說岳全傳第四回 麒麟村で少年英雄たちは義兄弟の契りを結び、瀝泉洞で老蛇の怪は槍を献ずる (麒麟村小英雄結義 瀝泉洞老蛇怪獻槍)

(詩:古人の交わりは心で結ばれ、今人の交わりは口先だけで、些細な事で仲違いする浅はかさを嘆く「結交行」)

詩の発覚

  • 岳飛は先生が戻る前に書房を出て帰宅する。周侗は帰館後、三人の破題が急に上達しているのを見て不審に思い、王貴に問い質すが「誰も来ていない」と嘘をつかれる。しかし壁に書かれた詩と「岳飛」の署名を見つけ、代作の真相を悟る。
  • 周侗は王貴を叱り、岳飛を呼びに行かせる。岳安人は最初驚くが、「呼び出し」であって咎めではないと知り安心する。

周侗、岳飛を義子に望む

  • 岳飛は周侗の前に出て丁重に挨拶する。周侗は岳飛の器量と、字(鵬挙)の由来、独学で学んだ経緯を聞き感心する。
  • 周侗は岳安人を呼び、「岳飛を義子(螟蛉の子)としたい。名も姓も変えず、ただ師弟の名分の上で父子と呼ばせてほしい。自分の武芸をすべて伝授したい」と申し出る。
  • 岳安人は、亡夫の遺託を守り岳家の血筋を絶やせないことを理由に一度は躊躇するが、岳飛自身が「姓名を変えないなら」と進んで八拝の礼をとって周侗を父と仰ぐ。王員外夫婦にも礼をし、盛大に祝宴が開かれる。

四人の義兄弟と武芸修行

  • 岳飛は王貴・張顕・湯懐と義兄弟の契りを結び、以後周侗から十八般の武芸を伝授される。数年のうちに岳飛は十三歳に成長し、四人とも文武に通じるようになる。

瀝泉洞の神槍

  • ある春の日、周侗は旧友の高僧・志明長老を瀝泉山に訪ねることになり、岳飛の願いで四人の弟子も同行する。
  • 道中、周侗は麒麟村近くの小山の地相を褒め、王貴が「先生が亡くなったらここに葬ればよい」と口にし、周侗も冗談めかして同意する。
  • 志明長老と再会した周侗は岳飛を義子として紹介し、長老は岳飛の骨相を只者ではないと評す。
  • 長老は瀝泉洞の泉について、本来は名水だが近頃霧を噴いて近づく者を昏倒させると語る。岳飛はこれを聞き、自ら泉のもとへ行き、洞の中から突き出た大蛇の頭に石を投げつけて打つ。蛇は霧を噴いて襲いかかるが、岳飛はかわして尾をつかみ引き抜くと、それは「瀝泉神矛」と刻まれた一丈八尺の槍だった。
  • 志明長老はこれを聞き、「瀝泉の神物が現れたのは岳飛が将来大成する証」と喜ぶ一方、風水を破られたためこの地を去らねばならないと告げ、兵書一冊を岳飛に授けて「二十年後、金山で弟子の道悦と再会するだろう」と言い残し、五臺山へ帰っていく。

修行の日々

  • 一同は王家荘へ戻り、周侗は四人に弓矢と槍術を教える。湯懐は槍、張顕は鉤連槍、王貴は大刀をそれぞれ望み、周侗はそれぞれの適性に応じて伝授する。
  • 周侗はかつて東京禁軍教頭・林沖や大名府の盧俊義にも武芸を教えた達人で、岳飛の才は二人を上回るほどだった。

武科試験の話

  • ある日、里長が三員外の子と岳飛の四人の名を武科の小考に届け出たことを告げる。王明は事前相談がなかったことに不満を漏らすが、周侗が取りなす。
  • 王貴・張顕・湯懐は帰って受験の支度をするよう命じられるが、岳飛だけは「今回は受験を見合わせたい」と申し出る。周侗が理由を尋ねると、岳飛は事情を語り始める。