說岳全傳第四十一回 鞏家荘で岳雲は妻を娶り、牛頭山で張憲は主君を救う (鞏家莊岳雲聘婦 牛頭山張憲救主)

岳雲、陥穽を脱して鞏家荘へ

  • 岳雲は陥穽に落ちたが、馬もろとも跳び出し、追ってきた撓鉤を打ち払って逃げた。追ってきたのは劉豫の次子・劉猊で、狩りの折に逃げ出して山に立て籠っていた響馬(山賊)であった。岳雲の赤兎馬を見て欲を出し、後を追う。
  • 日暮れて宿を求めた岳雲は鞏家荘に泊めてもらう。荘丁によれば主人・鞏致は客好きだという。

劉猊の襲撃と岳雲の武勇

  • 岳雲の馬を狙う劉猊は嘍囉を率いて鞏家荘に押し入る。荘丁では防ぎきれず危急に陥ったところへ岳雲が飛び出し、一撃で劉猊を打ち殺し、嘍囉数人も討ち取った。
  • 鞏致は命の恩人に礼を述べ、岳雲が岳飛の長子と知って敬服する。鞏致の妻は岳雲の器量を見込み、十四歳になる娘との縁組を望む。岳雲は「父母に伺いを立てねば決められない」と答え、証として祖母から貰った金の太平銭を信物として預け、太平の世になったら迎えに来ると約束して旅立った。

牛皋、高寵を悼む

  • 牛頭山では牛皋が亡き高寵の墓前で悲嘆に暮れ、泣き崩れて気を失うほどであった。

高宗、中秋の夜に危機一髪

  • 岳飛は番営の様子を見回り、思わしくない予感を覚える。折しも中秋、玉虚宮では高宗が李綱を相手に二帝を思って涙を流していた。李綱は気晴らしにと月見を勧め、高宗は供を連れて山を下り荷葉嶺で番営を見下ろした。
  • 一方、月見に出ていた兀朮は高宗の声に気づき、単身忍び寄って襲いかかる。高宗と李綱は仰天して逃げ、諸葛英らが兀朮を食い止める。急報を受けた岳飛が駆けつけようとするが、馬は既に張憲が主のために乗って出た後だった。

張憲・牛皋・岳雲の奮戦

  • 張憲は岳飛の馬で駆け下り、槍で兀朮の耳を切り裂いて敗走させた。岳飛は高宗を出迎え、李綱の落ち度を咎めつつ天子を玉虚宮へ送り返す。張憲はなおも兀朮を追い、番営深くまで斬り込んだ。
  • 牛皋は高寵の墓で眠っていたが、夢か幻か「兄者、功名を立てに行け」との声に目覚め、山を駆け下って番営に斬り込む。兀朮自ら迎え撃ち牛皋の肩に手傷を負わせるが、牛皋はなお「高兄弟、助けてくれ」と叫び続け、囲まれて危地に陥る。
  • そこへ岳雲が牛頭山に到着し、単騎で番営に斬り込む。兀朮とも一戦交え、槌で腹を打たれた兀朮は算えかねて退く。岳雲は囲まれた牛皋を救い出し、二人で山へ引き上げた。

岳雲、父に旅の顛末を報告

  • 岳飛の下に戻った牛皋は自分の手柄をうまく説明できず、甥を助けたことにして繕う。岳雲は父に拝謁し、家中を襲おうとした番将を討ったこと、道中で山東に迷い込み関鈴と出会ったこと、劉猊を討ち取ったこと、鞏氏との縁組の顛末を報告した。

岳雲、金門鎮へ出立

  • 翌日、岳飛は岳雲に文書を持たせ、金門鎮の傅総兵の下へ援軍要請に向かわせる。岳雲は近道である粘罕の陣を突っ切って行くことを決意し、単身番営に斬り込んでいく。