隋唐演義第三十二回 狄去邪は深き穴に入り、皇甫君は大鼠を撃つ (狄去邪入深穴  皇甫君擊大鼠)

河道開削の決定

翌朝、群臣は依然として広陵への水路が見つからないと報告するが、蕭后の弟・蕭懷靜が、大梁から睢陽方面を経て孟津の水を淮河に引く古い水路の再開削案を提示する。睢陽に天子の気があるという耿純臣の奏上も踏まえ、この河道を掘れば厄災も除けると聞いた煬帝は大いに喜び、麻叔謀を開河都護に任じる。

李淵の巻き添え

宇文述は、李淵への遺恨から兵権を奪う機会と見て、李淵を開河副使に推挙する。李淵の娘婿・柴紹夫妻はこれを危険な策謀と見抜き、柴紹が東京で賄賂を使って計略を巡らせ、李淵は病と称して太原に留まり、代わりに令狐達が任命される。麻叔謀・令狐達は数百万の人夫を徴発し、過酷な工事を強行する。

掘り当てられた奇異

工事の途中、地中から古い墓室や石室が次々と発見される。ある石室には仙人らしき遺体が納められ、傍らの石板に、掘り出されることを予言する銘文が刻まれていた。また張良を祀る地では嵐に見舞われ、祭祀を行って初めて工事を進められた。雍丘の隠士墓を掘り崩した際には深い穴が現れ、底に不思議な光と楼閣が見えた。

狄去邪、地底の穴へ

令狐達の推薦で、剛毅な武将・狄去邪が穴の探索を命じられる。籠に乗って穴を下りると、そこには別世界が広がっており、洞府の奥で巨大な鼠が鎖に繋がれているのを目にする。仙童に導かれ、皇甫君と名乗る貴人の前に出る。

皇甫君の裁き

皇甫君は、その大鼠こそが現世で天子の身をまとった存在であり、暴政と陵墓の破壊の罪で処罰しようとするが、天からの符が下り、まだ天命が尽きていないため五年後に絹で絞め殺す運命だと告げられ、処罰は見送られる。皇甫君は狄去邪に、麻叔謀へ「来年二本の金の刀を贈る」という謎めいた言葉を伝えるよう命じる。

現世への帰還

狄去邪は仙府を出た後、山中の老人に助けられて食事を振る舞われ、当代の帝が長くは続かないと諭される。ようやく寧陵県にたどり着いた狄去邪は、麻叔謀に穴での出来事を報告するが信じてもらえず、逆に叱責される。世の不条理を悟った狄去邪は仮病を理由に辞職し、真偽を確かめるべく東京へ向かう。