三國演義第三十五回 玄徳は南漳で隠者に出会い、単福は新野で英主に遇う (玄德南漳逢隱淪 單福新野遇英主)
趙雲の困惑
- 城を出て追ってきた趙雲は蔡瑁を問い詰めるが行方を知らず、檀渓の対岸に馬の足跡を見るのみで玄德の消息を掴めず、やむなく新野へ引き返す。
水鏡先生との出会い
- 檀渓を渡った玄德は南漳へ向かう途中、牧童から「破黄巾の劉玄德か」と見抜かれ、その師・司馬徽(号・水鏡先生)の庵へ案内される。
- 水鏡先生は琴の音から来客(玄德)を察し、玄德の窮状も見通していた。玄德の不遇を聞き、「配下に人材はいるが、経綸の才ある者がいないのが原因」と指摘する。
- 水鏡先生は荊襄の童謡を引き、劉表の家運の衰退と天命が玄德に帰する暗示を語り、「伏龍・鳳雛のどちらかを得れば天下を安んじられる」と告げるが、その名は明かさず思わせぶりに笑うのみ。
徐庶(単福)の気配
- 玄德が水鏡邸に泊まった夜、来客(元直)が劉表を見限った経緯を語る声を聞く。水鏡は「王佐の才がありながら人を見る目がない」とその人物を評し、玄德はこれが伏龍・鳳雛の一人ではと直感するが、翌朝には既に立ち去った後だった。
- 趙雲が玄德を捜し当てて合流し、雲長・張飛とも合流して新野へ戻る。
蔡瑁の処罰と劉琦の来訪
- 孫乾の進言で劉表に事の次第を訴える書状を送ると、劉表は激怒して蔡瑁を斬ろうとするが、蔡夫人の哀願と孫乾の取りなしで赦し、長子劉琦を新野に遣って玄德に詫びさせる。
- 劉琦は継母蔡氏に命を狙われていることを玄德に涙ながらに訴え、玄德は「孝を尽くし慎めば禍は及ばない」と諭す。
単福(徐庶)の登用
- 玄德は市中で歌いながら現れた単福(徐庶の仮名)と出会い、軍師として迎える。単福は的盧馬について「妨主の相があるが、これは既に一度主を救ったので次に真に禍をなす」とし、恨みある者に譲る禳(まじな)いを勧めるが、玄德がこれを不仁として拒むと、単福はそれが仁徳を試す言葉であったと明かし、玄德の人柄に感服する。
呂曠・呂翔の来襲と撃退
- 曹操配下の曹仁・李典は樊城に駐屯し、降将の呂曠・呂翔が功を焦って玄德討伐を願い出て五千の兵を得る。
- 単福の策により、関羽・張飛が左右から挟撃し、玄德・趙雲が正面から迎え撃つ布陣を敷き、趙雲が呂曠を、張飛が呂翔をそれぞれ討ち取って敵を壊走させる。
- 敗報を受けた曹仁は自ら大軍を率いて報復に向かおうとし、李典は「劉備は侮れぬ」と慎重論を唱えるが聞き入れられず、二人は二万五千の兵で新野へ向かう。