明史卷六十三 志第三十九 樂三
樂章一
洪武三年(1370年)定朝賀樂章
- 陞殿には飛龍引之曲、百官の行禮には風雲㑹之曲、丞相の致詞には慶皇都之曲、復位して百官が行禮するときには喜昇平之曲、還宫には賀聖朝之曲を奏する。いずれの曲も後掲の宴饗九奏の中に見える。
洪武二十六年(1393年)更定の陞殿韶樂・還宫韶樂・公卿入門
- 陞殿の韶樂には聖安之曲を奏する。乾坤と日月の明るさ、八方四海の太平、龍樓鳳閣に扇が開き簾が捲かれて帝王が立つさま、天地の靈に感じて萬壽と洪福が増し、祥光と王氣のうちに寶位に陞って永く康寧であることを歌う。
- 還宫の韶樂には定安之曲を奏する。九五の位に聖龍が飛び、千邦萬國が敬い從うさま、鳴鞭が三たび下って公卿が居並び、環珮が鳴り掌扇が御容を護り、中和の樂音のうちに翡翠錦繡の華蓋に擁されて龍宫へ還るさまを歌う。
- 公卿の入門には治安之曲を奏する。忠良が股肱となり、昊天の徳と主君の恩を承け、群臣が北辰を拱くように奉天門に列し、江山社稷が興り天下の軍民が安んじ、龍虎風雲の會であることを歌う。この曲は後に用いられなくなった。
洪武二十六年(1393年)定中宫正旦・冬至・千秋節朝賀樂章
- 中宫には天香鳳韶之曲を用いる。寶殿が晴天に輝き玉鉤を懸けた珍珠の簾櫳、瑤觴を舉げて簫韶が動き、大筵に鳳が儀を成して來り、昭陽に玉帛が齊しく朝貢し、孝慈の賢助と仁風とを讃え、昇平の中に歌謠して齊天の頌を獻ずる、と歌う。
- 宣徳(1426年〜1435年)以後に慈宫朝賀樂章として天香鳳韶之曲を増し定めた。龍樓鳳閣に彤雲が曉け、繡簾を開けば天香が芬馥し、瑤堦の春暖に千花が簇り、聖母の壽を齊しく頌し祝い、御筵に長生の曲を奏し、坤道が寧らかで品類がみな育ち、和氣が四時に調い、萬萬年の太平の福を享ける、と歌う。
洪武三年(1370年)定宴饗樂章(九奏)
- 一奏、起臨濠之曲。曲名は飛龍引。千載にして中華に聖主が生まれ、王氣が龍虎を成し、劍を提げて淮西に起ち、將は勇み師は雄々しく百戰して彊虜を収め、鞍馬に寒暑を經て將士が甘苦を同じくし、次第に風塵を靜め、暴を除き民を安んじた功業は湯・武のごとし、と歌う。
- 二奏、開太平之曲。曲名は風雲㑹。玉壘が江地を瞰み、風雲が帝營を繞り、樓船に駕して龍虎が縱横し、礮を飛ばし機を發して六甲を驅り、虜將を降し胡兵に勝ち、談笑して長鯨を掣き、三軍の勇氣が増し、ひとたび戎衣して宇宙が清寧となり、華夷が一統に歸して帝業を開き昇平を慶ぶ、と歌う。
- 三奏、安建業之曲。曲名は慶皇都。虎踞龍蟠の佳麗の地に真主が基を開き、千載の風雲の會に十萬の雄兵が鐵騎を屯し、臺臣も守將もみな奔り潰え、煩苛を一洗して徳惠を施し、里巷が謳歌し田野に和氣が騰り、王業が千萬世に宏く開けて黎民がみな雍熈の治を仰ぐ、と歌う。
- 四奏、削羣雄之曲。曲名は喜昇平。黄鉞を持って荆楚を削平し吳越を清め、暮秦朝晉の豪傑がいくたりもあった中、幽燕齊魯の風塵が潔まり、伊凉蜀隴の人心が悦び、車書が一統して萬方が轍を同じくした、と歌う。
- 五奏、平幽都之曲。曲名は賀聖朝。天運が推し遷って元の運が移り、王師が北討して燕畿を定め、百年ぶりに禮樂が重ねて興る日、四海の風雲が會する時、暴虜を除き瘡痍を撫し、漠南の人々が舊の威儀を爭って覩、君王の聖徳が降虜を容れ、三恪の衣冠が玉墀に拜する、と歌う。
- 六奏、撫四夷之曲。曲名は龍池宴。海波は動かず風塵は靜まり、中國に真人あり、文身の交趾・氊裘の金齒が重譯して來賓し、竒珍異産が梯山航海して表を奉り臣を稱し、白狼・元豹・九苞の丹鳳・五色の麒麟が現れる、と歌う。
- 七奏、定封賞之曲。曲名は九重歡。乾坤が清廓となって功を論じ賞を定め、勲を策し爵を封じ、玉帶金符・貂蟬簪珥を賜い、形を麟閣に圖き、奉天洪武の功臣が興運を佐け、文經武略の子々孫々まで尊榮富貴が久しく安樂である、と歌う。
- 八奏、大一統之曲。曲名は鳳凰吟。大明の天子が飛龍に駕して疆宇を開き王封を定め、江漢の遠きまで朝宗し、四海の車書が會同するのを慶び、東夷・西旅・北戎・南越がみな地圖の中に入り、遐邇に皇風が暢び、億萬載にわたって時和し歳豐かである、と歌う。
- 九奏、守承平之曲。曲名は萬年春。風調雨順が乾坤に遍く、承平の時節を齊しく慶び、玉燭が調和して甘露が降り、遠近に桑麻が相接し、武を偃せ文を修め、功に報い徳を崇び、率土がみな臣妾となり、山河は磐のごとく固く萬方の黎庶が歡悦する。創業の艱難を長く想えば、君臣ともに四方の豪傑を掃い、露宿宵征して鞍馬の上に風霜氷雪を厯き盡くした。朝野は今や清寧で無事だが、賢哲を任用し、躬ら勤儉に節して萬年ともに王業を守れ、と歌う。
- 以上の九奏は、前の三奏は和緩、中の四奏は壯烈、後の二奏は舒長で、その曲はみな月律に按って作られている。
十二月按律樂歌
- 正月は太簇、本宫は黄鍾商、俗名は大石、曲名は萬年春。天を奉じ運を承け黄麾を秉り、志は民を安んじ慝を除くにあり、中天に王氣が騰り、五色の虹霓が千尺、龍が兜鍪を繞り、神が艘艦を迎え、嘉應は人力によらず、鳳凰山の上に慶雲が長く峯石を繞った、と歌い、天が神武を助けて功を成し、人心が從って行く先に敵なく、手に乾符を握って寶祚を開き、山河の南北を略定し、江淮に馬を飲ませ河漢に營を列ね、四海の風波が息み、師は雄々しく將は猛く、萬方が齊しく威徳を仰ぐ、と續く。
- 二月は夾鍾、本宫は夾鍾宫、俗名は中吕、曲名は玉街行。山林に豺虎、中原に狐兎、四海に英雄無數という中、大明の真主が臨濠に起ち、赫として戎衣し一たび怒れば、玉壘に星が羅なり鐵騎が雲のごとく屯し、乾坤の烟霧を一掃して、黎民がふたたび太平の年を覩、萬里の山河が磐のごとく固いのを慶ぶ、と歌う。
- 三月は姑洗、本宫は太簇商、俗名は大石、曲名は賀聖朝。雲氣が芒碭の間に朝に生じ、虹光が鳳凰山に夜に起こり、江淮に一日にして真主が出、華夏千年の正統が還った。日角を瞻て天顔を覩、雲龍風虎が競って追い攀り、君臣が勤苦して王業を成し、その王業は汪洋として百蠻に及ぶ、と歌う。
- 四月は仲呂、本宫は無射徴、俗名は黄鍾正徵、曲名は喜昇平。風雲が濠梁に密まり、千載にして真龍が出、鯨鯢豺虎が跡形もなく掃除され、江河はこれより波濤が息み、乾坤がともに承平の日を慶び、華夷萬里の地圖が一つに歸した、と歌う。
- 五月は蕤賓、本宫は姑洗商、俗名は中管雙調、曲名は樂清朝。中原に鹿が走って英雄が起ち、四郊を囘顧すれば壘が多く、英主が淮水に兵を倡げ、將士はみな雄偉であった。百靈が護り助け人心が喜び、一呼すれば萬人が風になびき、談笑のうちに蝼蟻を掃除して、王業はここに始まった、と歌う。
- 六月は林鍾、本宫は夾鍾角、俗名は中呂角、曲名は慶皇都。王氣が祥を呈して紫鳳が飛び、虎嘯き龍興って千里に旌旗が動き、四海が歡呼して師旅が集まり、天戈がひとたび指せば風雲が從う。將士は先を爭い民は用いられるのを樂しみ、英雄を駕馭する聖徳はみな天縱で、率土の華夷が職貢に歸し、詞臣が河清の頌を拜獻する、と歌う。
- 七月は夷則、本宫は南吕商、俗名は中管商角、曲名は永太平。鳳凰の佳氣のもと王師が義を起こして乾坤がまさに曉け、淮水の西邊に五色の慶雲が繚繞し、三尺の龍泉は水のごとく、百萬の貔貅熊豹、軍令は悄かに、魚麗・鵝鸛の陣、風雲蛇鳥の變。糾糾として電のごとく掣き鷹のごとく揚がり、罪を伐ち民を安んじ、殘を去り暴を除き、天も人も歸して豪傑をいくたりも削平し、萬里の煙塵を淨く洗い、紅日一輪が高く照らして大寶に膺り、王業が萬年相い保たれる、と歌う。
- 八月は南吕、本宫は南吕宫、俗名は中管仙吕、曲名は鳳凰吟。紫微に翠蓋が蓬莱を擁し、聖天子の帝圖が開けて厯數が江淮に應じ、五色の雲が上台に生ずるのを看る。櫛風沐雨して堅を攻め鋭を撃ち、將士はみな英才、馬を躍らせて塵埃を定め、萬古の山河を創ったのは壯なるかな、と歌う。
- 九月は無射、本宫は無射宫、俗名は黄鍾、曲名は飛龍引。詞は前の起臨濠之曲と同じ。
- 十月は應鍾、本宫は姑洗徴、俗名は中呂正徴、曲名は龍池宴。大明の英主が天運を承け、義を倡げて天戈を擁し、星辰が旋り繞り風雲が圍み護って龍虎が麾き訶り、旌旗の指すところ𦍑夷が欵を納れ、江海の波が停まり、今より萬年の疆宇と百二の山河が平定された、と歌う。
- 十一月は黄鍾、本宫は夷則角、俗名は仙呂角、曲名は金門樂。皇都を慶び聖主が寶祚を開く。臨濠に起ったとき、汝・潁に塵が飛び江淮に浪が捲き、赤子が呼號する中で天戈を奮い、義を倡げて神兵を擁し、百萬みな英豪、貔虎が朝に壁壘に屯し虹霓が夜に弓刀を繞る。鳳凰山の勢いは層霄に聳え、佳氣たる五雲は高く、士伍を愛して心を同じくし、君臣が力を協せて勤勞を厭わず、風雲がひとたび相會して魚龍の飛舞するさまを看、波濤は靜まり八方の氛祲を掃い、みな九奏の簫韶を聴く、と歌う。
- 十二月は大吕、本宫は大呂宫、俗名は高宫、曲名は風雲㑹。天の眷顧により淮西の真人が布衣より起ち、乾剛を正して九五に龍飛し、英雄を駕馭し俊傑を収め、永命を承けて皇威を布く。一劍にして鴻基を立て、三軍が義旗を擁し、雲霓を望むように四海の人が歸し、乾坤を整頓して暴虐を除き、聖徳を歌って雍熈を慶ぶ、と歌う。
洪武三年(1370年)定の武舞・文武・四夷舞
- 武舞、曲名は清海宇。劍を㧞いて淮土に起ち、馬に策うって寰區を定め、王氣が天統を開き、寶厯が乾符を慶び、武畧文謨、龍虎風雲の創業のはじめ、將軍は星が弁を繞り、勇士は月のごとく弧を彎き、騎を選んで南楚を平らげ、陣を結んで東吳を下し、蜀に跨り胡を驅って、萬里の山河が帝居を壯んにする、と歌う。
- 文武、曲名は泰階平。乾坤が清寧となって治功が告げ成り、武で禍亂を定め文で太平を致し、郊にはその禮を致し廟にはその誠を盡くす。卿雲が天にあり甘露が零り、風雨が時に若い、百穀が登り、禮樂は雍和し政刑は肅清、儲嗣がすでに立ち封建が行われ、讒侫は屏けられ四海の賢俊が朝廷に立ち、玉帛鐘鼓が両楹に陳ねられ、君臣が賡歌して頌聲を揚げる、と歌う。
- 四夷舞曲。その一、小將軍。大明の君が宇寰を定め、聖恩は寛く江山を掌り、東虜・西戎・北狄・南蠻が手に寶貝の盤を高く擎げる、と歌う。
- その二、殿前歡。五雲の宫闕が霄漢に連なり、金光が明るく眼を照らし、玉溝の金水は深く潺潺、頫き頸を伸ばして觀、趨蹌して儀鑾を看れば、嚴肅なること百千般、人の心膽を寒からしめる、と歌う。
- その三、慶新年。虎豹の關に文武の班が五綵の間に列び、慶雲朝霞が黄金殿に燦めき、喜氣が丹墀の内に増し、聖顔を仰げば翠が繞り紅が圍み錦繡の班、髙樓十二の欄に笙簫が趂き、紫壇に仙音の韻が響き、瑤□(底本欠字)に按じて拜舞し、齊しく歌謠して吾が皇の萬壽安からんことを讚える、と歌う。
- その四、過門子。宇寰を定め、宇寰を定め、江山を掌り百蠻を撫し、謳歌拜舞して仰ぎ祝い讚え、萬萬年の帝業が安らかであれと歌う。
洪武十五年(1382年)重定宴饗九奏樂章
- 一奏、炎精開運之曲。炎精が運を開いて聖皇が生まれ、大明が御極して遠く虞・唐を紹ぎ、河は清く海は宴らかで物は阜かに民は康く、威は夷獠に加わり徳は戎𦍑に被り、八珍を薦め九鼎が馨香し、鼓鐘が鐄鐄と鳴り宫徴が洋洋、神を怡ばせ壽を養い、隂を理め陽に順い、この遐福を保って地久しく天長し、と歌う。
- 二奏、皇風之曲。皇風が八表に被り、熈熈として聲教が宣べられ、時は和し景象は明るく、紫宸に繡筵が開かれ、龍袞が朝日に曜き、金爐が祥烟を裊らせ、濟濟たる公侯が麗しく鮮やかな服を被て丹扆に侍坐し、磬折して周旋し、羔豚が華俎に升り、玉饌が方圓に充ち、初筵に南風を奏し、續いて賡載の篇を歌い、瑤觴を欣んで再び舉げ、拜俯の禮に愆ちなく、この辰に樂しみを同じくし、於皇千萬年、と歌う。
- 平定天下之舞を奏する。曲名は清海宇(前に同じ)。
- 三奏、眷皇明之曲。赫赫たる上帝が我が皇明を眷み、大命がすでに集まり、本は固く支は榮える。その本とは春宮に徳を育むこと、その支とは藩邦によって寧きことである。慶びは百世に延び、澤は羣生に被り、時に及んで樂しめば天禄に膺り、千秋萬歳その成るを永く觀る、と歌う。
- 舞安四夷之舞を奏する。曲名は小將軍・殿前歡・慶新年・過門子(いずれも前に同じ)。
- 四奏、天道傳之曲。馬が圖を負って天道が傳わり、龜が書を載せて人文が宣べられ、羲が卦を畫き禹が疇を叙べ、皇極が建てられて自然に合い、綿綿たる厯數が明主に歸し、祥麟が郊にあり威鳳が舞い、九夷が入貢して康衢の謠あり、聖子神孫が祖武を繼ぎ、垂拱無為にして前古を邁ぐ、と歌う。
- 車書㑹同之舞を奏する。曲名は泰階平(前に同じ)。
- 五奏、振皇綱之曲。周南は麟趾を詠じ卷阿は鳳凰を歌う。藹藹として多士を稱し、楨を為して皇綱を振るう。赫赫たる我が大明、徳の尊きこと漢・唐を踰え、百揆が庶績を修め、公輔が陰陽を理め、峩冠正襟佩、都俞して高堂にあり、坐ながらに八紘の内を熙熈と民樂康ならしめ、氣は和し風雨は時に、田内に豐穰を見る。禮を獻ずること三爵を過ぎ、歡娛はまことに未だ央きず、と歌う。
- 六奏、金陵之曲。鍾山に蒼龍が蟠り石城に金虎が踞り、千年の王氣を帯びた都が今や聖主に歸した。六代の繁華は幾秋を經、江流は東へ去って休む時なし。誰か天塹が南北を分かつと言うか、英雄はただ曹・劉を嗤うにとどまらぬ。我が皇は昔濠梁の屋に住み、神が遊んで天が真人の服を錫い、兵を提げ勢いに乘じて渡江して來たとき、臣は早くも金陵の曲を獻じた。金陵を歌い珍饌を進め、八音を諧え三歎を繼ぐ。請う、漢祖が兵を用いた時を觀よ、馮異の滹沱の飯を嘗めたことがあるのだから、と歌う。
- 七奏、長楊之曲。長楊が緑を曳き黄鳥が和して鳴き、菡萏が鮮やかに呈り紫燕が輕盈、千花が露に浥い日は麗しく風は清く、時に及んで樂しみ芳しい尊が庭にある。管音は嘒嘒、絲韻は泠泠、玉振金聲、おのおのその能を奏する。皤皤たる國老が勸め、また懲める。明徳こそ馨しく、これを聖經に垂れる。唐風は戒めを示す、永く嘉名を保て、太康に已むことなかれ、哲人はこれを聽け、と歌う。
- 八奏、芳醴之曲。夏王は芳醴を厭い、商湯は色聲を遠ざけ、聖人は深き戒めを示して千春に令名を垂れた。惟れ皇は九五に登り、玉食して尊榮を保つも、日が昃いても餐する暇なく、徳を布いて羣生に延べる。天庖に豐膳を具え、鼎鼐に調烹を事とするが、ただ肥甘を資とするのみならず、また遐齡を養うに足る。達人はこの理を悟り、恒に五氣を平らかにし、時に隨って節あるを知る。昭かなるかな天道の行い、と歌う。
- 九奏、駕六龍之曲。日は中天に麗しく漏刻は遲く、公卿が宴に侍して令儀多く、簫韶九奏、觴は九たび獻ぜられ、爐烟は細く祥風を逐って吹き、羣臣が舞蹈して天顔は喜ぶ。歳熟し民康きこと常にかくのごとくあれ。六龍が駕を迴らせ鳳樓は深く、寶扇が齊しく開いて玉几を扶け、景星が瑞を呈し慶雲が多く、両曜が暉を増し四序が和す。聖人の道の大なること天地のごとく、歳歳年年この樂しみをいかにせん、と歌う。
- 進膳曲は水龍吟。寶殿に祥雲と紫氣が濛り、聖明の君の龍徳の宫、氤氳たる霧靄が檜栢と青松の間にかかり、龍樓鳳閣・雕梁畫棟、これぞ蓬萊の洞、と歌う。
- 太平清樂曲は太清歌。萬國が來朝して進貢し、聖明の主を仰ぎ賀し、華夷を一統し、普天下の八分四海、南北東西が聖徳に託し、堯王に勝って家國を保護し、天下太平みな一に歸す。兵器を銷して農器と為し、旌旗は動かず酒旗が招き、天地を仰ぎ荷う、と歌う。
- 上清歌。一に願うは四時風調雨順、民心が喜び、外國を攝えて寶貝を將たらしむ。外國が寶貝を將て君王に見え、寶殿の裏に來朝し、珊瑚・瑪瑙・玻璃を丹墀に進める、と歌う。
- 開天門。長生に託して日月が天徳を光らせ、萬萬歳に皇基を永く固くし、公卿文武が來朝し會して、玳筵を開き金盃を捧げる、と歌う。
- 迎膳には水龍吟を奏し、曲は進膳と同じ。陞座・還宫・百官行禮には萬嵗樂・朝天子の二曲を奏し、朝賀と同じ。
- 大祀の慶成の大宴には萬國來朝隊舞・纓鞭得勝隊舞を用いる。萬壽聖節の大宴には九夷進寶隊舞・壽星隊舞を用いる。
- 冬至の大宴には讚聖喜隊舞・百花聖朝隊舞を用いる。
- 正旦の大宴には百戲蓮花盆隊舞・勝鼓采蓮隊舞を用いる。
永樂十八年(1420年)定宴饗樂舞
- 一奏、上萬壽之曲。龍が飛んで萬方を定め、天命を受けて紀綱を振るい、彝倫が叙べられて四海が康く、普天率土がことごとく來王し、臣民が舞蹈して嵩呼を載せ揚げ、觴を稱げて吾が皇を奉じ、聖壽が天のごとく長からんことを歌う。
- 平定天下舞曲。その一、四邉靜。威は千邦を伏し、四夷が來賓して表章を納れ、禎祥を顯し乾象を承け、皇基は永く昌え、萬載の山河は壯んなり、と歌う。
- その二、刮地風。聖主は堯・舜・禹・湯に過ぎ、五常三綱を立て、八蠻が今上に進貢朝し、頓首して誠に惶れる。朝中の宰相が隂陽を燮理し、五糓が收成して萬民が歡暢し、吾が皇を賀して齊しく讚え揚げ、萬國が來降する、と歌う。
- 二奏、仰天恩之曲。皇天が聖明を眷み、五辰が順い四海が寧く、風調雨順して百糓が登り、臣民が鼓舞して太平を樂しみ、賢良が位にあって邦家が永く禎く、吾が皇が洪恩を仰ぎ、夙夜に誠を存する、と歌う。
- 黄童白叟鼓腹謳歌の承應曲は豆葉黄。雨順風調して五穀が収成し、倉廩が豐かに盈ち、大いに民生を利し、皇恩に託し賴って四海が清く、鼓腹謳歌する白叟黄童がともに咸寧を樂しむ、と歌う。
- 四夷舞曲。その一、小將軍。天心に順い聖徳が誠であるゆえ、番邦を化してことごとく京に朝せしめ、四夷が歸伏して龍廷に舞い、皇明に寶貝を貢いで擎げる、と歌う。
- その二、殿前歡。四夷率土が王命に歸し、みな大明を仰ぎ、萬邦千國がみな正に歸して帝庭に現れ、仁聖に朝し、天階に班列する衆公卿が齊しく聲を上げて太平を歌う、と歌う。
- その三、慶豐年。和氣が増して鸞鳳が鳴き、紫霧が生じ祥雲朝霞が映え、金爐に爇く香の味が馨しく、丹墀に列なり御駕が盈ち、絃管簫韶の五音が應じ、龍笛が鳳笙の間に交わる、と歌う。
- その四、渤海令。金盃の中に酒が滿ち盛られ、御案の前に羣英が列び、君徳が成って皇圖を慶び、嵩呼萬歳の聲が上がる、と歌う。
- その五、過門子。聖主が興り、聖主が興って威靈を顯し、蠻夷が靜まり、至仁至徳至聖明にして萬萬年の帝業が成る、と歌う。
- 三奏、感地徳之曲。皇心が地靈に感じ、天時に順って徳が生を厚くし、含宏光大にして品物が亨り、竒を鍾め秀を毓んで俊英を產み、河は清く海は宴らかで麟が來り鳳が鳴き、隂陽が永く和平で、我が文明を相ける、と歌う。
- 車書㑹同舞曲。その一、新水令。錦衣花㡌が丹墀に設けられ、みな公服して百司がともに會し、麟が至り舞い鳳が儀を來し、文武の班が齊しく聖明の帝に朝賀する、と歌う。
- その二、水仙子。八方四面が華夷を錦にし、天下の蒼生が聖徳を仰ぎ、風調雨順の昇平の世に、乾坤に遍くみな讚え禮し、君恩に託して民は雍熈を樂しみ、萬萬年皇基は堅固、萬萬載江山は體を定め、萬萬歳洪福は天に齊しい、と歌う。
- 四奏、民樂生之曲。世間の萬民が天地を荷い聖恩に感じ、乾坤が位を定めて四海に春あり、君臣父子が大倫を正し、皇風が浩蕩として人心が醇を載せ、熙熙として天真を樂しみ、永く明君を戴く、と歌う。
- 表正萬邦舞曲。その一、慶太平。奸邪が朝綱を濁亂し禍難を構え、戈斨を煽動したので、吾が皇が赫怒して灞上に親征し、天戈を指せば敵はみな降った、と歌う。
- その二、武士歎。白溝の戰場に旌旗が雲のごとく合して日光を迷わせ、令は嚴に氣は張り、三軍が踴躍して齊しく奮い揚がり、殘甲を掃除すること風の蕩うがごとく、凱歌が四方に傳わり、仁聖は降る者を殺さず、河南を望めば欃槍(凶星)は失せた、と歌う。
- その三、滾綉毬。旅を肆べて拒み力の強きを恃み、一心に殃を構え、滄洲に百尺の城隍を築き、蠆毒を騁せ虎狼を恣にしたが、誰がこれを禦ぎ得よう。天心に順い徳ある者こそ隆昌するのだ。戈を倒し甲を歛めて齊しく歸降し、將を撫して生きて故鄉に還らしめ、これより仁の聞こえがいよいよ彰れた、と歌う。
- その四、陣陣贏。孫・吳の兵法の良きを數えるまでもなく、神謀睿算が隂陽に合し、八陣は堂堂として天上を行き、虎略龍韜に誰が敢えて當たろう。俘囚十萬をみな疎放し、仁恩に感荷して上蒼を戴く、と歌う。
- その五、得勝囘。兩傍四方に鳥翼を展べ、風雲雁行して竒兵を出せば敵は量り難く、士は強く馬は強く、百里に遍く旌を眠らせ鎗を臥せ、勝った兵が囘って洋洋と樂しむ、と歌う。
- その六、小梁州。敵兵は戰い敗れて神魂を喪い、貔貅を擁して直ちに長江を渡り、市門を開いて肆を移さず、聖恩を宣べること天のごとく曠く、綸音が頒降されて普天下が吾が皇を仰ぐ、と歌う。
- 五奏、感皇恩之曲。當今四海が寧く、頌聲が作り禮樂が興り、君臣が慶會して太平に躋り、衣冠濟濟として彤庭に宴し、文臣武將がともに恩榮を荷い、忠心をもって微誠を盡くし、皇明に仰ぎ答える、と歌う。
- 天命有徳舞曲。その一、慶宣和。雨順風調して萬物が熙り、華夷を一統し四海に嘉禾あり、和氣に感じて一榦百穗、一榦百穗、と歌う。
- その二、窄甎兒。梯航して萬國が丹陛に來り、太平の年に洪基を永く固くし、正しく東西南北から來朝して會し、寰宇に洽く春暉を布き、四夷がみな賓し聲教は美しい。古より明王は徳を慎むにあり、威武をもって戎狄を服する必要はない。祥瑞が集まり鳳が儀を來し、佳期萬萬歳、聖明の君が華夷に主たり、と歌う。
- 六奏、慶豐年之曲。萬方が聖君を仰ぎ、大一統して萬民を撫し、豐年の時序に雨露が均しく、五糓が穰穣として貨財が殷に、酣歌擊壌して風は清く俗は淳く、四夷がことごとく來賓し、皇仁を正統とする、と歌う。
- 七奏、集禎應之曲。皇天が大明を眷み、五星が聚まって太平を兆し、騶虞が出現し甘露が零り、野蠶が繭を成し嘉禾が生じ、醴泉が地に湧き河水が清み、乾坤萬萬年、四海永く寧し、と歌う。
- 八奏、永皇圖之曲。天心が聖皇を眷み、大位を正して萬邦を撫し、仁風を宣布して禮樂を張り、戎夷が稽首して明堂に朝し、皇圖は鞏固、賢臣が贊襄し、太平の日月が光り、地久しく天長し、と歌う。
- 九奏、樂太平之曲。皇恩が八絃に被り、三光は明るく四海は清く、人は康く物は阜かで歳ごとに屢しば登り、含哺鼓腹してみな歡聲を上げ、民は帝力を歌い、唐堯の至仁のもと乾坤が永く清く、ともに太平を樂しむ、と歌う。
- 導膳・迎膳・進膳および陞坐・還宫・百官行禮の諸曲は、いずれも洪武年間と同じ。
- 大祀の慶成には纓鞭得勝蠻夷隊舞、萬壽聖節には九夷進寶隊舞、冬至節には讚聖喜隊舞、正旦節には百戯蓮盆隊舞を用いる。
嘉靖間(1522年〜1566年)續定慶成宴樂章
- 陞座の樂曲は萬嵗樂。五百年の昌期に嘉慶が會し、聖皇が啓かれて龍のごとく天位に飛び、九州四海が重ねて華やぐ日、大明の朝は萬萬世、と歌う。
- 百官行禮の樂曲は朝天子。前に滿ちる瑞烟の香が蓬萊殿を繞り、風が韶律を囘らせ鼓が淵淵と鳴り、陛上に列なる旌旗が日に絢い、朱躔に至り陽が赤甸に生じ、氣が和融して上元の厯に徹し、萬千年を厯て天宫の宴を長く慶ぶ、と歌う。
- 上護衣・上花の樂曲は水龍吟。寶殿の金爐に瑞靄が浮かび、王案を陳ねて珍羞を列ね、天花が彩を炫かせて翠雲の裘を照らし曜かせ、鸞歌鳳舞のうちに虞廷の樂を奏して萬歳君王の壽を祝う、と歌う。
- 一奏、上萬歳之曲。聖主が衣裳を垂れ禮樂を興して虞・唐を邁ぎ、簫韶九成して鳳凰が儀を成し、日月が中天より八荒を照らし、民は安く物は阜かで時は和し歳は康く、萬年の觴を上り奉じ、允に祚は疆りなし、と歌う。
- 平定天下舞曲を奏する。その一、四邊靜。天が嘉祥を啓き、聖主が中興して紀綱を振るい、頌は洋洋、功は蕩蕩、國運は隆昌、萬歳の皇圖は壯んなり、と歌う。
- その二、鳳鸞吟。維れ皇は上天が聖明を佑け、景命が宣べられ、五雲が輝き三台が潤い七緯が光を懸け、協氣が生じ嘉祥が見れ、萬民を正しく用い、羣賢が衮を垂れ、經筵に御し、宵衣して政殿に勤め、圜丘に禮し大祀に精しく虔しみ、明水は潔く蒼璧は圓く、周文を秉り殷薦を承け、皇家を眷むこと億萬斯年、と歌う。
- 二奏、仰天恩之曲。皇穹が聖神を啓き、乾運を欽んで郊禋を祗み、一陽がはじめて動いて靄が春に先んじ、萬福が來り同じくして至神を仰ぎ、祥は日月に開け瑞は星辰に見れ、禮樂が神人に恊い、宇宙がみな新たなり、と歌う。
- 迎膳曲は水龍吟。春が雕盤に滿ちて玉桃を獻じ、葭管が動いて日輪が高く、熹微たる霽色が遙かに袞龍の袍に映え、千官が舞蹈し鈞韶が迭いに奏で、曲度が昇平を調える、と歌う。
- 進膳曲は水龍吟。紫禁の瓊筵は暖かく、冬に應じて八螭に驂し六龍に乘り、玉巵瓊斝を黼座の重瞳に獻じ、堯天が廣く運び舜雲が飛び動き、賡歌の頌を喜んで聴く、と歌う。
- 進湯曲。その一、太清歌。長至の日に黄道が開け、乾坤を喜び佳氣あり、陽が長じ隂が消え、鈞韶を奏し音は鳳軫に調い律は鸞簫に協い、龍顔を仰げば天日の表、舜のごとく堯のごとし。金爐の烟は煖かく御香が飄い、玉墀は晴れ霽れて祥光が繞り、宫梅苑柳が春を迎えて好く、蓬萊の島に燕樂する、と歌う。
- その二、上清歌。雲が宸居を捧げ、五星の光が三台に映えて麗しく、日月を仰げば層霄が霽れ、日月を仰げば層霄が霽れ、中興して重ねて唐・虞の際を見、太和の元氣がおのずと陽より囘り、兆姓が歡愉する、と歌う。
- その三、開天門。九重の霄に日月あり皇州の曉、天家に宴して共に魚藻を歌い、龍麟雉尾が高く、聖壽を祝して清朝を慶ぶ、と歌う。
- 黄童白叟鼓腹謳歌の承應曲、御鑾歌を奏する。雅奏が昇平を樂しみ、絳闕を瞻て瑤京に集い、黄童白叟の喜氣が盈ち、謳歌鼓舞して四海が寧く、金枝が秀を結び玉樹が英を含み、康衢の擊壌の聲を聴けば、帝力は名づけ難い、と歌う。
- 三奏、感昊徳之曲。帝徳が運んで光明、一陽が動いて萬物が生じ、中を升べ大いに報い、蒼璧を陳ね、禮を崇び樂を暢べて太清に歆ける。星は紫極に懸かり日は璇庭に麗しく、乾坤に瑞氣が盈ち、海宇は安寧、と歌う。
- 撫安四夷舞曲を奏する。その一、賀聖朝。華夷が一統して萬國が來り同じくし、方物を獻じ庭を修めて遠く貢し、皇風を慕い、南より北より西より東より天宫を望み、佳氣が鬱として重重、四靈がことごとく至る、麟・鳳・龜・龍、と歌う。
- その二、殿前歡。瑞雲晴靄が宫殿に浮かび、一脈の陽和が轉じ、禮が成って交泰し、周の宴を開き、鳳笙を調え龍幄を展べ、天心が感格して人は歡忭し、四海に謳歌が遍し、と歌う。
- その三、慶豐年。皇天に頼って豐年を錫わり、禹の稼に勤め舜の田に力め、三農の願いを喜び慰め、嘉禾が秀で瑞麥が鮮やかで、九州に賦し八埏に貢し、神倉御廩がみな充滿して、民を養い賢を養う、と歌う。
- その四、新水令。聖徳の精禋が昊穹に格り、大一統して四夷が來貢し、玉帛を捧げ文軌を同じくし、世は昌隆に際して、ともに輿人の頌を聴く、と歌う。
- その五、太平令。明禋を誕べて天鑒あり、元后の光が四表に及び、惠澤が周く流れて四夷が來り、前に趨り後に擁して萬寶を獻じ、庭に充ち囿に滿ち、稽首頓首して天高く地厚きを謝し、聖人に多男福壽を祝う、と歌う。
- 四奏、民樂生之曲。大報の禮がはじめて成り、乾徳に象り皇誠を運び、神州赤縣が永く清寧、靈雨和風のうちに太平を樂しみ、隂陽が交わり暢び、品物がみな亨り、元化がおのずと流行して、允に羣生を殖やす、と歌う。
- 迎膳曲は水龍吟。五色の祥雲が玉皇を捧げ、閶闔を開いて明光に坐し、鈞天の樂を奏し冬日の御筵を張り、文は恬く武は熈り、太平の氣象は人が唐・虞の上にあるかのようだ、と歌う。
- 進膳曲は水龍吟。玉律に陽が囘って景運が新しく、鎬京に燕して皇仁が藹り、光は雲漢に昭かで、一氣が韶韺に沸き、錦瑟が聲を和し瑤琴が韻を清くし、天顔を近く瞻仰する、と歌う。
- 進湯曲は太清歌。萬方の民が時雍を樂しみ、鼓舞して天を荷い、雷が行き風が動いて今この時に逢うを喜び、南蠻・北貊・東夷・西戎が大明宫に來朝貢し、星が羅なり斗が拱いて九重の天上に六飛の龍あり、五色の雲間に雙びの彩鳳あり、普天率土が華封を效し、允に河清の頌に協う、と歌う。
- 車書㑹同舞曲を奏する。その一、新水令。五雲が深く九重の城を護り、洪恩に感じて一人に慶びあり、陽がはじめて長じ禮がまさに行われ、帝徳が文明にして邦家を表率して正す、と歌う。
- その二、水仙子。萬方が堵に安んじ康寧を樂しみ、九域が仁を同じくして聖明を荷い、千年の運を撫して天命を承け、露は甘きを垂れ河は清を獻じ、雙岐の秀麥が莖を連ねるのを見、靈雪が冬に隨って應じ、祥雲が曙を拂って生ずるのを覩、神と化がならび運び同じく行く、と歌う。
- 五奏、感皇恩之曲。雙闕に五星の光あり、霓星樹に紫蓋が張られ、璇臺の玉厯が新しい陽に轉じ、鈞天の廣樂が宫商に諧い、恩は深く露は湛く、喜びが霞觴に溢れ、日月が龍章に煥き、地久しく天長し、と歌う。
- 表正萬邦舞曲を奏する。その一、慶太平。天が我が聖明を眷み、圜丘に禮して至徳が精誠、乾元が永く清く、洪く景命に膺り、休徴が應じて泰階が平らかなり、と歌う。
- その二、千秋歲。聖主が龍に乘って萬邦を御し、慶雲が翔け化日が重ねて光り、羣臣が拜舞して壽觴を稱げ、天保の章を載せ歌う、と歌う。
- その三、滾繡毬。五雲の車が九重を度り、飛龍を利見して袞章が耀き、火藻華蟲、虎敔を擊ち鳬鐘を考ち、鼉鼓が逢逢と鳴り、八珍が列び九鼎が豐隆、堯の眉は彩を揚げ舜は重瞳、萬國がみな熈り四海が雍いで、齊しく聖徳神功を歌い頌える、と歌う。
- その四、殿前歡。萬年の禮樂が中興する日、大化が重熙を覩、河は清く海は宴らかで祥瑞が臻り、五行が順い七政が齊しく、三を超え五を邁ぎ、貞元の會に既醉・鳬鷖を頌する、と歌う。
- その五、天下樂。萬靈が朝拱して清都に接し、南郊を享け、天を欽み祖に法り、聖人が乾を承け祜を納れんことを願い、中和位育して龜が範を獻じ馬が圖を陳ねる、と歌う。
- その六、醉太平。禮樂萬年の規、謳歌四海の熈、衣冠が九龍の墀に蹈舞し、麗しく正しく南離を仰ぎ、紫雲が高く唐・虞の帝を捧げ、衣を垂れて天下が文明、鎬に治まり岐に烏あり鳳が嘉瑞を呈し、まことに人が成周の世にあるかのようだ、と歌う。
- 六奏、慶豐年之曲。聖人が懋めて乾を承け萬國を綏んじ、屢しば豐年あり、神倉御廩に天田が登り、明粢鬱鬯をもって祀ること孔だ虔しく、輿情がみな豫び協氣が宣べられ、萬古の帝圖が傳わり、璧が合し珠が聯なる、と歌う。
- 七奏、集禎應之曲。天保は泰階平らかにして、寶露が降り渾河が清み、嘉禾が秀で麥が休禎を集め、遐陬絶域に喜氣が盈ち、一人に慶あって百度は惟れ貞しく、萬國が咸寧を頌え、麗正重明、と歌う。
- 八奏、永皇圖之曲。鎬に燕して天京に集い、魚藻を頌し鹿鳴を歌い、邉陲は堵に安んじ萬國は寧く、重譯して來庭し四海は清く、咸池に日が曙け昧谷に雲が征き、帝座が前星を仰ぎ、豫は大いに豐は亨る、と歌う。
- 九奏、樂太平之曲。皇極が永く祥に登り、乾符が泰を啓いて運は昌え、玉管が春を囘らせて一陽が動き、金鑾に燕を錫い九章を歌い、虞廷に獸が舞い岐山に鳳が翔け、日が袞龍の裳に麗しく、主は聖に臣は良し、と歌う。
- 迎膳曲は水龍吟。香霧が氤氳として紫閣は重なり、天徳を仰ぎ帝容を瞻、星は輝き海は潤い、甘雨が和風に間じり、樂しみは鴛魚に比し、瑞は麟鳳を呈し、永く卷阿の頌を獻ずる、と歌う。
- 進膳曲。その一、水龍吟。萬戸千門が建章を啓き、台階は峻しく帝座が張られ、三垣九道に北斗玉衡の光あり、元氣が調和して雅韻が鏗鏘、昭代の明良を慶ぶ、と歌う。
- その二、太清歌。萬方の國がことごとく來庭して稽首し、帝仁を歌い、生成を仰ぎ荷い、乾綱を振るえば隂陽が序に順い、民物が生を樂しみ、明聖に逢って萬年の春、永く休命に膺り、華夷蠻獠がみな正に歸し、蒼生は老いに至るまで兵を知らず、鼓腹含哺して太平に囿り、九有が清寧を享ける、と歌う。
- 天命有徳舞曲を奏する。その一、萬嵗樂。太平の天子が興隆する日、履はじめて長じ陽が囘って元吉、醴泉芝草の休徵が集まり、かつて五星が室に聚まると聞いた、と歌う。
- その二、賀聖朝。一人が元より良く百度が維れ新しく、赤符を握り元應を凝らして太清を享け、大禮がまさに行われ祀事は孔だ□(底本欠字)、天心に感じて億載恒に承應し、明主が徳を慎んで四夷がみな賓す、と歌う。
- 纓鞭得勝蠻夷隊舞の承應曲を奏する。その一、醉太平。星の華やぐ紫殿は高く、雲氣が彤樓を遶り、九夷が重譯して梯航して到り、皇圖の光が八表に及び、玉宇に塵なく明月が皎く、銀河がおのずと轉じて扶桑が曉け、平平蕩蕩として王道に歸し、百獸が舞い鳳が簫韶に鳴く、と歌う。
- その二、看花㑹。普天下がみな吾が皇の至聖に賴り、玉關にしきりに欵を看、天山はすでに定まり、四夷が順を效して王命に歸し、天保の歌が羣黎百姓に及ぶ、と歌う。
- その三、天下樂。九重に樂を奏して萬花が開き、龍樓を望めば雲が蒸し霧靄がかかり、天工を仰げば雍熙にして帝載あり、臣民が歡び戴いて仁恩が九垓に溥く遍し、と歌う。
- その四、清江引。黄鍾がすでに奏でられて陽和が長じ、徳が盛んで天心が貺り、人文は日月のごとく明るく、國勢と山河は壯んで、衢室の民謠がしきりに擊壌する、と歌う。
- 致詞曲を奏する。その一、清江引。鈞天が奏し畢わって日はまさに中、既に歡聲が動き、雲章が袞龍に傍い、颷の勢いに威鳳が翔け、萬方が安樂して嘉頌を興す、と歌う。
- その二、千秋嵗。上下が交歡して燕禮が成り、一陽が奮って萬彚がみな亨り、風雲が會合して明運を開き、紫極が璇衡に轉ずる、と歌う。
- 宴が畢わって百官行禮の曲は朝天子。文班武班の歡びが承明殿を動かし、禮が成り樂が備わって頌聲が喧しく、まことに咫尺に天顔を仰ぎ、日が龍筵を照らし風が雉扇を囘らせ、翠蕤が旋って仙鑾を奉じ、雲間斗間に五色の金章が燦めく、と歌う。
- 還宫の曲は萬嵗樂。天が北極を回らせ雲が瑞を成し、層層と重華を望めば日が麗しく、九垓八極が雍熈を樂しみ、聖壽萬萬歳を祝う、と歌う。
永樂間(1403年〜1424年)小宴樂章
- 一奏、本太初之曲。曲牌は朝天子。混沌として水土が成り、元氣が南北東西に分かれず、天と地がまだ辨かれず、萬象を包み涵んでその中に祕密は窮め難く、造化の機は隂陽を本體とし、これが太極となって両儀がこれによって立つ、と歌う。
- 二奏、仰太平之曲。曲牌は歸朝歡。太極が分かれて混然としてはじめて儀形が見え、清が浮かび濁が偃して乾坤が定まり、日月が齊しく興って青霄を昭らし萬象が明るく、陽は動き隂は靜まるべく、隂と陽がみな相應じ、二氣が流行して萬物がともに生ずる、と歌う。
- 三奏、明初生之曲。その一、沽美酒。乾坤は清く宇宙は寧く、六合は淨く四維は正しく、萬象はもと一氣より生じ、三才五行を定めて民と物とがともに羣を成す、と歌う。
- その二、太平令。一類となって人品を分かたず、ついに生食して庖烹を曉らず、寒暑を避けて巢に居り穴に遁れ、樹葉を披て相尋ね趂き、どうして親を愛することを知ろう。世情も治生も混然としていたが、おのおのその性に安んじていた、と歌う。
- 四奏、品物亨之曲。曲牌は醉太平。黎民が世間に生じ、萬物が塵寰に長じ、隂陽が交わり運び轉じて循環し、久遠にして時に庶は繁く、相傳わる氣候が應じて間なく、品物が交錯するのを誰が鑒みよう。望むらくは聖人が世に出て江山を整え、萬民に主として安きを得さしめんことを、と歌う。
- 五奏、御六龍之曲。その一、清江引。人心が久しく仰いで聖君を生じ、天が人をして聖を生ぜしめ、聖人が天機を受け、天を體して中正に居り、六龍を御して聖明が九重に登る、と歌う。
- その二、碧玉簫。君が神京に坐して海嶽がともに新たに從い、民は君恩を仰ぎ聖治に人倫あり、人品が分かれ萬物が増し、聖が乾を承けて百福が臻り、法を垂れて尊きを明らかにし、天命が興って後の朝もみな正に從う、と歌う。
- 六奏、泰階平之曲。曲牌は十二月。聖には言あり天は言なきも聖なり。聖人が臨み正して萬物が亨通し、恩威が盛んで社稷が安く、仁徳が盛んで江山が定まり、賢英を選び用いて王政を興し、善惡を分かって賞罰が均しく平らかで、三公九卿が左右の股肱となり、庶事が康寧である、と歌う。
- 七奏、君徳成之曲。その一、十二月。皇基がこれによって興り、聖帝が身を修め、天を奉じ道を體して聖徳がいよいよ明らかに、天地を敬い萬民に勤勞し、法度を立てて上下がみな寧し、と歌う。
- その二、堯民歌。風俗禮樂が彞倫を厚くし、ここに學校を興して儒經に進み、賢臣良將が朝廷を保ち、四野の人民が歡聲を頌える。用いるのは賢英、賢英が太平を定めて寰海がみな正に歸す、と歌う。
- 八奏、聖道行之曲。その一、金殿萬年歡。三綱がすでに定まり九疇が復び興り、聖道は天のごとく、嘉禾が齊しく秀で寒暑は和平、聖威に邊なく皇基は磐石よりも穩やかで、慶雲が生じ景星が長く現れ、三光が輝き耀いて百穀が收成し、萬姓が安寧である、と歌う。
- その二、得勝令。聖徳が皇乾に感じて甘露が山川に降り、萬邦が來朝して竒珍を貢ぎ、擺布はすべて玉階の下、鞭を鳴らして聖主を仰げば金殿に升り、丹墀に英賢を列ね、吾が皇と豐稔の年を讚える、と歌う。
- 九奏、樂清寧之曲。その一、普天樂。萬邦が寧く皇圖は正しく、父たる君と母たる后とを天下がみな欽み、君は外を治めて永く聖明、后は内を治めて長く安靜、後の聖も乾を承けてみな正に從い、徳が聖子神孫に相傳わり、天威は浩蕩、江山は永く固く、洪福は窮まりなし、と歌う。
- その二、沽美酒。和氣が生じて玉京に滿ち、祥烟が起こって皇宫に映え、明聖が基を開いて萬民を整え、風雲が帝庭に會し、簫韶を奏して九韻が成る、と歌う。
- その三、太平令。紫霧が金鑾に隱れ、彩鳳の祥光が罩め、良將賢臣が玉案に列び、珍羞美醖、寶鼎に龍涎を爇いて香が至尊に噴き、永く寧く儲嗣が成を守り、萬萬歳を賀して一人に慶あり、と歌う。
- 右のうち二奏から八奏まではいずれも百戲を奏して承應し、第九奏は魚躍于淵をもって承應する。奉天門で百官に宴するときは本太初・仰大明・民初生の三奏の曲だけを用いる(前掲の仰太平之曲・明初生之曲を指すか)。進酒・進膳の樂は同じで、ただ百官の叩頭の禮には朝天子の曲を用い、宴が畢わって導駕還宫には御鑾歌を用いる。
嘉靖間(1522年〜1566年)仁壽宫落成宴饗樂章
- 一奏、本太初之曲。曲牌は朝天子。帝皇の帝は明るく寶位の基は昌え、命により仙苑に筵を開いて鹿鳴を歌い、亭殿に天章が映え、我に嘉賓あり、瑟を鼓し笙を吹いて周行を示し、徳音を昭らかにし、日が升り月が恒にして萬載の皇圖が正しい、と歌う。
- 二奏、仰大明之曲。曲牌は殿前歡。天保定まって聖人に多壽多男の慶あり、禮樂を修め和して中興に協い、麗正重明、山のごとく阜のごとく岡のごとく陵のごとく川のごとくまさに至り、増さざるはなく、協氣が生じ禎祥が應じ、百神が命を受けて萬國が來庭する、と歌う。
- 三奏、民初生之曲。その一、沽美酒。黄河が清み寶露が凝り、瑞麥が呈れ靈鵲が鳴き、諸福が來り同じくして聖明を仰ぎ、萬寶が成るを告げるのを喜び、景緯を占えば泰階が平らかである、と歌う。
- その二、太平令。農桑は衣食の本であることを念い、君徳がひとり民生に厚いことを仰ぎ、耕鑿を事とし、羣黎百姓が鹿鳴を歌い、神も人もともに慶び、明主が嘉賓に宴して筐を承け瑟を鼓し笙を吹き、今より福が増して天が定める、と歌う。
- 四奏、品物亨之曲。曲牌は醉太平。瑤宫に聖顔を怡ばせ、閬苑は人寰を隔て、笙を吹き瑟を鼓して賓に旨酒あり、天が宴を開いて鹿鳴を歌い、黄金殿に舞い、吾が皇に賴って福を錫わり萬民が安く、醉うて天保を歌い歡ぶ、と歌う。
- 五奏、御六龍之曲。その一、清江引。聖主に道ありて昇平を樂しみ、宴會して休慶を延べ、本に務めて民生を珍しみ、宏化して天命に寧く、落成を欣び、萬載の鴻運を開く、と歌う。
- その二、碧玉簫。帝が農桑を重んじ、法駕が明光より起こり、麟が遊び鳳が翔け、宴に天保の章を陳ね、玳筵を開き瑤觴を薦め、既醉の頌が洋洋、聖徳は巍く皇恩は蕩く、世は唐・虞の上に際する、と歌う。
- 進膳曲。その一、水龍吟。寶瑟瑤笙の鼓吹が喧しく、聖天子が華筵に御し、南山の萬壽、瑞日がまさに中天にあり、百穀は豐年、八方の珍膳、人は昇平の宴を樂しむ、と歌う。
- その二、太清歌。祥麥嘉瓜の瑞が臻り、堯・舜の主を仰ぎ荷い、羣黎を愛育して天意に感じ、五風十雨、秋に報い春に祈ることが遍く、爾の徳をもって農桑を勸め、日用飲食に嘉賓と和樂して筵を開く地に紅雲が雕盤を捧げ、珍味に山呼萬歳、福は疆りなく、日は升り川は至る、と歌う。
- その三、上清歌。吾が皇に仰ぎ賴り、天に參じ地に兩び、和氣を凝らして三王を四たびし五帝を六たびし、國家は賢才を興すを上瑞とし、萬民を養って九域が熙り、百祿がみな宜しい、と歌う。
- その四、開天門。寶殿に龍虎が輝き風雲が會し、丹陛を瞻て紫微に覲え、周詩は既醉を歌い、螽斯麟趾が祥瑞を開き、飛龍が天位にあるのを仰ぐ、と歌う。
豳風亭宴講官樂章
- 一奏、本太初之曲。曲牌は朝天子。九重の詔が傳わり殿閣が秋の宴を開き、衣を授ける時節に霜天が肅く、禾稼が塲に登ること遍く、瑟を鼓し笙を吹いて昇平を重ねて見、工が七月の篇を歌い、春酒を筵に當たって獻じ、吾が皇が萬年、歳歳に西苑に臨まんことを願う、と歌う。
- 二奏、仰大明之曲。曲牌は殿前歡。鳳苑に御筵が開かれ、黄花が玉階に映え、鹿鳴・天保を歌い、三代の古調を新たに裁ち、君王の萬壽の盃を奉じ、日月は明るく乾坤は大きく、年年の秋報の賽を看、太平に象あり、元首は明らかなるかな、と歌う。
- 三奏、民初生之曲。その一、沽美酒。熈春の陽に化日は長く、懿筐を執って柔桑を采り、繭を拾い絲を繰れば萬箱あり、紅黄に染めて孔だ陽やかに、公子のために衣裳を製る、と歌う。
- その二、太平令。樹藝に勤めて歳年は穰に足り、九月十月に禾黍が場に登り、春秋のために甕に新釀を浮かべ、村田樂を齊しく歌い齊しく唱え、公堂に饗して羊を殺し觴を舉げ、繼いで兕觥を進め、聖壽を祝えば萬靈が扶け相ける、と歌う。
- 四奏、品物亨之曲。曲牌は醉太平。嘉禾を納れて場に滿ち、御酒を釀して缸に盈ち、公桑三たび績んで元黄を製し、龍衣袞裳を服し、螽斯・蟋蟀の清唱に諧い、水光山色が仙仗に明るく、豳風亭殿に霞觴を進めて聖壽の疆りなきを祝う、と歌う。
- 五奏、御六龍之曲。その一、清江引。九月の風光はどこにあるか、鳳苑は龍池の右にあり、農夫の稼はすでに登り、公子の衣はまさに授けられ、萬歳の君王がしきりに酒を進める、と歌う。
- その二、碧玉簫。およそ我が生民は農桑が最も苦辛、終歳經營して氣候は冬春に變ずる。田畯は欣び婦子は勤しみ、豳詩を詠じて化鈞を仰ぎ、場圃は新たに風雨が順い、御墀に宴して龍顔が近い、と歌う。
- 進膳曲。その一、水龍吟。老を養い農を休めて御筵を敞き、春酒を瀉いで耆年を介け、羊を刲き韭を剪り、社鼓がまさに闐闐と鳴り、香粳の米顆、堂に升って拜獻し、この樂しみはまことに羨むに堪える、と歌う。
- その二、太清歌。九月に天が西苑を開き、宸居は無逸殿、講幄に筵を張って儒流を集め、雲が蒸し星が炫き、璧緯珠躔、御製を覩れば天章が煥き、雲漢に昭り囘り、堯天舜日に民は安んじ宴し、御廩神倉に百穀が登り、金は輝き玉は燦めき、休徵が見れて大有の豐年、と歌う。
- その三、上清歌。鳳苑の宸居、公桑帝耤が今まさに舉げられ、躬ら耕し蠶を勸め、士女が羊羔を獻じ、堂に升って樂を奏し舞い、葵・菽・棗・壺の上に珍厨あり、萬壽を山呼する、と歌う。
- その四、開天門。豳風亭にともに吾が皇の聖なるを仰ぎ、百穀が登って萬國が咸寧、民は康く物は阜かで禎祥が應じ、乾運を仰ぎ坤靈を俯す、と歌う。
隆慶三年(1569年)大閲禮成囘鑾樂章
- 武成之曲。吾が皇が閲武して成り、戎旅を簡べて帝京を壯んにし、龍旗が照り耀き虎豹の營あり、六師が甲胄を擁して明威が靈あり、廣く蠻夷に播って震え驚き、稽首拜して昇平を頌え、四海が澄み清む、と歌う。
嘉靖間(1522年〜1566年)皇后親蠶宴内外命婦樂章
- 陞坐には天香鳳韶之曲を奏する。春雲が繚繞して芳郊が曙け、乾坤萬象がみな舒びるのを喜び、蘭皋蕙圃に仙馭を迎え、桑條を采り荗樹に攀り、蠶宫繭館に親臨し、璧月珠星が太虚を照らし、筵を開いてなお翠旓旟を駐め、萬載に貞譽を垂れる、と歌う。
- 進膳曲は沽美酒。蠶禮が成って鳳輦が停まり、霞觴を薦め雲屏を列ね、宫妃世婦が坤寧を仰ぎ、祥雲が紫㝠に映え、ともに前星の耀くのを頌える、と歌う。
- 囘宫には御鑾歌。天が聖皇を啓き、君は耤に耕し后は躬ら桑し、身をもって田織に先んじ、萬邦を率い、天は清く地は寧く、民は阜かに康く、百穀が用いて成り、四夷が來王し、治化が虞・唐に登り、世に禎祥を發する、と歌う。
永樂間(1403年〜1424年)定東宫饗樂章
- 一奏、喜千春之曲。曲牌は賀聖朝。國を開き天を承けて聖なる感應きわめて多く、封疆を一統して闊く、百姓は快活、萬物は榮光、ともに恩波に沐し、仙音が韻を合わせて昇平を讚え、詠歌して齊しく朝拜し、千千歳、東宫が滿國の春和を得んことを、と歌う。
- 二奏、永南山之曲。曲牌は水仙子。洪基は永く固く海波は清く、盛世明時に禮樂が興り、華夷を一統して江山は靜かに、民は通じ和して太平を樂しむ。東宫の仁孝賢明を讚え、鈞衡を秉って端正、乾坤に順って泰亨、中華に坐して萬世昌寧、と歌う。
- 三奏、桂枝香之曲。曲牌は蟾宫曲。曉光が融け春宫に晏饗し、日は朗らかに風は和し、嘉氣は蔥蔥、台樞を鎮領し、綱憲を規宏し、禮節は至公、聖上に事えて聲を柔らげ容を婉やかにし、安寧を問い、勤孝虔恭、果斷にして寛洪、剛健にして文明、聖徳が合い同じくする、と歌う。
- 四奏、初春曉之曲。曲牌は小梁州。端拱嚴宸、紫微に事え、璇璣を運び秉り、四時百物すべて相い宜しい。明君の徳の大きさに仰ぎ賴り、大業は磐石に勝る。皇儲は仁孝、忠義に明るく、遐方が順化して朝儀に美しい。孝はよく歡ばせ、慈愛の心は敬篤、上を尊び卑を意う。禮は上に和し下に睦み、民は鼓舞して雍熈を樂しむ、と歌う。
- 五奏、乾坤泰之曲。曲牌は滿庭芳。春和の玳筵、邦を安んじ國を興し、聖を欽み賢を尊び、文英武烈、民に便あり、禮樂は成全して大業を享け、中庸は偏らず、天常に順い節儉を先とし、文獻に達して儀を嚴かにし、典を訓じ、孝敬は億千年、と歌う。
- 六奏、昌運頌之曲。曲牌は喜秋風。文武は安く軍民は宴を樂しみ、文華に會して班僚が列び、五雲が齊しく動いて鈞天の樂あり、春宫を賀し皇朝を讃える、と歌う。
- 右のうち二奏から六奏まではいずれも百戲を奏して承應する。
- 七奏、泰道開之曲。曲牌は沽美酒。春風を布いて畫樓に滿ち、嘉景に對して鳳凰洲、金波碧玉の甌を高く捧げ、威儀を設けて左右に分かち、品して公侯を列ねる、と歌う。
- その二、太平令。聖上に效して誠心勤厚、宗器を主って嚴かに偹え、春秋に律呂を諧え、仙音が齊しく奏で、王政を欽み、皇天が保佑し、拜舞頓首して讚え祝い、酒を進めて千千歳、康寧福壽を願う、と歌う。
- 迎膳曲は水龍吟。壽をまさに饗け、笙□(底本欠字)の鼓樂が喧しく、寶器を排べ、門を開いて玳筵、鑾儀旌節、錦繡の景が相い連なり、簪纓が趨り進んでみな來朝見し、春が文華殿に滿ちる、と歌う。
- 陞座・還宮・百官行禮には千秋歲の曲を奏する。堯年舜日は禹・周に勝り、慶雲が生じて鳳樓を繚繞し、風調雨順して五穀が収まり、萬民が暢びて歌い謳う、と歌う。朔望の朝參も同じ。