西太后演義第二回 父の喪で思わぬ弔慰を得、仙宮で佳人に巡り会う (奔父喪無意得賻儀 幻仙宮有緣逢豔侶)
帰郷の船旅
- 惠徵の死後、旗員たちの援助で棺を購い、蘭兒は母・弟妹とともに船で安徽から北京へ帰る旅に出る。晩秋の寂しい景色に蘭兒は涙する。
清江浦での賻儀の行き違い
- 船が清江浦に着き、蘭兒が食料を買いに舟子を出したところ、吳棠の使いが現れ「賻儀三百両」を届けに来る。蘭兒はこれを吳棠の厚意と思い、少額の返礼と自筆の礼状(「孤子桂祥泣血稽顙」)を渡す。
- 実はこの賻儀は、吳棠と親しかった別の安徽副将の喪船に贈るはずのものを、使者が誤って蘭兒の船に届けてしまったものだった。吳棠は礼状の署名がおかしいことに気づき激怒するが、幕友(顧問役)が「達筆な少女の字、旗人らしい」と取りなし、「将錯就錯(誤りをそのまま活かす)」よう進言する。
- 吳棠は自ら蘭兒の船を訪ね弔問し、事情を語る。蘭兒は機転を利かせ、あえて賻儀を返そうとする素振りを見せつつ、吳棠の厚意を受け入れる。吳棠は蘭兒の聡明さに感心し、弟の桂祥にも小遣いを与えて別れる。
- 蘭兒は弟妹に「いつか出世したら吳棠の恩を忘れるな」と語る。
帰京後の困窮と屈辱
- 帰京後、賻儀も尽き、蘭兒一家は針仕事などで糊口をしのぐ生活となる。ある日蘭兒が買い物に出た油塩店で、店主に容姿をからかわれ、鼻をつままれる屈辱を受ける。
- この一件で蘭兒は憤りから体調を崩し、高熱を発して寝込む。薬代もなく看病もままならず、蘭兒は死を思うほど衰弱するが、弟妹や母を案じて思いとどまる。
幻の仙宮の夢
- 高熱の中、蘭兒は青衣の侍女に導かれ、美しい仙境(楼閣・仙女たち)へ迷い込む夢を見る。仙女たちは蘭兒を「将来の国母」と呼び、酒を勧め、漢唐の故事を語り合う。
- ある仙女が「上座の二人はかつて天子の母として生殺の権を握った」と語るところで、蘭兒は現実の物音で夢から覚める。
評語
本回は蘭兒の才知と容貌の両面を描く。賻儀の一件での応対に才知の一端が現れ、油塩店主に容姿を弄ばれる場面に美貌が示される。さらに幻境の夢を挿入することで、後の運命を暗示する寓意を込めている。