鐵冠圖全傳第二十九回 知己に報い義挙して屍を葬り、功を争い自ら相残る (報知己義舉葬屍 自相殘爭功反目)
劉茂、周遇吉夫妻の遺骸を弔う
- 寧武関陥落後、賊は退き独眼龍が三百の手勢で城を守るのみとなる。城頭に晒された周遇吉夫妻の首級を見て住民は嘆くが、賊を恐れ手を出せずにいた。
- 乞食に扮していた劉茂(かつて白夫人を馬耳山の囲みから救った人物)が、酒肉に毒を仕込んで賊兵を油断させ、火を放って一気に討ち果たす計を耆老たちに説く。
- 計は成功し、劉茂らは毒に苦しみ乱れる賊兵を襲い、九里先まで追い散らす。周遇吉夫妻の遺骸を棺に納め、寧武関西門外の高台に葬り、「義男忠烈威鎮寧武關周定西伯夫妻之神墓」の碑を建てる。
- 劉茂は本懐を遂げたのち、賊の報復を恐れて南京へ赴き、黄得功の陣営に身を寄せる。
黄得功、張献忠配下の将を撃破
- 黄得功は左良玉と共に河南総兵を務め、東路と鳳陽・南京一帯を担う。張献忠配下の史金剛が三万の兵で江南方面を侵し、鳳陽に迫っていると知り、皇陵防衛のため五万の精兵を率いて急行する。
- 遼東出身の黄得功は若い頃苦労人だったが武勇に優れ、陶金店で史金剛を撃破する。逃げた史金剛は汴梁総兵陳永福の計により漁船ごと河中で沈められ捕らえられ、生け捕りの賊百四十名とともに献上される。
手柄をめぐる確執
- 陳永福配下の朱英・那希が囚車を護送中、黄得功の軍に阻まれ、黄得功はこれを陳永福の横取りだと難じて囚車を奪う。
- 怒った陳永福は自ら黄得功と対決しようとするが、遊撃の鮑永忠が、密かに囚車を奪い返し先に京へ報告すれば功は陳永福のものになると提案する。そこへ別の一人が進み出て、争って功を奪えば後々罪に問われかねないとして別の上策を献じようとするところで、話は次回に続く。