三國演義大星は隕ち漢の丞相は天に帰り、木像を見て魏の都督は胆を喪う(第一百零四回   隕大星漢丞相歸天  見木像魏都督喪膽)

孔明、最後の指示

  • 孔明は姜維を止め、自らの寿命が尽きただけだと諭す。姜維に兵法書と連弩の製法を託し、馬岱には密計を、楊儀には魏延の反乱に備えた錦囊の計を授ける。
  • 後主の使者李福に、蔣琬・費禕の順で後継を推挙し、国政の要点を語る。

遺言と最期

  • 病躯を押して各営を見回り、後主への遺表(清廉な政治を求め、私財の少なさを伝える内容)を書き記す。
  • 楊儀に喪を秘し、退却の手順(木像を用いて司馬懿を欺く計)を細かく指示する。北斗の将星が揺らぐのを見て天命を悟り、そのまま息を引き取る(建興十二年八月二十三日、五十四歳。杜甫・白居易・元稹らの詩でその功業を讃える)。
  • かつて孔明に不満を抱いていた廖立・李厳もその死を聞いて嘆く。

司馬懿の恐怖

  • 司馬懿は落星を見て孔明の死を悟るが、計略を恐れて慎重に様子を窺わせる。
  • 魏延は頭に角が生える夢を見て吉夢と信じるが、費禕が密かに趙直から凶兆(「角」は「刀」の下に「用」=首に刀の意)と聞き、魏延に真意を告げず孔明の遺命(撤退の指揮権は楊儀・姜維にあること)を伝える。魏延はこれに反発し、独自に司馬懿を攻めようとする。

魏延の離反と司馬懿の追撃

  • 楊儀は姜維に殿を命じて撤退を進め、魏延は費禕にはぐらかされたと悟り怒り、馬岱を誘って別行動を取る。
  • 司馬懿は蜀軍撤退を知り自ら追撃するが、山影から孔明の木像を掲げた陣立てに驚愕し、生きていると誤認して大混乱のうちに敗走する(「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の諺が生まれる/詩でこの逸話を伝える)。
  • 数日後、真相(孔明の死と木像の計)を知った司馬懿はその軍略に嘆息しつつ引き上げる。

撤退中の異変

  • 楊儀・姜維は棧道口まで撤退し、そこで初めて喪を発する。その直後、前方に火と喊声を伴う謎の軍勢が現れる。