宋史卷一百三十六 樂志第八十九 樂十一(樂章六)

  • 本巻は五嶽・四鎮・四海・四瀆(山・鎮山・海・大河)への祭祀、大火(心宿・熒惑にまつわる火の祭祀)の祭祀で用いられた楽章の集成である。

太中祥符五嶽加帝號祭告八首

真宗が五嶽に帝号を加えた際、それを告げる楽章。迎神靜安・冊入門正安に続き、東嶽・南嶽・西嶽・北嶽・中嶽それぞれに酌獻嘉安(東嶽のみ曲名明記、他は同工)を奏し、送神靜安で結ぶ。各嶽の神威と、山が鎮める方角・恵みを讃える。

天安殿冊封五嶽帝一首

冊出入正安の一曲。天安殿で五嶽の神に帝号を冊封する儀の楽章。

熙寧望祭嶽鎭海瀆十七首

東西南北中の五方について、遥拝(望祭)で嶽・鎮・海・瀆を祀った楽章。東望は迎神凝安・升降同安・奠玉幣明安・酌獻成安・送神凝安の五曲、南望・中望・西望・北望はそれぞれ迎神凝安・酌獻成安・送神凝安の三曲。各方位の山川の徳と、五穀豊穣・民の福利を祈る内容。

紹興祀嶽鎭海瀆四十三首

紹興年間、東西南北中の五方についてそれぞれ嶽・鎮・海・瀆の四位を合祀した楽章。各方位ごとに迎神凝安・初獻盥洗同安・奠玉幣明安・(東西南北中それぞれの)嶽位酌獻成安・鎮位・海位・瀆位(各位固有の頌詞)・亞終獻酌獻(四位共通)・送神凝安の構成が繰り返される。合計四十三曲。山川の神徳と国家の安寧・五穀豊穣を祈る内容で一貫する。

淳祐祭海神十六首

四海(東海・南海・西海・北海)の神を祀る楽章。迎神始安宮一曲・角一曲・徴一曲・羽一曲、升降欽安に続き、東海位・南海位・西海位・北海位それぞれで奠玉幣(德安・瀛安・潤安・瀚安)と酌獻(熙安・貴安・類安・溥安)を行う。捧爼豐安・亞終獻饗安・送神成安で結ぶ。海運の安全・国防・通商の利益を祈る内容を含む。

紹興祀大火十二首

大火(心宿二・熒惑にまつわる火徳の神)を祀る楽章。降神高安(圜鍾為宮・黃鍾為角・太簇為徵・姑洗為羽の四変)・升殿正安に続き、熒惑位・商邱宣明王位(火の神として祀られる伝説上の人物、閼伯を指す)でそれぞれ奠玉幣嘉安・酌獻祐安を行う。捧爼豐安・亞終獻文安・送神用理安で結ぶ。宋朝が火徳を以て天下に王たることを讃える内容。

出火祀火辰十二首

大辰(心宿)を祀り、季節の「出火」(火の使用を解禁する儀)を告げる楽章。降神高安(圜鍾為宮・黃鍾為角・太簇為徵・姑洗為羽)・升殿正安に続き、大辰位・商邱宣明王位で奠玉幣嘉安・酌獻祐安を行う。捧爼豐安・亞終獻文安・送神理安で結ぶ。

納火祀大辰十二首

季節の「納火」(火の使用を禁じる儀)を告げる、大辰を祀る楽章。構成は出火の十二首と同様で、降神高安・升殿正安・大辰位と商邱宣明王位の奠幣・酌獻・捧爼豐安・亞終獻文安・送神理安からなる。農事の完了と一年の実りへの感謝を讃える。