樵史通俗演義第二十六回 李自成、新総に報効し、梅巡撫、乱兵を鎮定す (李自成報效新總 梅巡撫鎮定亂兵)
李自成と高闖王の結拝
- 甘肅巡撫の梅之煥と鎮守総兵の楊肇基は文武ともに優れ、朝廷の招兵に応じて力を尽くしていた。
- 米脂県の李自成は淫妻と役人を殺して逃亡した身であったが、甘粛鎮に投じ、楊総兵配下の親兵となった。武芸に優れ、賄賂で総旗にまで昇り、五十名の兵を預かる身分となった。
- 響馬(山賊)討伐を志願した李自成は、蘭州付近を根城とする首領・高如岳(自称「高闖王」)と遭遇し、二十合ほど渡り合うも勝負がつかず、互いに英雄と認め合って義兄弟の契りを結んだ。
- 二人は旅人を襲ってその首級を得ると、李自成はそれを自らの戦功として楊総兵に献上し、把総に昇進した。
勤王の途上での叛乱
- 京師に急を告げる檄文が届き、梅巡撫と楊総兵は勤王の兵を発した。李自成と親友の劉良佐も従軍する。
- 先鋒の王参将は実力の乏しい人物で、李自成は内心その下風に立つことを不満に思っていた。
- 金県で兵糧の手配が整わず、憤った兵士らが暴れると、王参将は乱暴した兵を鞭打った。その中に李自成配下の者がいたため、李自成は激怒し、劉良佐と共に兵を率いて県城に乱入、知県を縛り上げ、行き会った王参将を刺殺してしまう。
- 事の重大さに気づいた二人は、逃亡してかつて義兄弟となった高闖王のもとへ身を寄せることを決める。
巧言による逃走
- 逃走の途中、梅巡撫の本隊と行き会いそうになった李自成は、機転を利かせて「楊総兵の使いとして出迎えに来た」と偽り、梅巡撫にまんまと信じ込ませ、行軍を急がせる伝令のふりをして全軍を通り過ぎ、そのまま土山の高闖王のもとへ逃げ落ちた。
- 後を追って届いた楊総兵の報告で事の真相を知った梅巡撫は激怒し、逃げ遅れた総旗の兵を処刑させたが、首謀者二人は取り逃がしてしまう。
- 折しも清軍が関外に迫るとの報が届き、勤王の軍はそのまま引き返すこととなった。この出兵が図らずも李自成・劉良佐の叛乱を招く結果となったのである。