隋唐演義第三十三回 睢陽の界で忌に触れ斥けられ、斉州城に居を定めて養母を迎える (睢陽界觸忌被斥  齊洲城卜居迎養)

狄去邪との再会

秦叔宝は麻叔謀への文書送達のため睢陽へ向かう途中、旧友の狄去邪と再会する。狄去邪は開河都護府での役目や、雍丘での穴の一件、皇甫君に出会った顛末を語り、麻叔謀は貪欲で仕えにくい人物だと忠告して別れる。

村々の泣き声と人さらいの正体

睢陽へ向かう道中、村々でしきりに子を失った泣き声を耳にする秦叔宝は、不審に思い調べを進める。ある村の老人から、開河の総管・麻叔謀が幼児の肉を好んで食べるため、それに乗じた人さらいが子供をさらって蒸し焼きにし、報奨金を得ていると聞かされる。

人さらいの捕縛

夜、秦叔宝は自ら見張りに立ち、子供をさらおうとした賊二人(張耍子・陶京兒)を捕らえる。取り調べで、賊の首領・陶柳兒が子供を殺し蒸して麻叔謀に献じていた事実が判明する。秦叔宝は騒ぎを恐れる村人を諭し、二人を麻叔謀のもとへ送って正式に裁かせようとする。

麻叔謀による揉み消し

睢陽に着いた秦叔宝は壕塞副使に任じられるが、賊の一件を報告すると、麻叔謀と令狐達はこれを取り合わず、竊盗は管轄外だとしてそのまま釈放してしまう。麻叔謀はもともと睢陽の王気を断つために強引に城内を通す河道を計画しており、городの富豪たちは賄賂で城の迂回を働きかけようとする。

賄賂と夢の話

釈放された陶京兒が仲介役となり、富豪たちの賄賂は麻叔謀の家来・黄金窟の手に渡る。麻叔謀は昼寝から覚めた際、夢で「宋襄公」や「華元」から金を受け取ったと思い込み、実際の賄賂と混同して喜び、迂回路の変更を承諾する。

秦叔宝の失脚

秦叔宝は現地調査の役目を託されるが、賄賂を一切受け取らず公正に迂回路を定めて報告する。しかし令狐達との対立を利用され、麻叔謀の機嫌を損ねた秦叔宝は「民を騒がせ職務を妨げた」として罷免されてしまう。後日、麻叔謀は治水の失敗により腰斬に処せられることになるが、罷免のおかげで秦叔宝は難を逃れる形となった。

隠棲の決意

罷免された秦叔宝は、来総管や令狐達からの再任の誘いを固辞し、齊州城外に居を構えて母や妻子と共に静かに暮らし始める。友人の樊建威・賈潤甫は彼の意気消沈を惜しむが、秦叔宝は内心、いずれ乱世が来ることを見越し、力を蓄えて時を待っているのだった。