春秋左傳事類始末宋、向魋を寵愛する(宋寵向魋)

宋公が向魋を寵愛し公子地の白馬を取り上げて与えたことから公子地・辰兄弟らが恨みを募らせて陳へ出奔し、蕭に拠って叛くに至るまでの、寵愛の偏りが招いた宋の内乱を記す一篇。

年表(2件)

魯定公十年(前500年)

  • 宋の公子地は蘧富獵を寵愛し、自分の財産を十一に分けてその五を与えた。公子地には白馬四頭があった。宋公は向魋を寵愛しており、魋がその馬を欲しがると、公はこれを取り上げ、尾とたてがみを朱に染めて魋に与えた。地は怒り、部下に魋を鞭打たせて馬を奪い返させた。魋は恐れて逃げようとし、公は門を閉ざして泣き、目が腫れ上がるほどであった。
  • 異母弟の辰は「兄上は財産を分けて獵に与えたのに魋にだけ薄くしたのも偏りがある。臣下は礼として国境を出るにとどめるのが常、君は必ず地を引き止めるだろう」と言った。しかし公子地は陳へ出奔し、公は引き止めなかった。辰が地のために取り成しを求めたが聞き入れられなかった。辰は「これでは私が兄を欺いたことになる、私は国人を率いて出よう、君は誰と共に居られるのか」と言い、冬、辰と仲佗・石彄がともに陳へ出奔した。

魯定公十一年(前499年)

  • 春、辰らは蕭に入って叛いた。秋には楽大心もこれに加わり、宋の大きな禍となった。すべて向魋を寵愛したことが原因であった。