帝王略論卷五 孝文帝

孝文帝の評

  • 公子は、魏の孝文帝はどの君主に比すべきかと問うた。
  • 先生は、並外れた人物には並外れた功績があるものであり、孝文帝はまさにその並外れた人物であると答えた。
  • 公子が「並外れた人物」とはどういう意味かと重ねて問うた。
  • 先生は答えた。北魏はもと朔野(北方の荒野)に拠り、教化の及ばぬ地であり、風俗も辺境のままであった。孝文帝は抜きん出た存在で、都を瀍水・澗水のほとりへ遷し、辮髪を解いて冠冕をつけ、毛皮の衣を脱いで龍の袍をまとい、衣冠・号令を中華と同じくした。天命を受けた稀有の才でなければ、ここまで至れなかったであろう。趙の武霊王の胡服改革よりも優れていると言えよう。しかし国を治める道は十分であったが、身を慎み礼を保つことには不足があり、君臣ともに道を誤り、その悪しき風がついに遠く伝わってしまった。威儀や才芸においては魯の荘公に匹敵する程度で、盛徳を損なったことは惜しむべきである。