說岳全傳第六十一回 東窗の下で夫婦は計略を巡らし、風波亭で父子は神に帰す (東窗下夫妻設計 風波亭父子歸神)

拆字師の予言

  • 高宗が秦檜を伴い商人姿でこっそり城内を出歩き、龍吟庵前で字を占う謝石という人物に出会う。
  • 高宗が「春」の字を書かせると、謝石は「秦」の字の重さが「日」を圧し光を失わせる、秦姓の者に関わるなと警告する。
  • 秦檜が「幽」の字を書かせると、謝石は「糸」二つに絡まれ屍体すら残らない凶相と告げる。
  • 周囲の者が二人の正体(皇帝と丞相)を教え、謝石は身の危険を悟って逃げ去り、秦檜が家人に追わせるが見つからない。

東窗の密議

  • 秦檜と万俟卨・羅汝楫は岳飛父子と張憲を厳刑で拷問するも二月経っても自白を得られず苦悩する。
  • 大晦日の前日、劉允昇という民間人が岳飛の冤罪を訴える連判状を回していることが伝わり、秦檜は世論を恐れて処断を躊躇う。
  • 妻の王氏が「虎を縛るのは易いが放つのは難しい」と炭で書いて示唆し、秦檜を後押しする。
  • 万俟卨から届いた黄柑を使い、王氏の入れ知恵で中身をくり抜いて密書を仕込み、その夜のうちに三人を始末するよう指示する書状を送る。

風波亭の最期

  • 大晦日、獄官の倪完が岳飛らに酒を振る舞う。降り出した雨を見て岳飛は驚き、以前金山寺の道悦禅師から受けた偈言(「歳底不足、天哭を提防せよ」等)が的中しつつあると悟る。
  • 岳飛は自分の死後、朱仙鎮の施全・牛皋らに書状を届けてほしいと倪完に託す。
  • まもなく処刑の聖旨が届き、岳飛は自ら岳雲・張憲とともに縛につき、風波亭で三人とも絞殺される。享年、岳飛三十九歳、岳雲二十三歳。絶命の刻、狂風が吹き荒れ灯火が消え黒霧が立ち込めたとされる。

評語

  • 後世の人々はこの場面を読んで秦檜夫妻と権奸に阿った者たちを罵ったと述べ、複数の弔詩・祭文を引いて岳飛の忠義を称え、非業の死を悼む内容が続く(趣旨:忠臣の無念と青史に残る功績の対比)。

遺体の秘葬

  • 倪完・王能・李直らが密かに棺を用意し、夜のうちに遺体を運び出し、西湖畔の螺螄殻の中に隠して埋葬する。倪完はそのまま夜逃げする。

道悦禅師の入滅

  • 万俟卨・羅汝楫の報告を受けた秦檜は、岳飛が臨終に道悦の言葉を悔いたと聞き、証拠隠滅と家族連座のため岳家の親族を捕らえるよう指示し、また金山寺の道悦を呼び出すよう家人の何立に命じる。
  • 何立が金山寺に赴くと、道悦はすでに何立が来ることを予知しており、説法の最後に偈を残して座したまま入滅する。荼毘の際に五色の蓮花が生じ、道悦の姿が現れて何立に出家を勧める言葉を残して昇天する。
  • 何立は事情を秦檜に偽って報告し、僧たちの言葉に感じ入って臨安へ戻る。

岳夫人母子の不安

  • 湯陰の岳夫人らは長らく音信のない岳飛らを案じ、不吉な夢を見たことから占い師(王師婆)を呼んで占わせる。
  • 王師婆は神がかりの真似事をして「休(人が木を抱く形)」の字を示し、暗に岳雲・張憲の死を暗示する。