紀と侍御史李仁敬が告発を専らにして「公正」を装いながら、実際には弾劾する相手に罪がない場合が多いと上奏した。太宗が二人の短所を許容してその働きを用いているうちに、彼らは姦計をめぐらせて上を欺き下を陥れ、房玄齢を誣告し張亮を退けるなど、粛正の実は何もなく、ただ陛下の英明さを損なうだけで、世間にも非難の声があると述べた。
  • 魏徴は、陛下が深謀遠慮のある人物として重用しているのではなく、忌憚のない性質を群臣への戒めに使おうとしているのだろうと推察しつつ、もし群臣が本当に邪であればそもそも小才では制御できず、逆に群臣が公正であれば無用に上下の心を離間させるだけであり、房玄齢・張亮ほどの人物さえ冤罪を晴らせないなら、その他の身分の低い者はなおさら欺瞞から逃れられないと説いた。
  • 魏徴は、もし今後この二人の登用によって国家に益があれば自ら罪を受けてもよいとまで述べ、善を挙げて徳を高めることができないのであれば、姦を進めて自らを損なうべきではないと諫めた。太宗は黙して答えられず絹五百匹を賜り、まもなく二人の姦状が明らかになって李仁敬は罷免、権万紀も退けられた。