宋史卷一百三十五 樂志第八十八 樂十(樂章五)

  • 本巻は眞宗が崇めた道教施設(玉清昭應宮・太清宮・景靈宮)、封禅・汾陰の祭祀、天書の奉祀、九鼎の祭祀で用いられた楽章の集成である。以下、段階ごとの曲名(原文のまま)とその位置づけを示す。

眞宗奉聖祖玉清昭應宮御製十一首

眞宗自ら作った、聖祖を祀る玉清昭應宮の楽章。降聖眞安(聖祖降臨を迎える)・奉香靈安・奉饌吉安に続き、玉皇位・聖祖位・太祖位・太宗位のそれぞれで酌獻慶安を奏する。亞終獻冲安・飲福慶安・徹饌吉安・送聖眞安で結ぶ。いずれも聖祖信仰と宋朝の由来・功徳を讃える内容。

迎奉聖像四首(並用慶安)

玉皇位・聖祖位・太祖位・太宗位、各位の聖像を迎え奉る楽章。いずれも同じ「慶安」の曲を用いる。

玉清昭應宮上尊號三首

奉告隆安・太初殿奉冊寶登安・二聖殿奉絳紗袍登安。玉清昭應宮に尊号を上る儀の楽章。

太清宮(九首、太尉奉聖號冊寶眞安ほか)

太尉奉聖號冊寶眞安・寳冊升殿大安・降神眞安・奉玉幣靈安・奉饌吉安・酌獻大安・飲福大安・亞終獻正安・送神眞安の九曲。太清宮での道教祭祀(老子を祀る儀)の楽章。原本ではこの一群の標目(見出し)が「太清宮」となっているが、四庫館臣の考證によれば当時の実際の宮観構成(太極観はあっても太清宮は無い)と齟齬があり、誤りの疑いがあるとされる。

太極觀奉冊寶一首

登安之曲。太極観に冊宝を奉る際の楽章。

景靈宮奉冊寶一首

登安之曲。景霊宮(皇室の祖先を祀る道観)に冊宝を奉る際の楽章。

景祐元年親享景靈宮二首

降眞太安・送眞太安。景祐元年、皇帝自ら景霊宮を祀った際の楽章。

大觀三年朝獻景靈宮二首

奉饌吉安ほか。大観三年、景霊宮に朝献した際の楽章。神威の広大さと供物を捧げる誠意を讃える。

髙宗郊前朝獻景靈宮二十一首

髙宗が郊祀の前に景霊宮へ朝献した際の楽章。皇帝入門乾安・升殿乾安・降聖太安・盥洗乾安・聖祖位乾安・聖祖位奉玉幣靈安・還位乾安・奉饌吉安・再盥洗乾安・再詣聖祖位乾安・聖祖位酌獻祖安(御製)・還位乾安・文舞退武舞進正安・亞終獻冲安・飲福報安・還位乾安・徹饌吉安・送眞太安・降殿乾安・望燎乾安・還大次乾安と、祭祀全過程に対応する楽章が揃う。

髙宗明堂前朝獻景靈宮十首

明堂祭祀前に景霊宮へ朝献した際の楽章。降聖大安・升殿乾安・聖祖位奠玉幣靈安・奉饌吉安・聖祖位酌獻祖安・文舞退武舞進正安・亞終獻冲安(用舊辭)・飲福報安・徹饌吉安・送眞太安・望燎乾安からなる。

孝宗明堂前朝獻景靈宮八首

盥洗乾安・聖祖乾安・還位乾安・奉饌吉安・再詣盥洗乾安・再詣聖祖位乾安・還位乾安・文舞退武舞進正安。

寧宗郊前朝獻景靈宮二十四首

寧宗代の楽章、二十四曲。皇帝入門乾安・升殿乾安・降神太安(六變、圜鐘為宮・黄鐘為角・太簇為徴・姑洗為羽)・盥洗乾安・詣聖祖位乾安・聖祖位奉玉幣靈安(髙宗御製を用いる)・皇帝還位乾安・奉饌吉安・再盥洗乾安・再詣聖祖位乾安・聖祖位酌獻祖安(髙宗御製を用いる)・還位乾安・文舞退武舞進正安・亞獻冲安・終獻冲安・詣飲福位乾安・飲福酒報安・還位乾安・徹饌吉安・送眞太安・降殿乾安・詣望燎位乾安・還大次乾安からなる。

理宗明堂前朝獻景靈宮二首(餘用舊辭)

升殿登歌乾安・亞獻宮架冲安。理宗代は多くを旧辞(既存の楽章)で代用した。

大中祥符封禪十首(餘同南北郊)

泰山での封禅祭祀の楽章。山上圜臺降神髙安・昊天上帝坐酌獻奉安・太祖配坐酌獻封安・太宗配坐酌獻封安・亞獻恭安・終獻順安(以上「封」=泰山山頂での天への祭祀)、社首壇降神靖安・皇地祗坐酌獻禪安・大祖配坐酌獻禪安・太宗配坐酌獻禪安(以上「禪」=社首山での地への祭祀)からなる。太祖・太宗を配祀し、天地の恩徳と国家の永続を祈る。

汾隂十首

汾陰での后土(地の神)祭祀の楽章。降神靖安・奠玉幣登歌嘉安・奉爼豐安・后土地祗坐酌獻博安・太祖配坐酌獻博安・太宗配坐酌獻博安・飲福博安・亞終獻正安のほか、后土廟でも降神靖安・酌獻博安の楽章を用いる。大地の恵みと五穀豊穣を讃える内容。

祗奉天書六首

天書(瑞祥として降下したとされる書)を奉祀する際の楽章。朝元殿酌獻瑞文・含香園瑞文・泰山社首壇升降瑞文・奉香酌獻瑞安(祥符七年、天書を奉じて応天府に還った際に瑞雲が現れたことを記す注記あり)・升降靈文からなる。天の瑞祥と皇統の正統性を讃える。

祭九鼎十二首

九鼎(帝鼐・蒼鼎・岡鼎・彤鼎・阜鼎・皛鼎・魁鼎・寳鼎ほか、五行・四季に配した鼎)を祭る楽章。帝鼐(土王日に祀る)降神景安・奉饌豐安・亞終獻文安に始まり、春分蒼鼎亞終獻成安・立夏岡鼎迎神凝安・亞終獻成安・夏至彤鼎酌獻成安・立秋阜鼎酌獻成安・秋分皛鼎亞終獻成安・立冬魁鼎迎神凝安・酌獻成安・冬至寳鼎奠幣明安と、四季・五行に対応する各鼎ごとに楽章が配される。