三朝北盟會編炎興下帙 紹興三十一年 1161年
正月 沈介の対金防備策上奏
- 工部侍郎沈介は封事を上り、「恃と忽」(油断への慢心)こそが失敗の根源であると説き、二十八年に及ぶ和議の間に朝廷が対金警戒を怠ってきたことを批判した。
- 現在の大患は「国論不定」(和・戦・守の方針が定まらない)と「威令不行」(軍令が徹底されない)の二点にあるとし、まず守りの方針を一つに定めた上で、要地・将・兵糧を明確にすべきだと論じた。
- 具体的には四策を提言した。第一に「禦将」――諸将が長年の兵権掌握で驕慢化している弊を正し、側近・宦官による利権化を断つべきこと。第二に「訓兵」――祖宗の代のように親しく武備を検閲し、実戦に即した訓練を行うべきこと。第三に「先声で敵の気勢を挫く」――金が汴京への遷都を進める前に、宋も建康への巡幸を布告して機先を制すべきこと。第四に「瑕を棄てて用いる」――過去に些細な過ちのある人材でも、才能があれば登用すべきこと。
- 最後に、方針は一度定めたら動揺させず、疑いを持たず断固として実行すべきだと説き、趙充国の故事を引いて忠言を尽くす覚悟を述べた。