遼史卷八十一 列傳第十一 陳扎衮
虎を素手で捕らえた勇者
- 陳扎衮、小字は旺玖。雲州の人で通訳に長け、勇敢で弓に優れた。統和年間、祗候即君に補せられ奚伊喇詳衮となり、敦睦宮太保として囲場(狩猟場)を掌った。開泰五年秋の大猟で帝が虎を射た際、馬が速すぎて矢を射る間もなく虎が猛って車駕に迫った。左右が逃げ惑う中、扎衮は馬を捨てて虎の両耳をつかみ乗り、虎が暴れて逃れようとしても手を離さず、衛士の追射を大声で制止しながら虎が山に飛び込んでもなお地に落ちず、隙を見て佩刀を抜いて虎を殺し、担いで帝の前に運んだ。
- 帝はこれを慰労し、その場で宴を設け席上の金銀器をすべて扎衮に賜り、節鉞を加えて圍場都太師に遷し、国姓(耶律氏)を賜った。張儉・呂徳懋に命じて扎衮の功を称える賦を作らせた。のち帰義軍節度使・上京留守同知を歴任し、西南面招討都監を経て卒した。