知伯の滅亡(一)
- 知伯が韓魏を率いて趙の晋陽を水攻めにした際、郄疵は「韓魏の君の顔色に喜びがなく憂いがあるのは、いずれ自分たちも滅ぼされると悟っているからだ」と反乱の兆しを見抜き、知伯に忠告したが、知伯はこれを韓魏に漏らしてしまい、郄疵は身の危険を感じて斉へ逃れた。案の定、韓魏は後に知伯に背いた。
知伯の滅亡(二)
- 知伯は范氏・中行氏を滅ぼした後、韓魏に領地を要求した。段規・趙葭はそれぞれ主君に「与えれば知伯は増長し他国にも同様の要求をし、いずれ自滅する」と進言し、韓魏は領地を差し出した。趙だけがこれを拒むと、知伯は韓魏を誘って趙を攻めた。
- 趙襄子は張孟談の進言で晋陽に籠城し、董閼安于が備蓄した武具・銅材を活用して三年の包囲に耐えた。城が水没寸前に追い込まれると、張孟談は密かに韓魏の君を説き、「趙が滅べば次は韓魏の番」と唇歯の理を説いて寝返らせ、三国は結んで知伯を急襲し、これを滅ぼした。知伯の家臣・知過は事前に異変を察知し諫言したが容れられず、自ら姓を変えて難を逃れた。
張孟談の功成り身退く道
- 趙の宗廟を安定させた張孟談は、権勢が集中しすぎることの危うさを説き、功名と権勢を捨てて隠退することを願い出た。襄子は当初惜しんだが、これを許した。後に韓魏斉燕の四国が趙を狙う謀略を巡らせた際、張孟談は再び呼び出され、自身の妻子をそれぞれ楚韓魏斉に人質として送ることで四国の結束を崩す策を献じ、成功させた。
豫讓の忠義
- 知伯の家臣・豫讓は、主君の恨みを晴らすため趙襄子の命を狙い続けた。厠に忍び込んで捕らえられたが、義士として釈放された。その後、体に漆を塗り顔を変え、炭を飲んで声を変えてまで刺客であり続けようとし、友人に「安易な近侍の道もある」と諭されても「二心を抱いて仕えるくらいなら困難な道を選ぶ」と応じなかった。
- 最後には橋の下に潜んで襲撃を試みたが再び捕らえられ、豫讓は「范氏には凡人として遇されたので凡人として報い、知伯には国士として遇されたので国士として報いる」と述べた。趙襄子はその義に感じ入り、自らの衣を与えて豫讓に斬らせ、豫讓はこれを三度斬って自刃した。
借道の策
- 魏文侯が趙に道を借りて中山を攻めようとした際、趙利は「魏が中山を得られなくても消耗し、得ても趙を越えて統治はできない」と述べ、道を貸すことが結局趙の利になると進言した。
三国連合の策
- 秦韓が梁を囲んだ際、燕趙の援軍について、山陽君へ「三国が結んで秦を攻めるべき」との献策があった。
腹撃の大宮室
- 腹撃は主君に、旅人の身で爵禄が高いのに邸宅が小さいと民の信を得られないため、あえて立派な邸を建てて信用を得ようとしたと説明し、主君はこれを了承した。
蘇秦、李兌を説く
- 蘇秦は苦難の末、李兌に「土偶と桃梗が争う寓話」(土は元に戻れるが木は流されて果てがない)を引き、趙の主父を殺した李兌の立場が危ういと説いた。李兌は当初取り合わなかったが、舎人の助言もあり結局蘇秦の弁舌に心動かされ、厚く遇して秦へ送り出した。
蘇秦、趙王のため斉攻めを諫める
- 趙が天下と結んで斉を攻めようとした際、蘇秦は趙王に上書し、秦が実は韓を滅ぼし周を併呑する野心を隠すため、趙魏を欺いて韓を攻めさせようとしていると説き、山東諸国が秦の策謀に乗じられている危険を警告した。
奉陽君への進言
- 斉が宋を攻めようとした際、ある者は奉陽君に、秦が韓魏に食指を動かし宋を攻める好機だと述べ、早く封地を定めるべきだと勧めた。
上党争奪と長平の発端
- 秦王が韓を挟撃する策を公子他と論じ、韓は上党の割譲を条件に和を求めた。韓の上党太守・馮亭はこれを潔しとせず、密かに趙王に上党の地を献じた。趙の重臣の間で受諾の是非が議論されたが、趙王は労せず七十余城を得られる利に惹かれて受諾した。
- 馮亭は「主のために守れず、主命に逆らい、土地を売った」自らの不義を恥じて封を辞退し韓へ帰ったが、これが秦韓の激怒を招き、秦は将軍を送って趙と長平で対峙することとなった。
蘇秦、両木の寓話
- 秦に使いした蘇秦が三日会えなかった際、趙王に「土偶と木偶が争い、木偶は流されればどこまでも漂うだけ」の寓話を引き、自分の立場の危うさを訴えた。
甘茂の宜陽攻めと冷向の分析
- 甘茂が魏と結んで韓の宜陽を攻めた際、冷向は強国(趙)に、甘茂を趙に留め置いて斉韓秦の駆け引きの材料にするよう進言した。
皮相国への進言
- ある者は皮相国に、文信侯(呂不韋)が魏・衛・斉との関係に苦慮している情勢を分析し、秦魏が結べば趙斉が滅ぼされる恐れがあると警告した。
孟嘗君、武城の統治を戒める
- 趙王が孟嘗君に武城を封じた際、孟嘗君は赴任する役人に「借りた車や服を大事に扱うように、統治も慎重に行い、木を伐らず家屋を壊さず、趙王の信頼を裏切らないように」と戒めた。
三晋合従と秦への警戒
- ある論者は趙王に、三晋が結束すれば秦は弱まり、離れれば秦は強まると説き、諸侯が獣(禽)のように互いに争って共倒れになるのを、虎(秦)が待ち構えている構図を警告した。秦が楚を懐柔して韓魏を攻めさせようとする策謀を見抜き、趙が韓魏の西境を守って楚が秦に取り込まれるのを防ぐべきだと説いた。