隋書卷三十一 地理下
徐州
彭城郡
統県11、戸130,232。旧、徐州が置かれていた。後斉が東南道行台を、後周が総管府を置いた。開皇7年に行台廃止、大業4年に総管府廃止。
- 彭城:旧郡。後周が沛郡・南陽平郡を編入。開皇初年郡廃止、大業初年郡を再置。呂梁山・徐山あり。
- 蘄:旧蘄郡。後斉が仁州を置き、また分けて龍亢郡を置いた。開皇初年郡廃止、大業初年州廃止。
- 谷陽:後斉が谷陽郡を置いたが開皇初年廃止。また巳吾・義城の2県があり、後斉がともに臨淮県とし、大業初年に併合。
- 沛
- 留:後斉で廃止、開皇16年に復置。微山・黄山あり。
- 豐
- 蕭:旧沛郡。後斉が承高県に改めた。開皇6年龍城、18年臨沛と改称、大業初年に蕭と改称。相山あり。
- 滕:旧名は蕃、蕃郡を置いた。後斉が廃止。開皇16年滕県と改称。
- 蘭陵:旧名は承、蘭陵郡を置いた。開皇初年郡廃止、16年承を分けて鄶州・蘭陵県を設置。大業初年州廃止、鄶城県を併合、承を蘭陵と改称。抱犢山あり。
- 符離:後斉が睢南郡を置いたが開皇初年廃止。竹邑県があり梁が睢州を置いたが開皇3年州廃止、竹邑も廃止併合。女山・定陶山あり。
- 方與:後斉で廃止、開皇16年復置。
魯郡
統県10、戸124,019。旧兗州、大業2年魯郡と改称。
- 瑕丘:旧廃止、開皇13年復置、帯郡。
- 任城:旧高平郡を置いたが開皇初年廃止。
- 鄒:鄒山・承匡山あり。
- 曲阜:旧魯郡、後斉は任城郡と改称。開皇3年郡廃止、4年汶陽と改称、16年曲阜と改称。
- 泗水:開皇16年設置。陪尾山・尼丘山・防山、洙水・泗水あり。
- 平陸:旧名は樂平、開皇16年改称。
- 龔丘:旧名は平原県、開皇16年改称。
- 梁父:亀山あり。
- 博城:旧名は博、泰山郡を置いた。後斉が東平郡と改称、博平・牟を併合。開皇初年郡廃止、16年汶陽と改称、後に博城と改称。奉高県は開皇6年岱山と改称、大業初年州廃止で岱山県も併合。岱山・玉符山あり。
- 嬴:開皇16年牟城県を分置、大業初年併合。艾山・淄水あり。
琅邪郡
統県7、戸63,423。旧北徐州、後周が沂州と改称。
- 臨沂:旧名は即丘、帯郡。開皇初年郡廃止、16年臨沂を分置、大業初年即丘を併合。大祠山あり。
- 費
- 顓臾:旧名は南城武陽、開皇18年改称。南城県は後斉で廃止。開明山あり。
- 新泰:後斉が蒙陰県を併合。
- 沂水:旧南青州・東安郡、後周が莒州と改称。開皇初年郡廃止、東安と改称。16年沂水と改称。大業初年州廃止。
- 東安:後斉で廃止、開皇16年復置。松山あり。
- 莒:旧東莞郡、後斉廃止、後に義唐郡設置。開皇初年廃止。
東海郡
統県5、戸27,858。梁が南・北二青州を置き、東魏が海州と改称。
- 朐山:旧名は朐、琅邪郡を置いた。後周が朐山県・朐山郡と改称。開皇初年郡廃止、大業初年復置、帯郡。朐山・羽山あり。
- 東海:旧広饒県・東海郡を置いたが、後斉が広饒を分けて東海県を置いた。開皇初年郡・東海県廃止、仁寿元年広饒を東海と改称。謝禄山・郁林山あり。
- 漣水:旧名は襄賁。東海郡を置いた。東魏が海安と改称。開皇初年郡廃止、県名も改称。
- 沭陽:梁が潼陽郡を置いた。東魏が沭陽郡と改称、県は懐文とした。後周が沭陽と改称。開皇初年郡廃止。
- 懷仁:梁が南・北二青州を置いた。東魏が州を廃止し義唐郡・懐仁県を設置。開皇初年郡廃止。
下邳郡
統県7、戸52,070。後魏が南徐州を置き、梁が東徐州、東魏が東楚州、陳が安州、後周が泗州と改称。
- 宿豫:旧宿豫郡を置いたが開皇初年廃止。大業初年下邳郡設置。梁の朝陽・臨沭二郡、後斉の晋寧郡もいずれも廃止。
- 夏丘:後斉が設置し夏丘郡も置き、後に潼州設置。後周が州を宋州、県を晋陵と改称。開皇初年郡廃止、18年州廃止、県は夏丘に復した。また東魏の臨潼郡・睢陵県、後斉が郡を潼郡と改称、梁の潼州は後斉で睢州と改称後廃止し潼郡に編入。開皇初年郡県ともに廃止。
- 徐城:梁が高平郡を置いた。東魏が梁の東平・陽平・清河・帰義四郡を併せ高平県とし、また梁の硃沛・循儀・安豊三郡を併せ硃沛県とした。安遠郡は後斉で廃止、後周が硃沛を高平に併合。開皇初年郡廃止、18年徐城と改称。
- 淮陽:梁が淮陽郡を置いた。東魏が綏化・呂梁二郡を併せ綏化県とした。後周が淮陽と改称。開皇初年郡廃止。梁の臨清・天水・浮陽三郡は東魏が甬城県とし、後斉が文城県、後周が臨清と改称、開皇3年併合。
- 下邳:梁の名は帰政、武州・下邳郡を置いた。魏が県を下邳と改め郡はそのまま、州を東徐と改称。後周が邳州と改称。開皇初年郡廃止、大業初年州廃止。嶧山・磬石山あり。
- 良城:梁が武安郡を置いたが開皇初年廃止、11年良城と改称。徐山あり。
- 郯:旧郡、開皇初年廃止。
『禹貢』に「海・岱及び淮は徐州」とある。彭城・魯郡・琅邪・東海・下邳がその地にあたる。天文では奎5度から胃6度、降婁に属し、辰では戌にあたる。列国では楚・宋・魯の交わる地。旧俗は人がやや剽悍で、士人は任侠を好み賓客との交遊を尊ぶ、これは楚の気風による。徐・兗の風俗は概ね同じで、他の諸郡も斉・魯の尚ぶところを受け継ぎ、商賈を賤しみ農耕を務め、儒学を尊び洙泗の風俗を保つ。
揚州
江都郡
統県16、戸115,524。梁が南兗州を置き、後斉が東広州、陳が南兗、後周が呉州と改称。開皇9年揚州と改称し総管府設置、大業初年府廃止。
- 江陽:旧名は広陵、後斉が広陵郡・江陽郡を置いた。開皇初年郡廃止、18年邗江と改称、大業初年江陽と改称。江都宮・揚子宮、陵湖あり。
- 江都:梁以来隋にかけて廃置を繰り返す。
- 海陵:梁が海陵郡を置いたが開皇初年郡廃止、建陵県を併合、後に江浦県を分置、大業初年併合。
- 甯海:開皇初年如皋県を併合。
- 高郵:梁が竹塘・三帰二県、広業郡を分置、のち神農郡と改称。開皇初年郡廃止、竹塘・三帰・臨沢三県を併合。
- 安宜:梁が陽平郡・東莞郡を置いたが開皇初年郡廃止、石鱉県も併合。白馬湖あり。
- 山陽:旧山陽郡を置いたが開皇初年廃止。12年楚州設置、大業初年州廃止。後魏の淮陰郡は東魏で淮州と改称、後斉が魯・富陵を併せ懐恩県とし、後周は寿張と改称、また東平郡を僑置。開皇元年郡を淮陰と改称し楚州設置、のち郡廃止、県を淮陰と改称。大業初年州廃止、県編入。
- 盱眙:旧魏の盱眙郡。陳が北譙州を置いたがまもなく廃止。開皇初年郡廃止、考城・直瀆・陽城三県を併合。都梁山あり。
- 鹽城:後斉が射陽郡を置き、陳が鹽城と改称、開皇初年郡廃止。
- 清流:旧名は頓丘、新昌郡・南譙州を置いた。開皇初年滁州と改称、郡廃止。楽鉅・高塘二県を頓丘に併合し新昌と改称。18年清流と改称。大業初年州廃止。白禅山・曲亭山あり。
- 全椒:梁の名は北譙、北譙郡を置いた。後斉が臨滁と改称、後周は再び北譙と改称。開皇初年郡廃止、県は滁水と改称。大業初年改名。銅官山・九斗山あり。
- 六合:旧名は尉氏、秦郡を置いた。後斉が秦州を設置。後周が州を方州、郡を六合と改称。開皇初年郡廃止、4年尉氏を六合と改称し堂邑・方山二県を併合。大業初年州廃止。後斉の瓦梁郡は陳で廃止。瓜歩山・六合山あり。
- 永福:旧名は沛、梁が涇城・東陽二郡を置き、陳が州を廃止して二郡を梁郡とした。後周が梁郡を石梁郡、沛県を石梁県と改称、横山県を併合。開皇初年郡廃止。大業初年永福と改称。香山・永福山あり。
- 句容:茅山・浮山・四平山あり。
- 延陵:旧南徐州・南東海郡、梁が蘭陵郡、陳が東海と改称。開皇9年州郡ともに廃止、丹徒県も併合。15年潤州設置、大業初年州廃止。句驪山・黄鵠山・蒜山・長塘湖あり。
- 曲阿:武進県があり、梁が蘭陵と改称、開皇9年併合。
鐘離郡
統県4、戸35,015。後斉の名は西楚州、開皇2年濠州と改称。
- 鐘離:旧郡、開皇初年廃止。大業中再置。
- 定遠:旧名は東城。梁が定遠と改め臨濠郡を置いた。後斉が広安と改称。開皇初年郡廃止。旧九江郡は後斉で曲陽県として廃止し県もまもなく廃止。梁が安州を置いたが侯景の乱で廃止。
- 化明:旧名は睢陵、済陰郡を置いた。後斉が池南県、陳が睢陵、後周が昭義と改称。開皇初年郡廃止、大業初年県名も改称。
- 塗山:旧名は当塗。後斉が馬頭と改め荊山郡を置いた。開皇初年塗山と改称し郡廃止。当塗山あり。
淮南郡
統県4、戸34,278。旧豫州、後魏が揚州、梁が南豫州、東魏が揚州、陳が豫州、後周が揚州と改称。開皇9年寿州と改称し総管府設置、大業元年府廃止。
- 寿春:旧淮南・梁郡・北譙・汝陰等の諸郡があったが開皇初年ともに廃止、蒙県も併合。大業初年淮南郡設置。八公山・門渓あり。
- 安豊:梁が陳留・安豊二郡を置いたが開皇初年ともに廃止。芍陂あり。
- 霍丘:梁が安豊郡を置いたが東魏で廃止。開皇19年県を設置し命名。
- 長平:梁が北陳郡を置いたが開皇初年廃止、西華県も併合。
弋陽郡
統県6、戸41,433。梁が光州を置いた。
- 光山:旧光城郡を置いたが開皇初年廃止、18年県設置。大業初年光陽郡設置。旧黄川郡は梁で廃止。
- 樂安:梁が宋安郡、宋安・光城二県を置き、また豊安郡もあったが開皇3年いずれも併合。弋陽山・浮光山・金山・錫山あり。
- 定城:後斉が南郢州を置いたが廃止して南・北二弋陽県となり、後に北弋陽を南弋陽に併合し定遠と改称。また後魏が弋陽郡を置き、梁の東新蔡県もあった。後周が淮南郡と改称。また後斉が斉安・新蔡二郡を置き、旧義州を廃して東光城郡を設置。開皇初年五郡・郢州はすべて廃止。
- 殷城:旧名は包信、開皇初年改称。梁が義城郡・建州、その管轄下の平高・新蔡・新城三郡を置いたが開皇初年ともに廃止。大蘇山・南松山あり。
- 固始:梁の名は蓼県。後斉が改称し北建州を置いたが、まもなく州廃止、新蔡郡設置。後周が澮州と改称。開皇初年州郡ともに廃止、県は固始と改称。安陽山あり。
- 期思:陳が辺城郡を置いたが開皇初年郡廃止、県名も改称。後斉の光化郡も併合。大別山あり。
蘄春郡
統県5、戸34,690。後斉が雍州を置き、後周が蘄州と改称。開皇初年総管府設置、9年府廃止。
- 蘄春:旧名は蘄陽、梁が蘄水と改称。後斉が斉昌と改称し斉昌郡設置。開皇18年蘄春と改称。開皇初年郡廃止。安山あり。
- 浠水:旧永安郡を置いたが開皇初年廃止。石鼓山あり。
- 蘄水:旧名は蘄春、梁が改称。鼓吹山・蘄水あり。
- 黄梅:旧名は永興、開皇初年新蔡と改称、18年改名。黄梅山あり。
- 羅田:梁が義州・義城郡を置いたが開皇初年ともに廃止。
廬江郡
統県7、戸41,632。梁が南豫州を置き、のち合州と改称。開皇初年廬州と改称。
- 合肥:梁の名は汝陰、汝陰郡を置いた。後斉が分けて北陳郡を置いた。開皇初年郡廃止、県名も改称。
- 廬江:斉が廬江郡を置き、梁が湘州を置いたが後斉で州廃止、開皇初年郡廃止。冶甫山・上薄山・三公山・聖山・藍家山あり。
- 襄安:梁の名は蘄、開皇初年改称。亀山・紫微山・亜父山・半陽山・白石山・四鼎山あり。
- 慎:東魏が平梁郡を置き、陳が梁郡と改称、開皇初年郡廃止。浮闍山あり。
- 霍山:梁が霍州・岳安郡・岳安県を置いたが後斉で州廃止。開皇初年郡廃止、県名も改称。
- 渒水:梁が北沛郡・新蔡県を置いたが開皇初年郡廃止、新蔡も併合。墜星山あり。
- 開化:梁が設置。衡山・九公山・蹋鼓山・天山・多智山あり。
同安郡
統県5、戸21,766。梁が豫州を置き、のち晋州、後斉が江州、陳が晋州、開皇初年熙州と改称。
- 懷甯:旧晋熙郡を置いたが開皇初年廃止。大業3年同安郡設置。
- 宿松:梁が高塘郡を置いたが開皇初年郡廃止、県は高塘と改称、18年再び改称。雷水あり。
- 太湖:開皇初年晋熙と改称、18年再び改称。
- 望江:陳が大雷郡を置いたが開皇11年義郷と改称、18年再び改称。
- 同安:旧名は樅陽、樅陽郡を置いたが開皇初年郡廃止、18年県名も改称。浮度山あり。
曆陽郡
統県2、戸8,254。後斉が和州を立てた。
- 曆陽:旧曆陽郡を置いたが開皇初年廃止。大業初年再置。
- 烏江:梁が江都郡を置き、後斉が斉江郡、陳が臨江郡、周が同江郡と改称。開皇初年郡廃止。大業初年曆陽郡設置。六合山あり。
彤陽郡
統県3、戸24,125。東晋以来揚州郡が置かれていた。陳を平定した際、詔により平坦化して耕地とし、石頭城に蔣州を設置。
- 江甯:梁が丹陽郡・南丹陽郡を置き、陳が南丹陽郡を省いた。陳平定後さらに丹陽郡を廃止し秣陵・建康・同夏三県を併合。大業初年丹陽郡設置。蔣山あり。
- 當塗:旧淮南郡を置いた。陳平定後郡廃止、襄垣・於湖・繁昌・西郷を併合。天門山・楚山あり。
- 溧水:旧名は溧陽。開皇9年丹陽郡を廃して併合、18年改称。赭山・廬山・楚山あり。
宣城郡
統県6、戸19,979。旧南豫州を置いた。陳平定後宣州と改称。
- 宣城:旧名は宛陵、宣城郡を置いた。陳平定後郡廃止、懐安・甯国・当塗・浚遒四県を併合。大業初年郡設置。敬亭山あり。
- 涇:陳平定後、安呉・南陽二県を併合。蓋山・陵陽山あり。
- 南陵:梁が設置し南陵郡を置き、陳が北江州を置いた。陳平定後州郡ともに廃止、石城・臨城・定陵・故治・南陵五県を併合。
- 秋浦:旧名は石城。陳平定後廃止、開皇19年再置、改称。
- 永世:陳平定後廃止、開皇12年再置。霊光山あり。
- 綏安:旧名は石封、陳平定後改称。梁末に大梁郡を立て、のち陳留と改称。陳平定後郡廃止、大徳・故鄣・安吉・原郷四県を併合。
毗陵郡
統県4、戸17,599。陳平定後常州を置いた。
- 晋陵:旧晋陵郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年郡設置。横山あり。
- 江陰:梁が設置し江陰郡も置いた。陳平定後郡廃止。梁の利城豊県も併合。毗陵山あり。
- 無錫:九龍山あり。
- 義興:旧名は陽羨、義興郡を置いたが陳平定後郡廃止、県名も改称。義郷・国山・臨津三県も併合。計山・洞庭山あり。
吳郡
統県5、戸18,377。陳が呉州を置いた。陳平定後蘇州と改称、大業初年再び呉州と改称。
- 吳:旧呉郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年再置。胥山・横山・華山・黄山・姑蘇山、太湖あり。
- 昆山:梁が設置。陳平定後廃止、開皇18年再置。
- 常熟:旧名は南沙、梁が信義郡を置いた。陳平定後廃止、海陽・前京・信義・海虞・興国・南沙を併合。虞山あり。
- 烏程:旧呉興郡を置いた。陳平定後郡廃止、東遷県も併合。仁寿中湖州設置、大業初年州廃止。雉山あり。
- 長城:陳平定後廃止、仁寿2年再置。卞山あり。
會稽郡
統県4、戸20,271。梁が東揚州を置いた。陳の初め廃止したが後に復置。陳平定後呉州と改称し総管府設置。大業初年府廃止、越州設置。
- 會稽:旧会稽郡を置いたが陳平定後郡廃止、山陰・永興・上虞・始寧四県も併合、大業初年郡設置。稷山・種山・会稽山あり。
- 句章:陳平定後、余姚・鄞・鄮三県を併合。太白山・方山あり。
- 剡:桐柏山あり。
- 諸暨:泄溪・大農湖あり。
餘杭郡
統県6、戸15,380。陳平定後杭州を置いた。仁寿中総管府設置、大業初年府廃止。
- 錢唐:旧銭唐郡を置いた。陳平定後郡廃止、新城県も併合。大業3年余杭郡設置。粟山・石甑山・臨平湖あり。
- 富陽:石頭山・鶏籠山あり。
- 餘杭:由拳山・金鵝山あり。
- 於灊:天目山・石鏡山あり。桐渓あり。
- 鹽官:蜀山あり。
- 武康:陳平定後廃止、仁寿2年再置。封嵎山・青山・白鵠山あり。
新安郡
統県3、戸6,164。陳平定後歙州を置いた。
- 休甯:旧名は海寧、開皇18年改称。大業初年郡設置。
- 歙:陳平定後廃止、11年再置。
- 黟:陳平定後廃止、11年再置。
東陽郡
統県4、戸19,805。陳平定後婺州を置いた。
- 金華:旧名は長山、金華郡を置いた。陳平定後郡廃止、建徳・太末・豊安三県も併合、呉寧県と改称。12年東陽、18年改称。大業初年東陽郡設置。長山・龍山・楼山・丘山、赤松澗あり。
- 永康
- 烏傷:香山・歌山あり。
- 信安:江山・悲思嶺、定陽渓あり。
永嘉郡
統県4、戸10,542。開皇9年処州を置き、12年括州と改称。
- 括倉:陳平定後県設置、大業初年永嘉郡設置。縉雲山・括倉山あり。
- 永嘉:旧名は永寧、永嘉郡を置いた。陳平定後郡廃止、県名も改称。芙蓉山あり。
- 松陽
- 臨海:旧名は章安、臨海郡を置いた。陳平定後郡廃止、県名も改称。赤山・天台山あり。
建安郡
統県4、戸12,420。陳が閩州を置き廃止、のち豊州設置。陳平定後泉州と改称。大業初年閩州と改称。
- 閩:旧名は東侯官、晋安郡を置いた。陳平定後郡廃止、県は原豊と改称。12年閩、大業初年建安郡設置。岱山・飛山あり。
- 建安:旧建安郡を置いたが陳平定後廃止。
- 南安:旧名は晋安、南安郡を置いた。陳平定後郡廃止、県名も改称。莆田県も置いたがまもなく併合。
- 龍溪:梁が設置、開皇12年蘭水・綏安二県も併合。
遂安郡
統県3、戸7,343。仁寿3年睦州を置いた。
- 雉山:旧新安郡を置いた。陳平定後新安県として廃止。大業初年県名も改称、遂安郡設置。仙壇山あり。
- 遂安:陳平定後廃止、仁寿中再置。
- 桐廬:陳平定後廃止、仁寿中再置。白石山あり。
鄱陽郡
統県3、戸10,102。梁が呉州を置いたが陳で廃止。陳平定後饒州設置。
- 鄱陽:旧鄱陽郡を置いたが陳平定後廃止、陳の銀城県も廃止併合。大業初年再置。
- 余幹
- 弋陽:旧名は葛陽、開皇12年改称。弋水あり。
臨川郡
統県4、戸10,900。陳平定後撫州を置いた。
- 臨川:旧臨川郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業3年再置。銅山・黄山、夢水あり。
- 南城:五章山あり。
- 崇仁:梁が巴山郡を置き、大豊・新安・巴山・新建・興平・豊城・西寧七県を管轄。陳平定後郡県ともに廃止、その地に県を置いた。
- 邵武:開皇12年設置。
廬陵郡
統県4、戸23,714。陳平定後吉州を置いた。
- 廬陵:旧廬陵郡を置いたが陳平定後廃止、大業初年再置。
- 泰和:陳平定後設置、名は西昌。11年東昌を併合、改称。
- 安復:旧安成郡を置いたが陳平定後郡廃止、県は安成と改称。18年再び安複と改称。更生山・長嶺あり。
- 新淦:玉笥山あり。
南康郡
統県4、戸11,168。開皇9年虔州を置いた。
- 贛:旧名は南康、南康郡を置いた。陳平定後郡廃止。大業初年県名も改称、まもなく郡設置。儲山あり。贛水あり。
- 虔化:旧名は寧都、開皇18年改称。石鼓山あり。
- 雩都:旧廃止、陳平定後設置。金鶏山・君山あり。
- 南康:旧名は贛、大業初年改称。廩山・上洛山・贛山あり。
宜春郡
統県3、戸10,116。陳平定後袁州を置いた。
- 宜春:旧名は宜陽。開皇11年呉平県を併合、18年改称。大業初年郡設置。廬渓・渝水あり。
- 萍郷:宜春江あり。
- 新喻
豫章郡
統県4、戸12,021。陳平定後洪州総管府を置いた。大業初年府廃止。
- 豫章:旧豫章郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年再置。
- 豊城:陳平定後廃止。12年設置、名は広豊。仁寿初年改称。
- 建昌:開皇9年並・永修・豫章・新呉四県を併合。
- 建城:然石あり。
南海郡
統県15、戸37,482。旧広州を置き、梁・陳ともに都督府を置いた。陳平定後総管府設置。仁寿元年番州設置、大業初年府廃止。
- 南海:旧南海郡を置いた。陳平定後郡廃止、分けて番禺県を置いたがまもなく併合。大業初年郡設置。
- 曲江:旧始興郡を置いた。陳平定後廃止、16年湞陽県も併合。玉山・銀山あり。
- 始興:斉の名は正階、梁が改称、安遠郡も置き東衡州を設置。陳平定後郡を大庾県とし、ここに広州総管を置いた。開皇末年南海に移り、16年大庾を併合。
- 翁源:梁が設置、陳がまた清遠郡を置いた。陳平定後郡廃止。
- 增城:旧東官郡を置いたが陳平定後廃止。羅浮山あり。
- 寶安
- 樂昌:梁が設置、名は梁化、また平石県も分置。開皇12年平石を併合、18年改称。
- 四會:旧綏建郡を置き、また楽昌郡もあった。陳平定後二郡ともに廃止。大業初年始昌県も併合。
- 化蒙:大業初年威城県を併合。
- 清遠:旧清遠郡を置き、また威正・廉平・恩洽・浮護等四県を分置。陳平定後すべて廃止し清遠県を置いた。斉が置いた斉康郡もこの時廃止併合。
- 含洭:梁が衡州・陽山郡を置いた。陳平定後州を洭州と改称、郡廃止。20年州廃止。堯山あり。
- 政賓:旧東官郡を置いたが陳平定後廃止。
- 懷集
- 新會:旧新会郡を置いたが陳平定後郡廃止、盆允・永昌・新建・熙潭・化召・懐集六県も併合し封州とした。11年允州、後に岡州と改称。大業初年州廃止、封楽県も併合。社山あり。
- 義寧:開皇10年新夷・初賓二県を併合。始康県もあったが封平に併合。大業初年封平も併合。茂山あり。
龍川郡
統県5、戸6,420。陳平定後循州総管府を置いた。大業初年府廃止。
- 歸善:帯郡。帰化山・懐安山あり。
- 河源:開皇11年龍川県を併合。新豊県は18年休吉と改称、大業初年併合。龍山・亢山、修江あり。
- 博羅
- 興甯
- 海豐:黒龍山あり。漲海あり。
義安郡
統県5、戸2,066。梁が東揚州を置き、のち瀛州と改称、陳のとき州廃止。陳平定後潮州を置いた。
- 海陽:旧義安郡を置いたが陳平定後廃止。大業初年郡設置。鳳皇山あり。
- 程鄉
- 潮陽
- 海甯:龍渓山あり。
- 萬川:旧名は義招、大業初年改称。
高涼郡
統県9、戸9,917。梁が高州を置いた。
- 高涼:旧高涼郡を置いたが陳平定後廃止、大業初年再置。
- 連江:梁が連江郡を置いたが陳平定後郡廃止。梁が置いた梁封県は開皇18年義封と改称。梁の南巴郡は陳平定後南巴県として廃止。大業初年二県ともに併合。
- 電白:梁が電白郡を置いたが陳平定後郡廃止。海昌郡も廃止併合。
- 杜原:旧名は杜陵。梁が杜陵郡を置き、また永甯・宋康二郡もあった。陳平定後ともに県として廃止。18年杜陵を杜原、宋康を義康と改称。大業2年二県ともに杜原に併合。
- 海安:旧名は斉安、斉安郡を置いた。陳平定後郡廃止。開皇18年県名も改称。
- 陽春:梁が陽春郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 石龍:旧羅州・高興郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年州廃止。
- 吳川
- 茂名
信安郡
統県7、戸17,787。陳平定後端州を置いた。
- 高要:旧高要郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年信安郡設置。定山あり。
- 端溪:旧晋康郡を置いたが陳平定後郡廃止。端水あり。
- 樂城:開皇12年文招・悦成二県を併合。
- 平興:旧宋隆郡を置き、初甯・建甯・熙穆・崇徳・召興・崇化・南安等の県を管轄。陳平定後郡廃止、管轄県を併合。梁の梁泰郡・県も陳平定後郡廃止、県は清泰と改称。大業初年併合。
- 新興:梁が新州・新寧郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年州廃止、索盧県も併合。
- 博林:大業初年撫納県を併合。
- 銅陵:流南県があり開皇18年南流と改称。西城県は大業初年併合。
永熙郡
統県6、戸14,319。梁が瀧州を置いた。
- 瀧水:旧開陽県を置き、開陽・平原・羅陽等の郡を置いた。陳平定後郡はすべて廃止しそれぞれ県名とした。開皇18年平原を瀧水、羅陽県を正義と改称。大業初年永熙郡設置、開陽・正義ともに併合。
- 懷德:旧名は梁徳、梁徳郡を置いた。陳平定後郡廃止。18年懐徳と改称。
- 良德:陳が設置、名は務徳、後に改称。
- 安遂:梁が建州・広熙郡を置いたがまもなく廃止。州も大業初年廃止。
- 永業:梁が永業郡を置いたがまもなく県と改称、後に省く。開皇16年再置。
- 永熙:大業初年安南県を併合。
蒼梧郡
統県4、戸4,578。梁が成州を置き、開皇初年封州と改称。
- 封川:梁の名は梁信、梁信郡を置いた。陳平定後郡廃止。18年封川と改称。大業初年封興県も併合。
- 都城:開皇12年威城・晋化二県を併合。
- 蒼梧:旧蒼梧郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 封陽
始安郡
統県15、戸54,517。梁が桂州を置いた。陳平定後総管府設置。大業元年府廃止。
- 始安:旧始安郡・梁化郡を置いたが陳平定後ともに廃止。大業初年興安県も併合。
- 平樂:目山あり。
- 荔浦
- 建陵
- 陽朔
- 象
- 隋化
- 義熙:旧名は斉熙、斉熙郡・黄水郡・東寧州を置いた。陳平定後郡はすべて廃止。18年州を融州、県を義熙と改称。大業初年州廃止、臨牂・黄水二県も併合。
- 龍城
- 馬平:開皇12年象州を置いたが大業初年州廃止。
- 桂林:大業初年西寧県を併合。
- 陽壽:馬平・桂林・象・韶陽等四郡があったが陳平定後すべて廃止。淮陽県は開皇18年陽寧と改称、大業初年併合。
- 富川:旧臨賀・楽梁二郡を置いたが陳平定後ともに廃止し、賀州を置いた。大業初年州廃止、臨賀・綏越・蕩山三県を設置。
- 龍平:梁が静州・梁寿郡・静慰郡を置いたが陳平定後すべて廃止、帰化県を置いた。大業初年州廃止、帰化・安楽・博労三県も併合。
- 豪靜:梁が開江・武城二郡を置き、陳が逍遙郡を置いたが陳平定後すべて廃止。猛陵・開江二県も大業初年併合。
永平郡
統県11、戸34,049。陳平定後藤州を置いた。
- 永平:旧永平郡を置いたが陳平定後廃止。大業郡設置。
- 武林:燕石山あり。
- 隋建:開皇19年設置。
- 安基:梁が建陵郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 隋安:開皇19年設置。
- 普甯:旧名は陰石、梁が陰石郡を置いた。陳平定後郡廃止、県は奉化と改称。開皇19年再び改称。
- 戎成:梁が設置、名は遂成。開皇11年改称。農山あり。
- 甯人:開皇15年設置、名は安人。18年改称。寿原山あり。
- 淳人:開皇19年設置。
- 大賓:開皇15年設置。
- 賀川:開皇19年設置。陳の建陵・綏越・蒼梧・永建等四郡は陳平定後すべて廃止。
郁林郡
統県12、戸59,200。梁が定州を置き、のち南定州と改称。陳平定後尹州と改称。大業初年鬱州と改称。
- 郁林:旧郁林郡を置いたが陳平定後廃止。大業初年再置。武平・竜山・懐澤・布山四県も併合。
- 郁平
- 領方:梁が領方郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 阿林
- 石南:陳が石南郡を置いたが陳平定後廃止。
- 桂平:梁が桂平郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年皇化県も併合。
- 馬度
- 安成:梁が安成郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 甯浦:旧寧浦郡を置き、梁が分けて簡陽郡を置いた。陳平定後郡廃止、簡州設置。18年緑州と改称。大業2年州廃止。
- 樂山:梁が楽陽郡を置いた。陳平定後楽陽県と改称。18年改称。
- 嶺山:梁が嶺山郡を置いた。陳平定後嶺県と改称。18年嶺山と改称。大業初年武縁県も併合。武縁山あり。
- 宣化:旧晋興郡を置いたが陳平定後県として廃止。開皇18年改称。
合浦郡
統県11、戸28,690。旧越州を置いた。大業初年禄州、のち合州と改称。
- 合浦:旧合浦郡を置いたが陳平定後廃止。大業初年郡設置。
- 南昌
- 北流:大業初年陸川県を併合。
- 封山:大業初年廉昌県を併合。
- 定川:旧定川郡を置いたが陳平定後廃止。
- 龍蘇:旧龍蘇郡を置いたが陳平定後廃止。大業初年大廉県も併合。
- 海康:梁の大通中、番州から合浦を割いて高州を置き、のちまた合州を分置。大同末、合肥を合州としたため、ここに南合州を置いた。陳平定後ここを合州とし海康県を設置。大業初年州廃止、摸落・羅阿・雷川三県も併合。
- 抱成:旧名は抱、郡も置いた。陳平定後郡廃止。18年抱成と改称。
- 隋康:旧名は斉康、斉康郡を置いた。陳平定後郡廃止、県名も改称。
- 扇沙:旧椹県があり、開皇18年椹川と改称、大業初年併合。
- 鐵杷:開皇10年設置。
珠崖郡
統県10、戸19,500。梁が崖州を置いた。
- 義倫
- 感恩
- 顏盧
- 毗善
- 昌化:藤山あり。
- 吉安
- 延德
- 寧遠
- 澄邁
- 武德:扶山あり。
甯越郡
統県6、戸12,670。梁が安州を置き、開皇18年欽州と改称。
- 欽江:旧宋寿郡を置いたが陳平定後廃止。開皇18年欽江と改称、大業初年寧越郡設置。
- 安京:旧安京郡を置いたが陳平定後廃止。羅浮山あり。武郎江あり。
- 內亭:旧宋広郡を置いたが陳平定後廃止。17年新化県と改称、18年改称。
- 南賓:開皇18年設置。
- 遵化:開皇20年設置。
- 海安:梁が設置、名は安平、黄州・寧海郡を置いた。陳平定後郡廃止。18年州を玉州と改称。大業初年州廃止、その年海平・玉山二県も併合。
交趾郡
統県9、戸30,056。旧交州を置いた。
- 宋平:旧宋平郡を置いたが陳平定後廃止。大業初年交趾郡設置。
- 龍編:旧交趾郡を置いたが陳平定後廃止。
- 硃枿:旧武平郡を置いたが陳平定後廃止。
- 隆平:旧名は武定、武平郡を置いたが陳平定後廃止。開皇18年県名も改称。
- 平道:旧名は国昌、開皇12年改称。
- 交趾
- 嘉甯:旧興州・新昌郡を置いたが陳平定後廃止。18年峰州と改称、大業初年州廃止。
- 新昌
- 安人:旧名は臨西、開皇18年改称。
九真郡
統県7、戸16,135。梁が愛州を置いた。
- 九真:帯郡。陽山・堯山あり。
- 移風:旧九真郡を置いたが陳平定後廃止。
- 胥浦
- 隆安:旧名は高安、開皇18年改称。
- 軍安
- 安順:旧名は常楽、開皇16年改称。
- 日南
日南郡
統県8、戸9,915。梁が徳州を置き、開皇18年驩州と改称。
- 九德
- 咸驩
- 浦陽
- 越常
- 金甯:梁が利州を置いた。開皇18年智州と改称、大業初年州廃止。
- 交谷:梁が明州を置いたが大業初年州廃止。
- 安遠
- 光安:旧名は西安、開皇18年改称。
比景郡
統県4、戸1,815。大業元年林邑を平定し蕩州を置き、まもなく郡と改称。
- 比景
- 硃吾
- 壽泠
- 西捲
海陰郡
統県4、戸1,100。大業元年林邑を平定し農州を置き、まもなく郡と改称。
- 新容
- 真龍
- 多農
- 安樂
林邑郡
統県4、戸1,220。大業元年林邑を平定し沖州を置き、まもなく郡と改称。
- 象浦
- 金山
- 交江
- 南極
『禹貢』に「海・岱及び淮は徐州」とあり、揚州は「淮海惟揚州」にあたる。天官では斗12度から須女7度、星紀に属し辰では丑、呉・越の分野にあたる。江南の風俗は火耕水耨、魚と稲を食し漁猟を業とする。蓄積の資には乏しいが飢えることは少ない。鬼神を信じ淫祀を好み、父子が別居することもある。江都・弋陽・淮南・鐘離・蘄春・同安・廬江・曆陽の人は気性が荒く決断力があり、禍を包み隠し死を軽んじる。戦では詐術を尊ぶのが旧風であったが、陳平定後は風俗が変わり質朴・倹約を尚び、婚喪の礼も次第に礼にかなうようになった。丹陽は旧都であり人物が盛んで、庶人は商売を、士人は官禄を頼りとし、市肆の賑わいは二京に並ぶ。人が五方から集まるため風俗も似通う。京口は東は呉会、南は江湖、西は都邑に通じ、これも一都会である。人は戦いに習熟し天下の精兵と称される。5月5日には力比べの遊戯を行い、講武に似た行事とする。宣城・毗陵・呉郡・会稽・餘杭・東陽もこれと同様の風俗を持つ。これらの諸郡は川沢が肥沃で海陸の産物に富み、珍異が集まるため商賈が集中する。士人は礼を尊び庶人も敦厚で風俗は清らかであり、道教も盛んである。豫章の風俗は呉中に似て、士人は住まいを重んじ庶人は農耕に勤める。士大夫の家には複数の妻を持つ者が多く、女性が市場に出て銭を稼ぎ夫を養う。孝廉に挙げられると富める後妻を求め、長年連れ添った前妻は子女がいても捨てられることが多い。争訟は少なく歌舞を好む。年に4、5回蚕を飼い紡績に励み、夜に紗を洗って朝には布に仕上げる者もあり、これを鶏鳴布と呼ぶ。新安・永嘉・建安・遂安・鄱陽・九江・臨川・廬陵・南康・宜春もほぼ豫章と同様だが、廬陵は人が篤実で長寿の者が多い。ただしこれらの郡は蠱を畜う風習があり、宜春が特に甚だしい。5月5日に百種の虫を集め、蛇から虱まで器に入れ互いに食い合わせ、最後に残った一種を蛇蠱・虱蠱と呼び、人を殺す毒として用いる。食べ物に混ぜて食べさせると、その人の五臓を食い死ぬと財産が蠱主の家に移るという。3年間他人を殺さないと畜う者自身が害を受けるとされ、代々子孫に伝わり、嫁ぐ女性に付いていくこともある。幹宝はこれを鬼のしわざとしたが実際は違う。侯景の乱以後、蠱を畜う家の多くは絶え、主のいない蠱は道を漂って死ぬという。
嶺南の20余郡は概して低湿で瘴癘が多く、人は早世しやすい。南海・交趾はそれぞれ一都会であり、海に近く犀・象・玳瑁・珠璣など珍宝が多いため商賈が集まり富を得る者が多い。人は気性が軽悍で反乱を起こしやすく、椎髻胡座が旧俗である。俚人は質直で信を尊び、諸蛮は勇敢で自立心が強く、賄賂を重んじ死を軽んじ、富める者を雄とする。巣居や崖に住み農事に力を尽くす。木に刻んで契約とし、誓いを立てれば死ぬまで変えない。父子は財産を別にし、父が貧すれば子に身を委ねることもある。諸獠もみな同様である。銅の大鼓を鋳造し、完成すると庭に懸けて酒を用意し同族を招く。来訪者に富裕な子女がいれば金銀の大釵を用い鼓を叩き、最後にそれを主人に贈る、これを銅鼓釵と呼ぶ。互いに殺し合うことを好み仇怨を構えやすく、攻撃しようとする時はこの鼓を鳴らし、集まる者は雲のようである。鼓を持つ者は「都老」と呼ばれ人々に推服される。もとは尉佗が漢に対し「蛮夷大酋長、老夫臣」と自称した故事によるもので、俚人が尊者を「倒老」と呼び、訛って「都老」となったという。
荊州
南郡
統県10、戸58,836。旧荊州を置いた。西魏が梁を蕃国に封じ、江陵総管府も置いた。開皇初年府廃止。7年梁を併合し江陵総管を置き、20年荊州総管と改称。大業初年廃止。
- 江陵:帯南郡。開皇初年郡廃止、大業初年再置。
- 長楊:開皇8年設置、睦州も設置したが17年州廃止。宜陽山あり。
- 宜昌:開皇9年松州を設置、また帰化・受陵二県を併合。11年州廃止、宜都県も併合。丹山・黄牛山あり。
- 枝江
- 當陽:後周が平州を置き漳川・安遠二郡を管轄、梁蕃に属した。開皇7年玉州と改称、9年州郡ともに廃止。梁が置いた安居県は開皇18年昭丘と改称、大業初年荊台と改称、まもなく併合。清渓山あり。
- 松滋:江左の旧河東郡を置いたが陳平定後郡廃止。涔水あり。
- 長林:旧名は長寧県。開皇11年長林県を併合、18年長林と改称。
- 公安:陳が荊州を置いた。開皇9年孱陵・永安二県を併合。黄山あり。霊渓水あり。
- 安興:旧広牧県を置いたが開皇11年安興県を併合、仁寿初年安興と改称。定襄県も大業初年併合。
- 紫陵:西魏が華陵県を置き、後周が改称。城の南側に梁が都州・雲沢県を置いた。大業初年州県ともに廃止併合。硤石山あり。
夷陵郡
統県3、戸5,179。梁が宜州を置き、西魏が拓州、後周が硤州と改称。
- 夷陵:帯郡。馬穴あり。
- 夷道:旧宜都郡を置いたが開皇7年廃止。女観山あり。
- 遠安:旧名は高安、汶陽郡を置いた。周が県を安遠と改称。開皇7年郡廃止。
竟陵郡
統県8、戸53,385。旧郢州を置いた。
- 長壽:後周が石城郡を置いたが開皇初年郡廃止、大業初年竟陵郡設置。梁の北新州及び梁寧等八郡は後周保定中に州と八郡総管ともに廃止併合。敖山あり。
- 藍水:宋が馮翊郡・蓮勺県を僑置し、西魏が郡を漢東、県を藍水と改称。宋が置いた高陸県も西魏が滶水と改称。開皇初年郡廃止、大業初年滶水も併合。唐水あり。
- 棨川:後周が設置し滶川郡も置いた。また清県を置き西魏が滶陂と改称。開皇初年郡廃止、大業初年滶陂も併合。
- 漢東:斉が設置、名は上蔡、斉興郡も置いた。後周が郡廃止。開皇18年県名も改称。東温山あり。
- 清騰:梁が設置、名は梁安、崇義郡も置いた。後周が郡廃止。後周がまた遂安郡を置いたが開皇初年廃止、7年改称。清騰山あり。
- 樂鄕:旧武寧郡を置き、西魏が鄀州を置いた。梁が置いた旌陽県は後に恵懐と改称、西魏が武山と改称。開皇7年郡廃止、大業初年州廃止、武山も併合。武陵山あり。
- 豐鄉:西魏が設置、また基州・章山郡も置いた。開皇7年郡廃止、大業初年州廃止。
- 章山:西魏が設置、名は禄麻、上黄郡も立てた。開皇7年郡廃止、大業初年県名も改称。
沔陽郡
統県5、戸41,714。後周が複州を置き、大業初年沔州と改称。
- 沔陽:梁が沔陽・営陽・州城三郡を置いた。西魏が州陵・恵懐二県を省き建興県を設置。後周が複州を置き、営陽・州城二郡を建興に併合。開皇初年州が移り郡廃止、仁寿3年州を再置。大業初年建興を沔陽と改称、州廃止、沔陽郡を再置。
- 監利
- 竟陵:旧名は霄城、竟陵郡を置いた。後周が県を竟陵と改称。開皇初年複州設置、仁寿3年州が建興に移った。京山県は斉が建安郡を置いたが西魏が光川と改称、後周で郡廃止。大業初年京山県も併合。
- 甑山:梁が梁安郡を置いた。西魏が魏安郡と改称し江州設置、まもなく郡を汶川と改称。後周が甑山県を置き、建徳2年州廃止。開皇初年郡廃止。陽台山あり。
- 漢陽:開皇17年設置、名は漢津、大業初年改称。沌水あり。
沅陵郡
統県5、戸4,140。開皇9年辰州を置いた。
- 沅陵:旧沅陵郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年復置。
- 大鄉
- 鹽泉
- 龍檦:梁が設置。武山あり。
- 辰溪:旧名は辰陽。陳平定後改称、旧夜郎郡を廃し静人県を置いたがまもなく廃止。梁が置いた南陽郡・建昌県も陳で県を廃止。開皇初年郡廃止、寿州を置き、18年充州と改称、大業初年州廃止。郎渓あり。
武陵郡
統県2、戸3,416。梁が武州を置き、のち沅州と改称。陳平定後朗州とした。
- 武陵:旧武陵郡を置いたが陳平定後郡廃止、臨沅・沅南・漢寿三県を併せ武陵県とした。大業初年武陵郡再置。望夷山・竜山あり。
- 龍陽:白査湖あり。
清江郡
統県5、戸2,658。後周が亭州を置き、大業初年庸州と改称。
- 鹽水:後周が県を設置、資田郡も置いたが開皇初年郡廃止、大業初年清江郡設置。
- 巴山:梁が宜都郡・宜昌県を置き、後周が江州を置いた。開皇初年清江県を置き、18年江州を津州と改称、大業初年州廃止、清江も併合。
- 清江:後周が施州・清江郡を置いた。開皇初年郡廃止、5年清江県設置、大業初年州廃止。陽瞿水にある。
- 開夷:後周が設置、名は烏飛、開皇初年改称。
- 建始:後周が業州・軍屯郡を置いた。開皇初年郡廃止、5年県設置、大業初年州廃止。
襄陽郡
統県11、戸99,577。江左が雍州を僑置した。西魏が襄州と改称し総管府設置。大業初年府廃止。
- 襄陽:帯襄陽郡。開皇初年郡廃止、大業初年再置。鐘山・峴山・鳳林山あり。
- 安養:西魏が河南郡を置き、後周が樊城・山都二県を併合。開皇初年郡廃止。
- 穀城:旧名は義城、義城郡を置いた。後周が郡廃止、開皇18年県名も改称。梁の築陽県は開皇初年廃止、梁の興国・義城二郡も西魏で廃止。穀城山・闕林山あり。
- 上洪:宋が略陽県を僑置し、梁が徳広郡を置いた。西魏が県を上洪と改称。開皇初年郡廃止。梁の新野郡は西魏が威寧と改称、後周で廃止。亜山あり。
- 率道
- 漢南:宋の名は華山、華山郡を置いた。西魏が県を漢南と改称、宜城郡に属させた。後周が武建郡・恵懐・石梁・帰仁・鄢等四県を廃止併合、後に宜城郡を武泉に併合。梁の秦南郡も後周で武泉県ともに廃止。石梁山あり。
- 陰城:西魏が酂城郡を置いたが後周で廃止。梁の南陽郡も西魏で山都郡と改称、後周で省く。
- 義淸:梁が設置、名は穣県。西魏が義清と改称、帰義郡に属させた。後周が郡・左安・開南・帰仁三県を廃止併合。武泉郡は開皇初年廃止。柤山・霊山、檀渓水・襄水あり。
- 南漳:西魏が新安・武昌・武平・安武・建平五県を併せ設置、初めは重陽、また南襄陽郡を置いた。後周が沮州を置いたがまもなく廃止、重陽県を思安と改称。開皇初年郡廃止、18年南漳と改称。荊山あり。
- 常平:西魏が設置、名は義安、長湖郡を置き、後に県を常平と改称。開皇初年郡廃止。後魏が置いた旱停県は大業初年廃止。
- 鄀
舂陵郡
統県6、戸42,847。後魏が南荊州を置き、西魏が昌州と改称。
- 棗陽:旧名は広昌、広昌郡を置いた。開皇初年郡廃止、仁寿元年県名も改称。大業初年舂陵郡設置。西魏が置いた東荊州もまもなく廃止。霸山あり。溲水あり。
- 舂陵:旧安昌郡を置いたが開皇初年郡廃止。後魏が置いた豊良県は大業初年廃止。石鼓山あり。四望水あり。
- 淸潭:大洪山あり。淯水あり。
- 湖陽:後魏が西淮安郡・南襄州を置いたが後に郡廃止、州を南平州と改称。西魏が升州と改称、後にまた湖州と改称。後周が升平郡と改称。開皇初年郡廃止。仁寿初年升州と改称、大業初年州廃止。後魏の順陽郡は西魏が柘林郡と改称。後周が郡を省き県を柘林と改称。大業初年県廃止併合。蓼山あり。
- 上馬:後魏が設置、名は石馬、後に訛って上馬となり改称。鐘離県があり、洞州・洞川郡を置いた。後周で州廃止、開皇初年郡廃止。18年鐘離を洞川県と改称、大業初年併合。
- 蔡陽:梁が蔡陽郡を置き、後魏が南雍州を置いた。西魏が蔡州と改称、南陽県を分置、後に双泉と改称。また千金郡・瀴源県も置いた。開皇初年郡ともに廃止、大業初年州廃止、双泉・瀴源二県も併合。唐子山・大鼓山あり。瀴水あり。
漢東郡
統県8、戸47,193。西魏が并州を置き、後に隋州と改称。
- 隋:旧随郡を置き、西魏がまた㵐西郡・㵐西県を分置。梁がまた曲陵郡を置いた。開皇初年郡はすべて廃止。大業初年㵐西県も廃止、まもなく漢東郡設置。
- 土山:梁の名は龍巣、土州・東西二永寧・真陽三郡を置き、また石武県も置いた。後周が三郡を廃し斉郡とし、龍巣を左陽と改称。また阜陵県があり漳川県と改称。開皇初年郡廃止。18年左陽を真陽、石武を宜人と改称。大業初年真陽を土山と改称、州と宜人・漳川はすべて併合。
- 唐城:後魏の名は㵐西、義陽郡を置いた。西魏が㵐西を下溠と改称、肆州を立て、のち唐州と改称。後周が均・款・溳・帰四州を省き唐州と改称。また東魏の南豫州はここで㵐川郡と改称、清嘉県も置いた。開皇初年郡ともに廃止。16年下溠を唐城と改称、大業初年州及び諸県すべて廃止併合。清台山あり。㵐水あり。
- 安貴:梁が設置、名は定陽、また北郢州も置いた。西魏が定陽を安貴、北郢州を款州と改称、まもなく廃止して溳水郡とし、別に戟城郡・戟城県を置いた。後に戟城郡を廃し戟城県を横山と改称。開皇初年溳水郡廃止、大業初年横山県も併合。
- 順義:梁が北随郡を置いた。西魏が南陽と改称、淮南郡を分置、厲城・順義二県を併せ冀州とし、のち順州と改称、また安化県も置いた。開皇初年郡ともに廃止、18年安化を寧化と改称。大業初年州廃止、厲城を順義と改称、旧順義・寧化ともに併合。浮山あり。
- 平林:梁が上明郡を置いたが開皇初年廃止。漂水あり。
- 上明:西魏が設置、名は洛平県、開皇18年改称。鸚鵡山あり。
- 光化:旧名は安化、西魏が新化と改称、後周がまた改称。
安陸郡
統県8、戸68,042。梁が南司州を置いたがまもなく廃止。西魏が安州総管府を置き、開皇14年府廃止。
- 安陸:旧安陸郡を置いたが開皇初年郡廃止、大業初年再置。旧永陽県は西魏が吉陽と改称、この時併合。
- 孝昌:西魏が岳州・岳山郡を置いたが後周で州郡ともに廃止。岩岳郡も開皇初年廃止。鳳皇岡あり。
- 吉陽:梁が設置、名は平陽、汝南郡を立てた。西魏が郡を董城、県を京池と改称。後周が岩州を置いたがまもなく州郡ともに廃止。大業初年県を吉陽と改称。梁の義陽郡は西魏が南司州と改称、まもなく廃止。
- 應陽:西魏が設置、名は応城、また城陽郡も置いた。開皇初年郡廃止、大業初年県名も改称。潼水・温水あり。
- 雲夢:西魏が設置。
- 京山:旧名は新陽、梁が新州・梁寧郡を置いた。西魏が州を温州、県を角陵と改称、また盤陂県も置いた。開皇初年郡廃止、大業初年州廃止、角陵を京山と改称、盤陂も併合。角陵山・京山あり。
- 富水:旧名は南新市。西魏が富水と改称、また富水郡も置いた。開皇初年郡廃止。
- 應山:梁が設置、名は永陽、応州も置き、また平靖郡も置いた。西魏がまた平靖県を置いた。開皇初年郡廃止、大業初年州廃止、平靖県も併合。大亀山・安居山あり。
永安郡
統県4、戸28,398。後斉が衡州を置き、陳で廃止、後周がまた設置、開皇5年黄州と改称。
- 黃岡:斉の名は南安、また斉安郡も置いた。開皇初年郡廃止、18年黄岡と改称。また後斉が巴州を置いたが陳で廃止。後周が置いた州は名を弋州とし、西陽・弋陽・辺城三郡を統轄。開皇初年州郡はすべて廃止、大業初年永安郡設置。
- 黃陂:後斉が南司州を置いた。後周が黄州と改称し総管府設置、また安昌郡も置いた。開皇初年府廃止。また後斉が滻州を置いたが陳がこれを廃止。
- 木蘭:梁の名は梁安、梁安郡を置き、また永安・義陽二郡も置いた。後斉が湘州を置き、後に北江州と改称。開皇初年別に廉城県を置いたが、まもなく州及び二郡は相次いで廃止。18年県名を木蘭と改称。
- 麻城:梁が信安を置き、また北西陽県も置いた。陳が北西陽を廃し定州を置いた。後周が州を亭州と改称、また建甯・陰平・定城三郡も置いた。開皇初年州郡はすべて廃止、18年県名も改称。陰山あり。
義陽郡
統県5、戸45,930。斉が司州を置いた。梁が北司州、のち再び司州と改称。後魏が郢州、後周が申州と改称、大業2年義州とした。
- 義陽:旧名は平陽、宋安郡を置いた。開皇初年郡廃止、県名も改称。大業初年義陽郡設置。大亀山・金山あり。
- 鐘山:旧名は𨞚。後斉が斉安と改称、郡も置いた。開皇初年郡廃止、県は鐘山と改称。鐘山あり。
- 羅山:後斉が設置、名は高安。開皇初年廃止、16年設置、名は羅山。
- 禮山:旧名は東随、開皇9年改称。関官あり。礼山あり。
- 淮源:後斉が設置、名は慕化、淮安郡を置いた。開皇初年郡廃止、大業初年県名も改称。油水あり。
九江郡
統県2、戸7,617。旧江州を置いた。
- 湓城:旧名は柴桑、尋陽郡を置いた。梁がまた汝南県を立てた。陳平定後郡廃止、汝南・柴桑二県も廃止し尋陽県を立て、18年彭蠡と改称。大業初年郡設置、県名も改称。巣湖・彭蠡湖、廬山・望夫山あり。
- 彭澤:梁が太原郡を置き、彭沢・晋陽・和城・天水を管轄。陳平定後郡県ともに廃止、竜城県を置いた。開皇18年改称。釣磯あり。
江夏郡
統県4、戸13,771。旧郢州を置いた。梁が分けて北新州を置き、まもなく北新から土・富・洄・泉・豪五州を分置。陳平定後鄂州と改称。
- 江夏:旧江夏郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年再置。烽火山・塗水あり。
- 武昌:旧武昌郡を置いたが陳平定後郡廃止、西陵・鄂二県も併合。樊山・白紵山あり。
- 永興:陳の名は陽新。陳平定後富川と改称。開皇11年永興県を併合、18年改称。五竜山あり。
- 蒲圻:梁が上雋郡を置き、また沙陽県も置き沙州を設置、州はまもなく廃止。陳平定後郡廃止。石頭山・魚岳山・鮑山あり。
澧陽郡
統県6、戸8,906。陳平定後松州を置いたが、まもなく澧州と改称。
- 澧陽:陳平定後県を設置、大業初年郡設置。薬山あり。油水あり。
- 石門:旧天門郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 孱陵:旧名は作唐、南平郡を置いたが陳平定後郡廃止、県名も改称。
- 安鄉:旧義陽郡を置いたが陳平定後郡廃止。皇山あり。
- 崇義:後周が衡州を置いた。開皇中県を設置、命名。18年州を崇州と改称、大業初年州廃止。澧水あり。
- 慈利:開皇中設置、名は零陵、18年改称。始零山あり。
巴陵郡
統県5、戸6,934。梁が巴州を置いた。陳平定後岳州、大業初年羅州と改称。
- 巴陵:旧巴陵郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年再置。
- 華容:旧名は安南、梁が南安湘郡を置いたがまもなく廃止。開皇18年県名も改称。
- 沅江:梁が設置、名は薬山、郡とした。陳平定後郡廃止、県を安楽と改称、18年沅江と改称。
- 湘陰:梁が岳陽郡・羅州を置いたが陳で州廃止。陳平定後郡及び湘陰を廃し岳陽県に併合、玉州を設置。のち岳陽を湘陰と改称、玉山県も併合。12年玉州廃止。
- 羅:開皇9年呉昌・湘濱二県を併合。渭水・汨水あり。
長沙郡
統県4、戸14,275。旧湘州を置いた。陳平定後潭州総管府設置、大業初年府廃止。
- 長沙:旧名は臨湘、長沙郡を置いた。陳平定後郡廃止、県名も改称。銅山・錫山あり。
- 衡山:旧衡陽郡を置いたが陳平定後郡廃止、衡山・湘郷・湘西三県も併合。
- 益陽:陳平定後新康県も併合。浮梁山あり。
- 邵陽:旧邵陵郡を置いたが陳平定後郡廃止、扶夷・都梁二県も併合。
衡山郡
統県4、戸5,068。陳平定後衡州を置いた。
- 衡陽:旧湘東郡を置いたが陳平定後郡廃止、臨烝・新城・重安三県も併合。衡山・武水・連水あり。
- 洡陰:旧名は洡陽。陳平定後改称。肥水・酃水あり。
- 湘潭:陳平定後茶陵・攸水・陰山・建寧四県を併合。武陽山あり。曆水あり。
- 新甯:宜渓水・舂江あり。
桂陽郡
統県3、戸4,666。陳平定後郴州を置いた。
- 郴:旧桂陽郡を置いたが陳平定後郡廃止、大業初年再置。万歳山あり。溱水あり。
- 臨武:華陰山あり。
- 盧陽:陳が盧陽郡を置いたが陳平定後郡廃止。淥水あり。
零陵郡
統県5、戸6,845。陳平定初年永州総管府を置いたが、まもなく府廃止。
- 零陵:旧名は泉陵、零陵郡を置いた。陳平定後郡廃止、応陽・永昌・祁陽三県も併合。大業初年再置。
- 湘源:陳平定後洮陽・灌陽・零陵三県を廃止し県を置いた。黄華山あり。観水・湘水・洮水あり。
- 永陽:旧名は営陽、梁が永陽郡を置いた。陳平定後郡廃止、営浦・謝沐二県も併合。
- 營道:陳平定後冷道・舂陵二県を併合。九疑山・営山あり。
- 馮乘:馮水あり。
熙平郡
統県9、戸10,265。陳平定後連州を置いた。
- 桂陽:梁が陽山郡を置いたが陳平定後郡廃止。大業初年熙平郡設置。貞女山・方山あり。盧水・洭水あり。
- 陽山:斟水あり。
- 連山:梁が設置、名は広徳、隋が広沢と改称、仁寿元年改称。黄連山あり。
- 宣樂:梁が設置、名は梁楽、梁楽郡も置いた。陳平定後郡廃止、18年宣楽と改称。
- 游安
- 熙平:旧斉楽郡を置いたが陳平定後郡廃止。
- 武化
- 桂嶺:旧名は興安、開皇18年改称。
- 開建:梁が南静郡を置いたが陳平定後郡廃止。
『尚書』に「荊及び衡陽は荊州なり」とある。天文では張17度から軫11度、鶉首に属し辰では巳、楚の分野にあたる。風俗・物産は概ね揚州と同じで、人は勁悍・決烈な気性が多いが、これも天性によるものである。南郡・夷陵・竟陵・沔陽・沅陵・清江・襄陽・舂陵・漢東・安陸・永安・義陽・九江・江夏の諸郡には蛮左が多く雑居し、夏人と雑居する者は華人と変わらない。山谷の僻地に住む者は言語も通じず嗜好や住まいも全く異なり、巴・渝の風俗に近い。諸蛮はもともと盤瓠の後裔を称し、班布を服飾に用いる。「蛮」と呼ばれることを深く忌む。晋室の南遷以後、南郡・襄陽は重鎮となり四方から人が集まり、衣冠の士も多く、次第に礼儀・経籍を尊ぶようになった。九江は要衝の地であり、江夏・竟陵・安陸もそれぞれ名州として藩鎮の重責を担い、人物は他郡と異なる。荊州は概して鬼を敬い祠祀の事を重んじる。昔屈原が『九歌』を作ったのもこれによる。屈原が5月望日に汨羅に身を投じた後、土地の人が洞庭まで追ったが見つからず、湖は広く船は小さく渡り切れず、「何によって湖を渡れようか」と歌い、舟を漕いで先を争い亭に集まった。これが伝わり競渡の遊戯となった。速い櫂で競い漕ぎ歌を響かせ水陸を賑わせ、見物人は雲のように集まる。諸郡でこれが行われるが南郡・襄陽で特に盛んである。この二郡にはまた牽鉤の遊戯があり、講武に由来するとされ、楚が呉を伐つ際の教戦法が伝わり続いているという。鉤を引く時は太鼓の合図があり、大勢で歌い叫んで遠近を驚かせ、これで豊穣を招くとされ、他郡にも伝わった。梁の簡文帝が雍部に臨んだ際これを禁じたためやや廃れた。喪礼は被髪袒踊はないが号泣する。死者が出るとまず庭に遺体を置き、室内には留めない。殮が終わると山中に送り、13年を期限とする。まず吉日を選び小さな棺に移す、これを拾骨という。拾骨は必ず女婿が行う、蛮は女婿を重んじるためこれに委ねる。拾骨する者は肉を除き骨を取り、小さいものを捨て大きいものを取る。葬儀の夜には女婿が数十人集まり、宗長の家に集まって芒の心の接籬を着け、これを茅綏と呼ぶ。それぞれ一丈ほどの竹竿を持ち、上部三、四尺には枝葉を残す。その行進には節奏があり、歌い叫ぶことにも定まった作法がある。伝えでは盤瓠が死んだ際、木に置いて竹で刺して下ろしたことに由来し、これを隠して「刺北斗」と呼ぶという。葬儀の後の祭りでは親疎ともに哭泣し、哭き終わると家族が集まり歓飲して帰り、再び祭哭はしない。左人はまた異なり、衰服も反魂もない。死者が出ると遺体を館舎に安置し、近隣の若者が弓矢を持ち遺体を囲んで歌い、矢で弓を叩いて拍子をとる。歌詞は生前の楽事から死に至るまでを歌い、今の挽歌に似る。数十曲を歌ってから衣衾で棺に納め、山林に送り、別に廬舎を建てて棺柩を安置する。村の側に埋めて二、三十の喪が集まるのを待ち、まとめて石窟に葬ることもある。長沙郡にはまた夷蜒が雑居し、「莫徭」と呼ばれる。先祖に功があり常に徭役を免れたためこの名があるという。男は白布の褌衫のみを着け頭巾や袴を用いず、女は青布の衫に班布の裙を着け、履物は履かない。婚姻には鉄鈷莽を聘財として用いる。武陵・巴陵・零陵・桂陽・澧陽・衡山・熙平もみな同様で、喪葬の作法も諸左とほぼ同じである。