東周列國志第六十八回 虒祁の宮を賀し師曠が新声を弁じ、陳氏が家財を散じ斉国の民心を買う (賀虒祁師曠辨新聲 散家財陳氏買齊國)
楚霊王の細腰宮
- 霊王は腰の細さを好み、章華宮に美人を集めて「細腰宮」と称する。宮女や百官までもが腰を細くしようと苦心する。
- 芋尹申無宇は逃げた自分の下僕が王宮に紛れ込んでいたのを捕らえたことを咎められるが、身分秩序の道理を説いて霊王を納得させる。
魯昭公の来訪と大屈の弓
- 薳啓疆の周旋で魯昭公が楚を訪れ、章華台の壮麗さに感嘆する。霊王は名弓「大屈」を昭公に贈るが、後で惜しくなり、薳啓疆に言い含めて弓の由来を誇張させ、昭公自ら弓を返上させる。伍挙はこれを見て霊王の器量の狭さと没落の予兆を嘆く。
晋の虒祁宮と師曠の音楽論
- 晋平公も楚に対抗して虒祁宮を築く。衛霊公が朝見の途中、濮水のほとりで新奇な楽曲(後に亡国の音と知れる師延の曲)を耳にし、楽師師涓に習得させる。
- 晋の宴で師涓がこの曲を奏でると、盲目の楽師師曠が「亡国の音」として制止する。平公が強いて聴きたがり、師曠はさらに『清商』『清徴』『清角』と格の高い曲を渋々奏でる。『清徴』では鶴が舞い降りるが、『清角』を奏でると暴風雨が起こり宴は大混乱に陥る。
平公の死と子産の解釈
- その夜以来心悸の病を得た平公は、黄色い三本足の鼈のような怪物の夢を見る。鄭の子産が「鯀の霊が化した黄能である」と説き、平公に祭祀を行わせるが、実際は子産自身、これは平公の奢侈を戒めるための方便だったと打ち明ける。
- 石が人語を発したという怪異も伝わり、師曠は「民の怨みが妖異を招いている」と警告する(平公の奢侈を皮肉る詩が挿まれる)。平公はほどなく病が篤くなり薨去し、世子夷(昭公)が後を継ぐ。
斉の高欒対陳鮑の内訌
- 斉では高彊・欒施と陳無宇・鮑国の間に不和が募る。互いの誤解から双方が兵を挙げて衝突し、晏嬰の仲裁もあって公室が陳鮑側に加勢、高彊・欒施は敗れて魯へ亡命する。
- 陳無宇は没収した財産を私せず民や旧功臣の子孫に分け与えて人望を集め(陳氏が民心を買う様を戒める詩が挿まれる)、斉の実権は次第に陳氏に傾いていく。晏嬰は景公にこの動きを警告するが、景公は改めることができない。
楚霊王、蔡討伐を画策
- 楚霊王は諸侯招集の不振を憤り、伍挙の勧めで「弑逆の罪ある蔡の世子般(霊公)」を討つ名分を得ようとする。折しも陳国で君主の死去と後継争いの兆しが伝わり、伍挙は陳にも変事が起きると予見する。