說岳全傳第二回 洪濤に浮かび虯王は怨みを報い、孤児寡婦を撫で員外は恩を施す (泛洪濤虯王報怨 撫孤寡員外施恩)

陳摶老祖の予言

  • 昔、真君に斬られかけた蛟精は黄河岸で八百余年修行し「鉄背虯龍」と呼ばれるまでになったが、ある時大鵬鳥に左目を啄まれ、深い恨みを抱いた。これが後の禍のもとになる。
  • 陳摶老祖はこの因縁を予知し、岳員外(岳和)の家に立ち寄る。庭にあった花缸(大甕)二つに符を書き呪をかけ、「三日のうちにもし驚くようなことがあれば、赤子を抱いて左側の甕の中に座らせよ、命は助かる」と言い残して去った。

産まれた子と洪水

  • 三日目、親戚が集まって祝いの席が開かれ、赤子(岳飛)を見せたところ、ある若者が手を握った拍子に激しく泣き出し、皆が興ざめして帰ってしまう。
  • 岳和は夫人(姚氏)に道人の言葉を思い出させ、姚氏は赤子を抱いて花缸の中に座る。直後、天地が裂けるような音とともに大洪水が起こり、岳家荘は一村ごと水に呑まれた。
  • この洪水は、かつて大鵬に目を啄まれた鉄背虯龍が恨みを晴らそうと水族を率いて起こしたもの。天条を犯した咎で虯龍は屠龍力士に斬られるが、その霊は転生して後の秦檜となり、十二の金牌で岳飛を召還し風波亭で陥れることになる(後の話)。
  • 岳和は花缸にすがりつくが、力尽きて水に流され行方知れずとなる。姚氏は赤子を抱いたまま甕に乗って漂流する。

王明夫婦との出会い

  • 甕は河北大名府内黄県麒麟村まで流れ着く。村の富豪・王明とその妻何氏(五十歳の夫婦、子なし)がその頃、王明の見た夢(三更に見た「空中に火が起こる」夢)を占おうとしていたところに水難の騒ぎが起こる。
  • 家人の王安が、甕の上に多くの鷹鳥が翼を広げて覆いかぶさるように漂ってくるのを見つけ、王明に「貴人ではないか」と告げる。近づくと甕の中に女と赤子がおり、姚氏は産後三日で衰弱し放心状態だった。
  • 湯を飲ませて介抱すると、姚氏は事情(相州湯陰県の岳家荘の者で、夫は洪水に流され行方不明)を語り号泣する。王明は母子を引き取ることを決め、院君(王明の妻)も温かく迎え入れる。
  • 湯陰県への使いにより、水は引いたが岳家の消息は分からないままだった。姚氏と院君は姉妹のように親しくなる。

王貴の誕生と岳飛の成長

  • 王員外に子がないことを話題にした際、岳安人(姚氏)が側室を娶るよう勧め、院君も納得してこれを受け入れる。翌年、側室に男児が生まれ、王貴と名付けられる。
  • 岳飛は七歳、王貴は六歳に成長。王員外は塾の先生を招いて二人に読み書きを教えさせ、近隣の湯員外・張員外もそれぞれの息子(湯懐・張顕)を同じ塾に通わせる。
  • しかし岳飛以外の三人は勉強に身を入れず、棒振りや拳の稽古にふけって先生を困らせ、何人もの師が音を上げて辞めていく。

岳飛母子の独立

  • 王明は岳安人に、成長した岳飛のために別に住まいを用意すると申し出て、外に一軒の空き家を与える。岳安人は感謝して移り住み、針仕事などで生計を立てる。
  • ある日、岳安人は七歳になった岳飛に、遊んでばかりいないで柴刈りをするよう言いつける。岳飛は素直に承知し、翌朝から柴刈りに出かける。
  • 岳飛が出かけたあと、岳安人は「夫が生きていれば、この年でも先生をつけて学問をさせたはずなのに、柴刈りをさせるとは」と嘆き悲しむ。