楊家將演義第十八回 呼延賛が遼兵と大戦し、楊業が李陵碑で殉節する (呼延贊大戰遼兵 李陵碑楊業死節)

潘仁美の謀略

潘仁美軍は黄龍隘に至り東西二営を布陣した。仁美は楊業父子への恨みを腹心の米教練らに漏らすが、保官の呼延賛がいるため手が出せずにいた。米教練は「番兵が来襲した際、先鋒未着を口実に呼延賛を先に出陣させ、援軍を送らず見殺しにすればよい」と献策し、仁美はこれに従うことにした。

呼延賛の苦戦と楊業の救援

番兵が来襲すると、仁美は呼延賛に単独で応戦させた。呼延賛は番将蕭撻懶と激戦の末これを退けるが、追撃するうちに孤立し、耶律斜軫の伏兵に囲まれ苦戦する。そこへ楊業・延昭父子が駆けつけて番将貺雲龍を討ち取り、呼延賛を救出した。

翌日、楊業の到着が遅れたことを知った仁美は激怒し、軍法により処刑しようとする。楊業は「勅命により雄州の兵をまとめてから出発した」と弁明するが仁美は聞かず、縛り上げて処刑を命じる。そこへ呼延賛が駆けつけて縄を解かせ、仁美を「昨日の戦で見殺しにしようとした」と厳しく叱責し、太宗より賜った金簡を示して楊業父子を守る意志を示した。仁美は言葉を失う。

呼延賛の遠ざけと陳家谷の伏兵

米教練はさらに「軍糧不足を口実に呼延賛を後方に下げさせ、その隙に楊業を除く」よう献策する。仁美はこれに従い、呼延賛に糧秣調達のため汴京へ戻るよう命じた。呼延賛は不安を感じつつも楊業に留守を託し出発する。(詩:忠勤の将が時を得ぬ悲しみを詠む)

呼延賛が去ったのを見た仁美は番軍に決戦を挑む。番将蕭撻懶は楊業父子の武勇を警戒し、地形険しい陳家谷に伏兵を配して誘い込む策を耶律斜軫・耶律奚底に授けた。

狼牙村の戦いと李陵碑での自刃

仁美は楊業に先鋒として出撃させようとするが、楊業は当日が凶日であること、援軍未着であることを理由に慎重を期すよう求めた。仁美は聞き入れず出撃を強要する。楊業は陳家谷の地形の険しさを指摘し、そこへの伏兵警戒と後詰めを要請するが、仁美は自ら兵を出さなかった。副将の賀懐浦は仁美の私怨による見殺しを見かね、独断で楊業に協力を申し出る。

楊業は延昭・延嗣と賀懐浦とともに狼牙村に布陣、耶律奚底を退け追撃するが、陳家谷口で伏兵の号砲により四方を包囲される。矢の雨に晒され宋軍は次々と倒れ、賀懐浦も耶律奚底に討たれた。延昭は父を救おうと血路を開くが果たせず、南へ退いて援軍を待つほかなかった。

楊業は残る百余名の兵に「お前たちは生きて帰れ」と諭すが、兵たちは離れなかった。ついに「李陵碑」の石碑の前で、漢の李陵の不忠を思い「この身を持って主君に報いる」と天を仰いで叫び、碑に頭を打ちつけて自害した。(詩:陳家谷口での最期と李陵碑下の忠節を詠む)

楊業の遺骸は番兵に首級を取られ、蕭撻懶は日暮れとともに軍を引き上げた。