鐵冠圖全傳第九回 洪承疇獄を脱し賊を討ち、遇吉絨纓を結び婚を成す (脫縲絏承疇剿賊 絞絨纓遇吉成婚)
王十九の御状告発
- 高如岳の義弟・王十九は、李闖の反乱を密告したのに耿如杞に手柄を横取りされ、わずかな褒美しか得られなかったことを恨んでいた。都に出て、耿如杞が洪承疇に賄賂受領の罪を着せていると知り、さらに怒りを募らせる。
- 酒屋で知り合った内司・馬元(耿如杞に不当な扱いを受け出奔した元従者)が、耿如杞の贈賄受領の現場を目撃した証人になると申し出た。
- 二人は万娘娘の柩を担ぐ人足に紛れ込んで御前に近づき、王十九が「冤枉」と叫んで訴状を差し出した。皇帝は馬元を召し、松山の戦況、李闖らの逃亡、王十九の密告、耿如杞配下による贈賄の詳細を証言させた。
- 皇帝はこれを真実と認め、王十九を釈放し、洪承疇を五鳳楼前で審問することとした。
洪承疇の雪冤と流賊の勢い
- 洪承疇は、耿如杞が諫言を拒み賊を取り逃がした経緯を訴え、無実を示す証拠文書の提出を願い出て許された。
- このころ流賊は各地で勢いを増し、王嘉印が陽城を、孫昂が臨洮を、高迎祥が山西で、李闖が葭州を、それぞれ攻略していた。
王自用の急報と洪承疇の反撃
- 李闖のもとに王嘉印配下の王自用が駆けつけ、悲報を伝える。耿如杞は縦賊の罪を洪承疇に着せようとしたが、馬元・王十九の告発で露見し、担当官は処刑され、洪承疇は陝西軍門に任じられて討伐の指揮を執ることになった。
- 洪承疇は着任するや耿如杞を処刑し、四路の総兵(王国棟・郭大豹・賀如虎・曹文詔)に賊討伐を命じた。王自用の父は陽城で曹文詔と戦い戦死し、王自用は残兵を率いて李闖のもとへ逃れて来たのだった。
- 李闖は嘆き、諸軍を河南へ集めて張献忠陣営に合流する方針を決めたが、潼関で洪承疇軍に追撃され、山西商州の境外まで敗走した。洪承疇はさらに山西巡撫に協力を求め、賊の捕縛に懸賞をかけた。
周遇吉と白玉貞の結婚
- 懸賞に応じ、白凱(劍山村の人)と周遇吉(大同府の人、亡き遼陽総鎮の子)が功を立てて洪承疇のもとに現れる。
- 周遇吉は母とともに商州の親戚を頼っていたが、猟の腕を頼りに生計を立てていた。ある日、白凱の妹・白玉貞と獲物を争って手合わせすることになり、互いの武芸と器量に惹かれ合う。
- 白凱の取りなしで両家が親しくなり、母・趙氏の勧めもあって周遇吉は白家に婿入りすることとなった。
- 婚礼から間もなく李闖の賊軍が来襲したが、周遇吉・白凱・玉貞は荘丁を率いて伏兵で迎え撃ち、賊は狙撃の恐れと略奪した財物への未練から戦意を失って敗走。多くを生け捕りにして軍門へ送った。誰を捕らえたかは次回に続く。