說岳全傳第十九回 李侍郎は命を懸けて番王を罵り、崔総兵は衣を献じ血詔を伝える (李侍郎拼命罵番王 崔總兵進衣傳血詔)

(詩:口を割かれても罵り続けた李若水の忠節を讃え、節義の士が稀であることを嘆く)

康王の人質と李若水の随行

  • 趙王の死後、張邦昌はさらに康王趙構を人質に差し出すよう画策する。康王は国のためと自ら申し出て、吏部侍郎・李若水が随行を願い出る。
  • 兀朮は康王の器量を気に入り、義父子の契りを持ちかけて自陣に留め置く。李若水は屈しない態度を見せ、兀朮はその忠義を軍師から聞いて敬意を払う。

二帝の抑留と張叔夜の自害

  • 張邦昌の策略により、徽宗・欽宗の二帝はだまされて先王の位牌を城外に運ばされ、そのまま金軍に捕らえられてしまう。兀朮は二帝を北へ護送させる。
  • 護送の途中、河間府で張叔夜と再会する。張叔夜は自らの偽装降伏の真意(各地の援軍を待ち兀朮の退路を断つ計画だったが、黄河凍結や李綱・宗澤の失脚で頓挫した)を告げ、無念のうちに自刃する。

二帝の屈辱と李若水の壮絶な死

  • 黄龍府に着いた二帝は、狼主の前で屈服を拒み立ったままでいると、犬の皮の帽子や尻尾をつけさせられ、熱した床の上で踊らされるという屈辱を受ける。
  • 李若水はこれを見て怒り、二帝を助け起こし、狼主を面罵する。狼主は激怒して李若水の指を一本ずつ切り落とし、さらに舌まで切るが、李若水は罵倒をやめない。最後には狼主の耳に噛みつき、周囲の番人たちに引き剥がされて斬り殺される。
  • 軍師哈迷蚩は密かにその遺骸を丁重に収める。二帝は五国城の井戸のような穴に幽閉され「坐井観天」の身となる。

崔孝の忠義と血の詔

  • 十八年前に北方で捕虜となっていた宋の総兵・崔孝が、獣医の技で番営に出入りを許される身の上を利用し、五国城の二帝を訪ねる。羊皮の衣や食料を差し入れ、消息を尋ねる。
  • 二帝は張邦昌の裏切りと康王が人質に取られたことを語り、崔孝の提案で指を噛み切り血で詔書をしたため、康王に帝位を継がせ宋室再興を託す。
  • 崔孝は血の詔書を隠し持って立ち去ろうとするが、番の見張りに見咎められ捕らえられそうになる。