說岳全傳第十一回 周三畏は教えに従い宝剣を贈り、宗留守は誓いを立て真の才を取る (周三畏遵訓贈寶劍 宗留守立誓取真才)

(詩:一振の剣と一通の書、いつか英雄がその真価を知られる日が来ると詠む)

剣の由来を語る岳飛

  • 岳飛は名剣の系譜(龍泉・太阿など)を紹介した上で、この剣の由来を語り始める。かつて楚王が韓国の名工・欧陽冶善に雌雄二振りの剣を作らせ、冶善は三年かけて三振り作り、雄剣を隠して雌剣二振りだけ献上して殺されることを覚悟した。
  • 冶善の遺児は、父の仇討ちを願う中で道士に出会い、自らの首と引き換えに仇討ちを託す。道士は首を油で煮て「不老長寿の丹」と偽って楚王を誘い出し、隙を見て斬り殺し、自らも自刎して果てる。三つの首が見分けられず「三頭墓」として葬られたという故事を語り、この剣が唐の薛仁貴も所持したという「湛盧」であろうと推測する。

剣を譲り受ける

  • 周三畏は岳飛の博識に感心し、先祖の遺言(この剣の由来を言い当てた者に無償で譲る)に従い剣を岳飛に贈る。岳飛は固辞するが押し切られ、拝謝して受け取る。

試験前夜

  • 一行は宿に戻り、翌日の武科試験に備えて早めに休む。当日未明、それぞれ華麗な甲冑を身に着け、宿の主人から験担ぎの酒を振る舞われて校場へ向かう。

試験場の緊張

  • 校場は数千の挙子でごった返す。牛皋は馬の鞍にかけられていた点心(宿の心遣い)を独り占めして食べてしまい、他の兄弟に咎められる。宗澤からも酒食の差し入れが届く。

主考官たちの誓いと不正

  • 主考官の張邦昌・王鐸・張俊・宗澤の四人が席に着く。張邦昌は宗澤に「お前の門生の岳飛を状元にすればよいだろう」と皮肉を言い、実際には自分たちが小梁王(柴桂)から賄賂を受け取っていたことを暗に示す。
  • 宗澤は公正を期すため、その場で神前に誓いを立てることを提案する。宗澤は「不正があれば刀矢の下に死す」と誓い、続く張邦昌・王鐸・張俊もそれぞれ苦し紛れの誓いを立てるが、いずれも本気度に欠けるものだった(張俊の誓いだけは後に思わぬ形で現実となる伏線となる)。

小梁王の背後関係

  • 宗澤は柴桂(小梁王)を試験のため呼び出し、藩王でありながら跪礼をしないことをまず叱責する。
  • 実は柴桂は上洛の途中、太行山に拠る賊将・金刀大王王善に取り込まれ、「状元を取って科挙合格者たちを内応の駒とし、将来の挙兵の足がかりにせよ」とそそのかされていた。柴桂はこれに乗せられ、三主考に賄賂を贈っていた。

岳飛と柴桂への試問

  • 張邦昌は岳飛を呼び出し侮るが、岳飛は謙虚に応じ、言葉尻を捉えられない受け答えをする。二人には「槍論」「刀論」の作文が課され、動揺した柴桂はまともに書けず、岳飛は立派な文章を書き上げる。
  • 張邦昌は柴桂の答案を隠し、岳飛の優れた文章を見て焦り、無理に難癖をつけて退けようとするが、宗澤が制止し文章を確認、蘇秦や温庭筠の故事を引いて張邦昌の妒賢嫉能を暗に批判する。張邦昌は怒りに震える。