列女傳卷三 齊靈仲子

太子廃立をめぐる諫言

  • 齊の霊公の夫人で、宋侯の娘である。はじめ霊公は魯の聲姫を娶り、子の光を生ませて太子とした。夫人仲子とその妹戎子は、ともに公の寵愛を受けていた。
  • 仲子は子の牙を生んだ。戎子は牙を太子に立てて光に代えるよう求め、公はこれを許した。
  • 仲子は「いけません。定まった秩序を廃するのは不吉なことです。諸侯の間に難が起きたと聞けば、それは謀が誤っていたということです。光が太子に立てられたことは、すでに諸侯にも知れ渡っています。今、理由もなくこれを廃するのは、諸侯の決定を勝手に覆すことになり、難を招く不吉な行いです。君はきっと後悔することになるでしょう」と諫めた。
  • 公は「私が決めることだ」と答えた。仲子は「私は謙譲しているのではなく、これこそ禍の兆しなのです」と述べたが、死を賭して争っても公は聞き入れず、ついに太子光を追放して牙を太子に立て、高厚をその傅とした。
  • 霊公が病になると、高厚はひそかに光を迎えようとした。公が薨じると、崔杼が光を立てて高厚を殺した。仲子の言葉を用いなかったために、このような禍に至ったのである。君子は「仲子は物事の道理に明るかった」と評した。

史論

  • 『詩経』に「私の謀を聞き用いれば、大きな後悔はないだろう」とあるが、仲子のことを言っているのである。
  • 頌に曰く、齊の霊仲子は仁と智に優れていた。霊公が牙を立てて聲姫の子光を廃そうとしたとき、仲子は強く諫め、嫡子を退けるのは不吉であると説いた。公が聞き入れなかったため、果たして禍が起きた、という。