- 履歴: 人物伝ではなく、射礼が行えない場での代替の遊戯的儀礼「投壺」(壺に矢を投げ入れる礼)の作法を『礼記』投壺篇により記した篇。
投壺の作法(礼記・投壺より)
- 主人が「拙い矢と歪んだ壺ですが」と謙遜しつつ賓を投壺に誘い、賓は一旦辞退した上で応じるという、射礼と同様の婉曲な問答を経て始める。
- 司射が算木(勝敗を記録する籌)を用意し、賓・主人それぞれの組で矢を壺に投げ入れる。的中すれば一算を与え、外れれば的中を認めない「順投・比投」の作法を定める。
- 的中数を集計し、二算を「純」、余りを「奇」として勝敗を告げ、負けた側に罰杯を飲ませる。勝った側には的中数に応じて「馬」(勝利の目印の駒)を立て、三馬揃えば祝いの儀礼(慶)を行う。
- 壺の規格(頸の長さ七寸、腹の長さ五寸、口径二寸半、容量一斗五升)や、矢が跳ね返らないよう壺に小豆を入れること、矢の材質(柘または棘の枝で皮を剥がない)なども細かく定める。
- 魯・薛それぞれの地方に伝わる投壺の際の太鼓の拍子(魯鼓・薛鼓)が、記号によって書き分けられている。これは投壺に用いる鼓のリズムパターンを示す楽譜的な記録であり、薛鼓は前半部分のみを投壺に用い、全体は射礼にも用いられたという。
- 弟子(世話役)の心得として、居眠りしない、傲慢にならない、背を向けない、私語をしないことなどが戒められている。