- 履歴: 人物伝ではなく、君主自ら参加する大規模な弓射礼「大射礼」の次第を『儀礼』を主軸に、末尾に『礼記』射義・『大戴礼記』の関連条文を付して記した篇。郷射礼(前篇)の宮廷版にあたる。
準備(儀礼・大射儀より)
- 君主の命により百官に射礼への従事を命じ、量人が的(大侯・参・干の三種類、身分により大きさが異なる)を測って設置し、楽人が鐘・磬・鼓など多数の楽器を配置する。
賓の入場と献酬(儀礼・大射儀より)
- 擯者(取次役)が賓を迎え入れ、公(君主)が席につく際には「肆夏」の楽が奏でられる。
- 主人が賓に献じ、賓が公に献じるなど、燕礼に準じた丁重な献酬の礼を行う。楽人が「鹿鳴」を歌い「新宮」を管で奏でる。
射礼の実施(儀礼・大射儀より)
- 司射・司馬が的の設置と射手の組分けを行い、三耦がまず誘射(模範射)を行う。
- 続いて卿大夫・士が身分順に射を行い、的中数を算籌で記録する(釈獲)。左右で的中を競い、勝敗に応じて罰杯を飲ませる。
- 第三巡は音楽(貍首の詩)に合わせて射る「以楽射」を行う。
- 君主自身が射る場合は、小射正が弓・決拾(弓具)を整え、大射正が矢を射る方向を助言する等、特に丁重な作法が定められる。
- 服不(的の管理役)・釈獲者にも酒を献じ、士・庶子にまで及ぶ広い範囲の献酬を行う。
宴の終わり(儀礼・大射儀より)
- 俎を徹した後、無算爵・無算楽に移り、夜になれば燭を灯して続け、賓が退出する際には「陔」の楽を奏でる。
附録・関連条文(礼記・射義/大戴礼記より)
- 射義:諸侯の射礼は必ず燕礼を、卿大夫士の射礼は必ず郷飲酒礼を先に行う。射は内志を正し外体を直くしてこそ的中するとし、天子は騶虞、諸侯は貍首、卿大夫は采蘋、士は采蘩をそれぞれ音楽の拍子とする。天子は諸侯から貢がれた士を射宮で試し、容儀・拍子・的中の三条件が揃った者だけを祭祀に参加させる制度(貢士制度)を述べる。「射は仁の道なり、己を正して後に発し、中らざれば己に反り求む」という有名な一節もここに含まれる。