西太后演義第三回 勅命で秀女に選ばれ、宮中に上がる (天語傳宣循章選秀 雲程發跡應旨入宮)

夢から覚めて

  • 母の呼び声で目を覚ました蘭兒は、夢の余韻を反芻し、夢に現れた麗姝は呂后・武后らではないかと思い至る。自分もいつか同じような運命を辿るかもしれないと考え直し、悲しみが喜びに転じる。以後、病は日に日に快方に向かい、心身ともに以前より健やかになる。この年、蘭兒は十四歳。

咸豐帝の即位と秀女選抜の噂

  • 道光帝が崩じ、咸豐帝が即位する。蘭兒は十六歳の元旦、燈花の吉兆を見て喜び、以後宮門鈔(宮中情報の刷り物)を買って朝廷の動きを探るようになる。母は「女に学問は無用」と諫めるが蘭兒は聞き入れない。
  • 咸豐帝が皇后を選ぶとの知らせが伝わる。先立って薨じた元妃の喪が明けたため、清制に従い四品以上の満蒙官の娘(十四~二十歳)から秀女が選ばれることになる。蘭兒の父は道員であったため資格があった。
  • 宮門鈔に、鈕祜祿氏が貴妃を経て皇后に立てられる旨の上諭が載り、蘭兒は自分に皇后の目はないと悟って涙するが、同時に秀女選抜の話も伝わり、内心期待を抱く。

秀女への応募

  • 母は秀女に選ばれると生涯宮中に留まり親子の縁が切れると案じ、応募を渋る。しかし蘭兒は「窮すれば通ず」の気概で、母の反対を押し切り自ら名を届け出る。
  • 選抜当日、蘭兒は身支度を整え、祖先に別れを告げ、母や弟妹と情のこもった別れの言葉を交わして輿に乗り出立する。

紫禁城での選抜

  • 輿は紫禁城の東華門に至り、通行証を確認された後、蘭兒は宦官に導かれて壽康宮へ向かう。多くの秀女が並ぶ中、蘭兒は自分の容色に自信を持つ。
  • 長時間待たされた末、皇太后の御輦が到着し、秀女たちは次々と呼ばれて謁見する。蘭兒は列の後方に置かれながらも、やがて名を呼ばれ御前に進み出る。

評語

本回は前回を承けて話を展開する文である。蘭兒を主、母や桂祥らを脇役として自然に描き出し、それぞれの人物に見どころを持たせている。表面的な会話の妙だけでなく、前後の脈絡に含みを持たせた筆致に工夫がある。