說唐第五十回 虎峪で咬金は羅成を説き伏せ、御果園で秦王は単雄信と出会う (對虎峪咬金說羅成 御果園秦王遇雄信)

老夫人の勧めと羅成の帰順

羅成は母に事情を話す。母は「一族の縁は表兄・秦叔宝側にあり、単雄信一人のために争う理由はない」と唐への帰順を勧める。羅成は秦王の人徳を認めつつも、義兄・単雄信への義理を気にかけるが、母は「うまく立ち回って避ければよい」と諭す。

翌日、程咬金は羅成を人気のない対虎峪へ誘い、「羅成の母は表兄一家との縁を大切にしており、青面の乱暴者(単雄信)と付き合うのを案じている」と説き、唐への帰順を勧める。羅成は承諾し、家族を先に城外へ逃がすことにする。掠陣していた尉遲恭が二人を追ってきたところ、羅成は本気の槍で応戦し、駆けつけた秦叔宝が仲裁して羅成をそのまま帰陣させた。

羅成の脱出と単雄信の怒り

羅成は単雄信に「母の望郷につき燕山へ帰る」と偽って城を出、そのまま家族と共に唐営へ入った。単雄信は城上からこれを目撃し、裏切りを悟って激しく罵り、絶交を誓う。

唐営では祝宴が催され、尉遲恭が羅成の力量を試そうとふざけて捕まえるが、羅成は「鐘鼓齊鳴」という得意の技で尉遲恭を投げ倒し、以後侮られなくなった。

御果園での危機

端午の節句、諸将が休養する中、秦王は徐茂公と共に洛陽近くの御果園(王世充の庭園)を見物する。城の見回り中だった単雄信がこれを見咎め、秦王と気づいて単身斬りかかる。徐茂公が身を挺して制止を試みるが、単雄信は旧怨を理由に聞き入れず、茂公との義理も断ち切って追撃を続ける。

たまたま澗で水浴びしていた尉遲恭が急を聞いて甲冑もそこそこに駆けつけ、逃げる秦王を助けて単雄信と渡り合う。三合ほどでの尉遲恭が単雄信の得物を奪い取り(「尉遲恭單鞭奪槊」)、単雄信は素手で逃走することとなった。