說岳全傳第九回 元帥府で岳鵬挙は兵法を語り、招商店で宗留守は宴を賜う (元帥府岳鵬舉談兵 招商店宗留守賜宴)

江振子との再会

  • 追いついてきたのは相州の宿主・江振子だった。洪先一党が岳飛らを恨んで店を荒らし、地元から追われるように東京南薫門内で改めて店を開いたと語る。一同は歓迎され、その宿に泊まることになる。

宗留守への上書

  • 岳飛は宗留守の衙門の場所を確認し、劉都院の紹介状を届けようとする。牛皋らが心配して同行するが、岳飛は単身で謁見に赴く。
  • 宗澤(宗留守)は劉光世からの手紙で、事前に岳飛の評判を聞いていたが、賄賂で推挙されたのではと疑っていた。岳飛の身なりが立派なのを見てさらに疑いを深める。
  • 宗澤に問い詰められた岳飛は、自らの生い立ち(洪水で父を失い、王明に育てられ、周侗の義子となり武芸を学んだ経緯)を淡々と語る。宗澤は周侗の名を聞き、疑いを解く。

弓・槍・兵法の試問

  • 箭庁で弓を試すと、通常の弓は軟らかすぎ、宗澤自身の三百斤の神臂弓を難なく引き、九本の矢すべてを的中させる。
  • 続いて槍術を披露し、宗澤の点鋼槍を用いて見事な技を見せる。宗澤は感服し、用兵の心得を問う。岳飛は「陣図に固執せず、戦況に応じて権謀を用いるべき」との持論を述べ、宗澤を深く感心させる。

小梁王の不正と忠告

  • 宗澤は岳飛の才を絶賛しつつ、「今回の科挙は時機が悪い」と打ち明ける。柴世宗の子孫・小梁王柴桂が、科挙の主考官のうち丞相張邦昌・兵部尚書王鐸・都督張俊の三人に賄賂を贈り、状元の座を約束させていたが、宗澤だけは賄賂を受け取らなかったという。岳飛は公正な取り計らいを願うが、宗澤は「当日また相談しよう」と述べ、岳飛を帰らせる。

宿での酒宴と牛皋の失踪

  • 岳飛は兄弟たちに宗澤との面談の様子を伝えるが、小梁王の不正の件は伏せ、一人心を痛める。
  • 宗澤から祝いの酒席が届けられ、五人で酒令をしながら飲む。張顕・湯懐・王貴は歴史上の英雄の故事を挙げて盃を重ねるが、牛皋は故事を知らず、大杯で豪快に飲むだけで盛り上がる。
  • 岳飛は小梁王の一件を思い悩み、酔って寝入ってしまう。他の三人も次々に眠り込み、一人残った牛皋はこっそり宿を抜け出し、街へ繰り出す。

大相国寺での出来事

  • 牛皋は繁華街で偶然出会った二人の若者(白装束と紅装束)について歩き、大相国寺の講談場に入り込む。楊家将(楊業ら)を語る「金槍倒馬伝」の講談を聞く。
  • 二人の若者は気前よく銀を渡して立ち去り、牛皋も後を追う。次に興唐伝(羅成の武勇)を語る別の講談場に入り、そこでも同様に銀を渡す様子を見る。
  • 二人は実は楊業の子孫・楊再興と、羅成の子孫・羅延慶で、互いに祖先の武勇を自慢し合った末、「小校場で武芸を比べ、勝った方が今科の状元を狙う」と言い出して立ち去る。