繹史夏官司馬(四)(夏官司馬四)

  • 履歴: 本篇も人物伝ではなく、『周禮』夏官司馬の職掌規定をほぼ全文引用したもの。夏官は「政」(軍政・軍制・馬政・地理)を司る六官の一つ。

総論・軍制(周禮より)

  • 夏官司馬はその属官を率いて邦の政(軍政)を掌り、王を助けて諸侯国を平らげる。
  • 軍制は一万二千五百人を一軍とし、王は六軍、大国は三軍、次国は二軍、小国は一軍を置く。軍将は卿、師帥は中大夫、旅帥は下大夫、䘚長は上士、両司馬は中士がそれぞれ統率する。

大司馬の職掌(周禮より)

  • 邦国の九法(畿封・儀位・進賢・牧監・軍詰・貢職・簡稽・均守・比小事大)を掌り、九伐の法(馮弱犯寡・賊賢害民・暴内陵外など九種の罪状に応じた征伐)で諸侯国を正す。
  • 九畿の制(国畿から蕃畿まで九つの同心円状の圏域)に応じて政令を布き、春夏秋冬それぞれに振旅・茇舎・治兵・大閲の軍事演習を行い、旗・鼓・鐸などの合図で軍の進退を教練する。
  • 大師(大規模な軍事行動)では戒令・釁礼・軍器の管理、戦功に応じた賞罰、大喪・大会同・大射・大祭祀の際の軍務も掌る。

小司馬・軍司馬ほか(周禮より)

  • 小司馬は小祭祀・会同・饗射・師田・喪紀における大司馬の補佐役。軍司馬・輿司馬・行司馬の職掌は原文に欠落がある。

賞功・馬政を掌る諸官(周禮より)

  • 司勲は戦功(王功・国功・民功・事功・治功・戦功)に応じた褒賞地の授与を掌る。
  • 馬質・量人・小子・羊人は、馬の売買と品質評価、都城・軍営の測量、羊牲・祭祀の割き肉をそれぞれ担当する。

防火・城郭を掌る諸官(周禮より)

  • 司爟は火の管理と季節ごとの改火を、掌固は城郭・溝池の修築と防衛物資の管理を、司険は山川の険阻を利用した防衛路の整備を担当する(掌疆の職掌は欠落)。

斥候・時報を掌る諸官(周禮より)

  • 候人・環人・挈壺氏は、それぞれ諸侯国との使者の送迎、敵情偵察、水時計(挈壺)による軍中の時刻管理を担当する。

射・狩猟を掌る諸官(周禮より)

  • 射人は三公・孤卿・大夫の朝位を定め、王の六耦の大射の作法(的の数・音楽・的中の等級)を掌る。
  • 服不氏・射鳥氏・羅氏・掌畜は、それぞれ猛獣の馴育、鳥を射て追い払うこと、鳥の捕獲、鳥の飼育をを担当する。

官吏管理を掌る諸官(周禮より)

  • 司士は群臣の名簿を管理し、朝廷の位次(王・三公・孤・卿大夫の立ち位置)を正し、爵禄の任免を掌る。
  • 諸子は国子(貴族の子弟)の教育・軍役編成を掌る。

護衛を掌る諸官(周禮より)

  • 司右・虎賁氏・旅賁氏・節服氏・方相氏は、それぞれ王の護衛の統括、王の前後を守る武官、戈盾を持つ護衛、儀礼用の護衛、疫鬼払いの方相氏をを担当する。

王の側近を掌る諸官(周禮より)

  • 大僕・小臣・祭僕・御僕・𨽻僕は、王の服位・命令の伝達、祭祀の警戒、諸臣の取次、宮中の清掃などをそれぞれ担当する。
  • 弁師は王・諸侯の冠(五冕・皮弁・弁絰)の制作と規定を掌る。

武器を掌る諸官(周禮より)

  • 司甲(欠)・司兵・司戈盾・司弓矢・繕人・稾人は、甲冑・兵器・弓矢の製造・管理・分配を分担する。

御者・馬官を掌る諸官(周禮より)

  • 戎右・斉右・道右・大馭・戎僕・斉僕・道僕・田僕・馭夫は、それぞれ王の車に乗る護衛役や御者を務め、祭祀・会同・田猟の車儀を掌る。
  • 校人は王の六種の馬(種馬・戎馬・斉馬・道馬・田馬・駑馬)の飼育を統括し、趣馬・巫馬・牧師・廋人・圉師・圉人がそれぞれ馬の飼育・治療・牧地管理・調教の実務を担当する。

地理を掌る諸官(周禮より)

  • 職方氏は天下の地図と九州(揚・荊・豫・青・兖・雍・幽・冀・幷)それぞれの山鎮・沢藪・河川・物産・民の男女比・適した家畜と穀物を記録し、九服(王畿から藩服まで)の制度を掌る。
  • 土方氏・懐方氏・合方氏・訓方氏・形方氏・山師・川師・邍師は、それぞれ土地の測量、遠方の民の招来、道路・度量衡の統一、地方の政情の伝達、国境の画定、山川・地名の把握を分担する。

その他(周禮より)

  • 匡人・撢人は、それぞれ法則の遵守の監督、王の意志の諸侯国への伝達を掌る。
  • 都司馬・家司馬は、都・家(卿大夫の采地)の士庶子と軍備の政令を、国の司馬の法に準じて統括する。