明史卷六十二 志第三十八 樂二

樂章一

  • この巻は明代の祭祀楽章を集めた「樂章一」で、郊祀・社稷・天神地祇・宗廟・歴代帝王・先師・先農・先蠶の各楽章を年次順に列ねる。以下、各祭の曲名と、その詞が述べるところの要旨を記す。

洪武元年(1368年)圜丘樂章

  • 迎神・中和之曲――蒼く広い天が万物を覆い、国の南に丘を建てて衆神を迎える。蟻のように小さな身の誠が通じることを期し、金玉の姿で龍鸞を駆り雲風を秉って南郊に降りる神を、至尊のものとして仰ぎ望む。
  • 奠玉帛・肅和之曲――聖霊の威光を敬い仰ぎ、玉帛を筐に載せて奉る。神の妙は測り難く、この礼祭を謹んで行えば功が現れる。
  • 進俎・凝和之曲――祀の儀を敬んで陳べる。供え物は大きさを誇るものではなく、純色の子牛をあえて用いて天地に告げる。乏しい供物で行き届かぬことを恐れるが、神よ受け入れて享け、御覧じてほしい。
  • 初獻・夀和之曲――取るに足らぬ身で九重の帝聡を煩わせるのは恐れ多いが、帝の心が憐れんで感応し、几筵に臨めば神々が付き従う。愚かな臣も鼓舞して喜び、子孫が祖宗に親しむ思いで、鍾に注いだ酒を献じ、至徳と元功を仰ぐ。
  • 亞獻・豫和之曲――天の寵を蒙って紫壇に駕が留まる。心は喜びに満ち、臣も庶民もひとしく歓び、走り仕えて奉る。二度目の献酒を御前に供え、燕やかに安んじてほしい。
  • 終獻・熙和之曲――小さき身はただ天を父と恃み、天の慈しみを頼む。内外の心をこめて何を奉ろうか。芳しい斉と清らかな粢を供え、喜びに手を打って神の宴を奉る。礼は三献で止まるが、思いは遥かに長く続く。
  • 徹饌・雍和之曲――調え備えた供物を献じ終え、神は位にあって歆け、祐けを垂れた。群臣が走り働いて俎豆を撤する。供物が足りなかったとしても、どうか神の宥しを願う。
  • 送神・安和之曲――去りゆく神を引き留めがたい。遠く翻る袂を思い、万霊が前後に従って神駕を護り旋回する。稽首して天を仰げば、雲の衢は遥かに霞んで見えない。
  • 望燎・時和之曲――壇上で燎を焚くと燦爛と輝く。幣帛と牲と黍が帝の都に届くことを願い、陽に神を奉じ、粛然と望めば天宇が光り明るむ。

洪武八年(1375年)御製圜丘樂章

  • 迎神――昊天を仰ぎ、百官を率いて迎える。壇の中に降臨したまい、上下の護衛が影のように従い、旌幢が四方を繞る。聖心が悦べば民は豊年を得る。
  • 奠玉帛――民は時に依って働き、帝の徳に感じて大化が功を成す。臣は筐を捧げて奠り、わずかな誠を納めてほしいと願う。
  • 進俎――庖人が鼎を列ね、殽羞を調え、方俎を重ねて献ずる。どうか歆けて享けてほしい。
  • 初獻――聖霊は輝かしく、金林は穆やかに厳か。臣は楽舞を大いに張り、酒を初献して觴を捧げる。
  • 亞獻――酒を斟んで奉り、百辟が陪祀して居並ぶ。聖情に感じて尽きることなく、拝手稽首して享けられんことを願う。
  • 終獻――三献に楽舞が高まり、殽羞を献じ尽くして気は芳しく、光は上方に朗らかで、日も時もよい。
  • 徹饌――粗末な供物を陳べたが神は喜び受けた。聖心を惑わすことなく、どうして民を忘れよう。福を留めて佳気を良くし、臣は拝手して恩光に謝す。
  • 送神――旌幢が煌めき雲の衢は長く、龍車鳳輦が飛び揚がる。遥かに冉々と上方へ去るのを望み、民が永く康からんことを願う。
  • 望燎――供物を並べて燎の場へ詣で、炬の焔が煌々と発つ。神は変化して物は上に全うされ、無量の恩に感じ入る。

洪武二年(1369年)方丘樂章

  • 迎神・中和之曲――坤の徳は博く厚く、万物はこれに資って生ずる。天の時を承けて行い、光り大きく寧らかである。穆やかな皇祇の功によって順に化が成る。方丘に御しに来られるのを、厳かに恭しく奉迎する。
  • 奠玉帛・肅和之曲――地に四維あるゆえ大琮は方形とし、土に正色あるゆえ幣は黄に作る。敬いを中に存し、これを薦め奉り、几筵に奠れば臨鑒は洋々たり。
  • 進爼・凝和之曲――純色の牡、まだ角の生えぬ子牛を奉じ、烹飪を厳かにして俎に載せる。壇に升って昭らかに薦めれば神光が下に照らし、邦家を眷み祐け、報効は篤い。
  • 初獻・夀和之曲――午は盛陽、陰徳が初めて萌す時。天地が相遇って品物は光り栄える。吉日良辰に明祀を行い、醇醴を進めてその潔清を展べる。
  • 亞獻・豫和之曲――至って広く際限なく、道は全く持ち載せる。山嶽はこれに憑り、海瀆はこれに頼る。民は水土に資って安く泰らかである。酒を酌んで虔しみを掲げ、功徳の大なるを称える。
  • 終獻・熙和之曲――取るに足らぬ資質でこの疆宇を有するのは臣の能ではなく、祐助を仰ぎ承けるからである。恩は父母より崇く、臣は歓んで鼓舞し、八音を宣べ揚げ、重ねて明らかな醑を侑める。
  • 徹饌・雍和之曲――牲牷は俎にあり、籩豆には実が満ちる。神が臨めば肸蠁として響き、ただの飲食ではない。登歌のうちに撤し、薦献はここに畢わる。執事は奉り承けて、ひとえに厳粛である。
  • 送神・安和之曲――神の化は方所なく妙用は測り難い。その功は顕らかに融け、その視は悠く長い。飈輪が旋り龍が控え鳳が翔る。拝送して稽首し、余光を仰ぎ礼する。
  • 望瘞・時和之曲――牲と醴と幣、餕饌は馨しい。坎に瘞めて坤霊に達せしめ、陰に神を奉じるのが典礼の則である。爪立って望めば、厚い壌は広く平らかである。

洪武八年御製方丘樂章

  • 迎神――皇祇を仰げば川嶽が従って迎え、諸霊がみな備わり開く。香煙が繞って神が御街に臨み、次第に壇に升る。穆やかな瑞気が楼台に結ぶ。わずかな誠で職を率い、聖の悦びと心の諧うことを望む。ただ臣の固い願いを許し、民を永く懐んでほしい。
  • 奠玉帛――臣が筐を奉じて玉帛を進め、歳ごとの常として奠る。百辟が陪祀して珮の音が琅々と鳴る。南薫が愠りを解き、燎の炎が煌々と映える。
  • 進爼――庖人が湯を浄め、大いに牲を烹れば気は靄となって芳しい。わずかな誠で献じ、享けよ康からしめよと申し上げる。
  • 初獻――初献を行って觴を捧げる。聖霊は穆やかに洋々たり。民が永く康からんため、豊年を鑒みて耿しい光を垂れよ。
  • 亞獻――殽羞をとりどりに並べ、前王の典章に法る。臣は誠の心を展べ、醴を酙んで觴を載せる。
  • 終獻――三度目の爵を献じて終わろうとするが、臣の心は眷恋して尽きない。殽羞も礼も備わらぬことを恐れる。何をもって神の功に報いようか。
  • 徹饌――俎豆を撤すれば神は熙びやかで、鸞輿が駕して旋り帰る。百神が翼々として雲の衣をまとう。敬んで行い、あえて違わない。
  • 送神――祥風が悠々と興り、雲の衢が開けて民の福が留まる。歳ごとに民を楽しませて大いに実らせよ。洋々たるさまを想い、觴を挙げ酒を載せる。
  • 望瘞――殽羞と玉帛を瘞坎の中に納め、遥かに隠々と龍旗が従うのを望む。祀事が成って微衷を尽くし、厚い徳に感じて民の福は雍々たり。

洪武十二年(1379年)合祀天地樂章

  • 迎神・中和之曲――天地の蒙りを荷って華夷に君主たり、欽み承けて踊躍し、筵を備えて祭る。誠に惶れて已まず、わずかな胸中を仰ぎ瞻て俯し、来臨を願う。龍が翔け鳳が舞い慶雲が飛ぶさまを想い、必ずや昭々穆々として壇壝に降りたまえ。
  • 奠玉帛・肅和之曲――天は風露を垂れ雨沢を霑し、黄壌は氤氳として気化が全うされる。民は畎畝に勤め、束帛は鮮やかである。臣は宴を設けて御前に奉る。
  • 進爼以下はすべて洪武八年の圜丘の詞と同じ。

嘉靖九年(1530年)復定分祀圜丘樂章

  • 迎神・中和之曲――元造を仰ぎ、皇々たる昊穹に、陽の兆す時に当たって大礼を欽み崇める。臣は蒲柳のごとく蟻のごとき身ながら、眷命を承けて群工を統べる職にある。愚昧を深く懐き、洪徳に負くことを恐れ、旧典に遵って微衷を竭くす。遥かに天闕を望めば宝輦が壇に臨む。臣は稽首して恩隆を敬んで迎え、百辟は列を成して前に舞い拝し、万神は西から東へ翊衛する。臣は俯伏して迎え、帝の御を敬んで瞻る。どうか歆鑒を垂れたまえ、徳に拝すること限りない。
  • 奠玉帛・肅和之曲――龍輿がすでに降り、礼を奉ずるのが先である。束帛と瑤瑄を臣が謹んで帝の前に献ずる。聴き納れられんことを仰ぎ祈り、蒼乾の恵みを荷う。
  • 進爼・凝和之曲――殽羞と珍饌を上元に薦める。庖人が鼎を列ねて精虔を致す。臣は馨しい醴と牷を敬んで献ずる。どうか歆享を垂れ、民の福を淵く深くしたまえ。
  • 初獻・夀和之曲――礼は厳かに初献に及び、觴を奉じて聖皇に進める。聖皇が穆やかに享けたまえば、臣は拝手して、どうしてこれを忘れようか。
  • 亞獻・豫和之曲――礼觴を再び挙げて玉漿を薦める。帝の顔が歆び悦べば民の福は昂まる。民の生は頼るところがあり、上蒼に感じ入る。臣はただ鞠み拝して長く恩を荷う。
  • 終獻・熙和之曲――三献して礼は成り、ひとすじの微衷から誠を露わにする。楽舞を大いに張れば声は鍠々と鋐り響く。聖容を仰ぎ瞻れば、俯して恩を深く賜る。
  • 徹饌・雍和之曲――祀礼は竣わり、精意をもって禋る。三献が備わって誠はすでに申べられた。敬んで遅れず撤し、粛やかに恭み慎む。備わらぬところが多いのを恐れ、ひとえに洪き神を頼む。
  • 送神・清和之曲――禋祀が終わって百辟が居並ぶ。帝が歆鑒を垂れれば沢に浴すること汪洋たり。龍車が冉々と、宝駕が雲を旋る。霊風が鼓舞し、瑞露は清らかに瀼ぐ。洪恩は浩蕩として酬いようがない。初めに粗末な供物を陳べたのに、すでに歆嘗を感じた。香気は騰り芳って上は帝座に徹する。聖なる造化を仰ぎ瞻れば、群方に賜が及ぶ。臣は率土とともに歓び感じ、宝輦を敬んで送り返せば、鳳が嘯き龍が翔る。誠に惶れ誠に恐れ、仰ぎ慕う思いはいよいよ切である。どうか民に福を生じ、永く亨昌を賜れ。
  • 望燎・時和之曲――龍駕と宝輦が帝郷に升る。御羞と菲しい帛を燎の場に奉ずれば、環珮が鏗鏘と鳴って壇壝に連なる。炬の焔がひときわ挙がって気は輝き煌めく。民は福を蒙り、聖沢に霑う。臣は眷佑を荷って拝し、恩光に謝す。

嘉靖九年復定方丘樂章

  • 迎神・中和之曲――俯し瞻れば鳳輦が来り、霊風が九垓を払う。川嶽が前後に従い、百辟が陪して列を成す。臣は首を拝して迎え、享に臨まれることを願う。
  • 奠玉帛・廣和之曲――祀礼は厳かで虔しみを奉ずる。玉帛は笥にあって御前に来る。皇霊が享けて納れたまえば、烝民も率土も豊年を楽しむ。
  • 進俎・咸和之曲――殽羞は馨しく気は芳しい。庖人が役を奉じて湯を和える。皇祇に進めて歆め慰めんとし、臣は稽首して敬んで奉る。
  • 初獻・夀和之曲――酒を初献して楽舞を張る。斉と醴は明らかに潔く馨しい。どうか享けて歆けたまえ。生民は安く永く康からんことを。
  • 亞獻・安和之曲――重ねて献じて觴を奉る。神の顔は和やかに懿しく味わう。厚く載せる功は隆く、天に配される。民は徳に感ずること無量である。
  • 終獻・時和之曲――三たび進めて玉露は清く、百職が奔り繞って珮環が鳴る。鳬鍾と露鼓が錚鍧と韻を成す。どうか群生に福を留めたまえ。
  • 徹饌・貞和之曲――礼は終わりを告げ、撤するのにどうして違おうか。ひとすじの誠意を深く思うが、それはささやかである。神が広く容れて聴き納れることを、備わらぬのを恐れつつ、ただ慈しみに依る。
  • 送神・寧和之曲――礼が成って誠はすでに伸べられた。駕は還り、法従が列を陳ねる。霊祇が列んで随い、百辟が拝して恭み慎む。坤宮を望んで辞を奉り、烝民にあまねく福あれと願う。
  • 望燎の曲は寧和と同じ。

洪武三年(1370年)朝日樂章(二十一年に罷める)

  • 迎神・熙和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。純陽の精はこの大明である。その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。
  • 奠幣・保和之曲――霊旗が到り、その威は赫々たり。ひとすじの念が潜かに通じ、幽と明は違わない。篚に幣があるが物は簿くわずかである。神よ、しばし留まって享けたまえ。
  • 初獻・安和之曲――神が我がために留まれば、薦めるものは必ず受けられる。享祀の初めに醴酒を奠る。晨光が升り始め、祥のしるしが時に応ずる。何をもって觴を侑めようか、楽を陳べて雅やかに奏す。
  • 亞獻・中和之曲――我らの祀とは何か。犠牲を奉じ、醴斉を酌んで二度目の觴を升らせる。洋々として在すがごとく、燕やかに安んじる。わずかな誠を表して神明と交わらんことを。
  • 終獻・肅和之曲――執事は厳かに、品物を供えて祭る。黍稷が馨しいのではなく、その意を奉るのである。この酒醴を薦めて常の祀を成す。神よ顧みて歆けたまえ、久しく楽しからんことを。
  • 徹饌・凝和之曲――春に祈り秋に報いるのは、みな我らの民のためである。民の生は爾の神に頼る。神がこれを祐ければ康寧が至る。祭祀が畢わって神は楽しみ忻ぶ。
  • 送神・壽和之曲――三献の礼が終わり、九成の楽が奏される。神と人は和し、燕やかに楽しむ。雲車と風馭に霊光が昭らかに灼く。望み見て思えば、彼方は遥かに寥廓である。
  • 望燎・豫和之曲――俎豆はすでに撤し、礼楽は終わった。神が旋ればたちまち何に従おうか。望んで燎き、感通を期す。時が和し歳が豊かなのは、ひとえに神の功である。

嘉定九年復定朝日樂章(嘉靖九年の誤りか)

  • 迎神・熙和之曲――大明を仰ぎ瞻れば、王宮に位して尊い。仲春に当たって気は融ける。祀典に遵って功に報い、わずかな真心で神の照鑒を祈る。来り享けて神聡を迎えたまえ。
  • 奠玉帛・凝和之曲――神が壇に臨めば粛やかに恭しい。筐に帛があり赤い琮を添える。神に奉じて享を祈り、我が身に納れて忻び仰ぐ。
  • 初獻・夀和之曲――玉帛を奠り終えて神が歆け、酒を初献して舞が呈される。斉は芳しく牲は騂色。神の容が悦べば、我が情を鑒みたまえ。
  • 亞獻・時和之曲――二度目の斉を升らせれば気は芬芳。神の顔は怡やかに和して喜び受ける。楽舞をことごとく張らせる。どうか普く照らして民を康からしめたまえ。
  • 終獻・保和之曲――懇ろに三献して成るを告げる。群職は列に周く満ちる。神が休みを錫えれば民生に福がある。万世永く頼るのは神功の明らかなるゆえ。
  • 徹饌・安和之曲――ひとすじの誠を尽くして我が心は懌ぶ。五福が降って民は禧を得る。九光を仰いで誠はすでに申べられた。三献を終えたので撤するのに遅れはしない。
  • 送神・昭和之曲――祀礼はすでに周く、楽舞は揚がる。神は享けて納れ、青の郷へ還る。我は首を拝して奉り送る。願わくは恩光が万方に普く及び、永く熹明を曜かせ、烝民がみな仰いで恩光に浴さんことを。
  • 望燎之曲――六龍が駕を御するのを覩る。神は変化して鳳が翥り鸞が翔る。束帛と殽羞を燎の場に詣らせる。我が皇明の基業を祐けて隆く長からしめたまえ。

洪武三年夕月樂章(周天星辰を附す。二十一年に罷める)

  • 迎神・凝和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。太陰の夜の明るさ、および星辰、その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。
  • 割注――洪武四年に星辰を別に祀ることとしたので、「以及星辰」の句を「惟徳孔神」と改めた。

嘉靖九年復定夕月樂章

  • 迎神・凝和之曲――陰は陽と配合してこれを宗とする。古典に循って斎み恭しくする。太陰が格り来て星辰が羅なり従うのを覩て、我は首を拝して神容を迎える。
  • 初獻・夀和之曲――神が来て止まれば、その誠は厳かである。玉帛は筐にあり、清らかな酤は満ちる。奉じて奠り、わずかな情を鑒みられんことを願う。そもそも祀るとは何か、群氓のために祐けを祈るのである。
  • 亞獻・豫和之曲――二度目の觴を斟み、楽舞は雍々たり。神は歆けかつ楽しみ、百職はひたすら供える。願わくは五行が順に帰し、民の福を祈れば神は必ず従いたまえ。
  • 終獻・康和之曲――ひとすじの誠はすでに申べ、三たび金の觥を挙げる。鐘鼓は鍧々と、環珮は琤々と鳴る。我が情を鑒みて、永く我が民生を保ちたまえ。
  • 徹饌・安和之曲――礼楽は粛やかに備わり、精意をもって申べる。坎に位して歆け、この藻蘋を納れたまえ。撤するのに遅れず、儀典を粛やかに陳べる。神よこれを鑒み、我が生民を祐けたまえ。
  • 送神・保和之曲――礼が備わり終わりを告げれば神は喜んで旋る。穹碧は澄んで輝き、素華は鮮やかである。星辰が従って神郷に返り、露気は清く、霓裳が蹁躚と翻る。
  • 望瘞之曲――殽羞と束帛を瘞に薦め、あえて過ちのないようにする。我は首を拝して奉り送り、永く貺を垂れて民が豊年を楽しむことを願う。

嘉靖十年(1531年)定祈榖樂章

  • 迎神・中和之曲――臣は思う、穹昊こそ民と物の初めであると。民のために命を請い、祀礼を昭らかに備え、筵を設けて職を率い、大いなる庇護を祈る。臣はささやかな身で懇ろな誠を述べる。遥かに駕の降るのを望めば晴れやかな色が輝く。歓迎の鼓を鳴らして龍輿を迎える。臣は才の乏しきを愧じつつ民の上に立つ。この民に福あらしめよ、聖恩は深く大きい。
  • 奠玉帛・肅和之曲――烝民は職に勤めて農事に専らであり、蚕の仕事も慎んで桑の畦を固める。玉帛を敬んで奉り、豆と籩を添える。大いなる化を仰ぎ祈り、豊年を賜らんことを。
  • 進爼・咸和之曲――鼎で烹れば気は馨しく、羞は旨い醽の酒。帝が享けて歆けたまえば、烝民は福を蒙って安んじる。
  • 初獻・夀和之曲――礼は厳かに初献が行われ、百職は趨り走って珮が琤と鳴る。臣が謹んで玉の觥を進めれば、帝の心が歆み鑒みて歳は豊かに亨る。
  • 亞獻・景和之曲――二度目の觴を挙げて虔しみを致す。清らかな醴を斟んで御前に奉る。音容を仰げば忻やかに穆やか。臣は聖恩に感じて実に拳々たり。
  • 終獻・永和之曲――三献してひとすじの微かな誠を捧げる。禋礼が成るを告げれば帝の鑒みるところに依る。烝民は徳に浴して歳ごとに豊かな祥を得る。臣は首を拝して誠を竭くして祈る。
  • 徹饌・凝和之曲――三献が周って儀を粛やかにし、俎豆を敬んで撤するのにあえて遅れない。願わくは福を留めて大いならしめ、雨と晴れが時に順わんことを。
  • 送神・清和之曲――祀礼が備わるのを告げれば帝の鑒は彰らかである。臣の情は上に達して昊蒼に感ずる。雲の道を粛やかに駕して帝郷へ返る。臣は恩眷を荷って忘れようか。祥風と瑞靄が壇壝に満ち、烝民も率土もことごとく豊かで康らかとなる。
  • 望燎・太和之曲――遥かに天の衢の長きを覩る。彼方の寥廓は上方へ去る。束帛を火に薦めて誠が聞こえ升り、悃愊が通じて沢は長く沛ぐ。楽は九奏に終わって神と人は和し、臣も率土もみな恩光を荷う。

嘉靖十七年(1538年)定大饗樂章

  • 迎神・中和之曲――穆やかに清らかな皇天よ、広く覆うのはひとえに神である。すでに万宝を成して烝民を恵む。その明らかな恵みを受けながら報いる術がない。そこで古昔に稽えて明らかな禋を展べる。粛々たる広庭、遥々たる紫旻。笙と鏞が奏し始めれば祥風が雲を導く。臣は拝して稽首し、心の中はまことに懇ろである。宝輦を仰ぎ瞻れば万神が森として羅なる。どうか昭かに格り、眷命を重ねて申べ、徘徊し顧みて歆け、我が恭み慎みを鑒みたまえ。
  • 奠玉帛・肅和之曲――珪と幣を瑤の堂に捧げ、穆やかに聖皇を愉ばせる。我が心を純一に秉って帝の徳の溥く行き渡るのを荷う。
  • 進爼・凝和之曲――歳の実りは豊かで庶類が成る。黍稷は香ばしく、鼎は馨しく潤う。敬んで薦めるが軽からぬことを慚じる。大礼は尋常ならず、ひとえに誠あるのみ。
  • 初獻・夀和之曲――金風が動き玉宇は澄む。初献の觴を聖霊と交わす。元造を瞻て大いなる禎を懐い、何をもって酬いようかと心は怦々と高鳴る。
  • 亞獻・豫和之曲――帝が我を眷みて歆け留まる。五音が紛々と会する。再び觴を捧げても臣の心は尽きない。帝が欣び懌べば生民のことは任せられる。
  • 終獻・熙和之曲――万邦を綏んじてしばしば豊年を得る。ささやかな我が身が実に昊天の恵みを荷う。酒を三たび献じて心はいよいよ虔しい。帝の命に輿を並べ、急いで旋らずにいてほしい。
  • 徹饌・雍和之曲――祀礼は洽く行われ、神と人は粛やかに雍やかである。帝を享り親を享って臣の衷を竭くす。洪恩は極まりなく、聖容は儼として連なり蜷る。
  • 送神・清和之曲――九韶が成って金玉は鏗鏘と鳴る。百辟が森と立ち、戚と羽は収められる。皇天は上に在し、昭考は傍らに在す。父を厳んで天に配し、敬んでその常を修める。殷んな薦めが終われば神は方所なく去る。元い雲が上り、鸞と鵠が参じ翔る。霊光が回り照らして郁として芬芳たり。慕い瞻て亨昌を賜らんことを願う。子孫も庶民も、ひとえに帝を奉ずる。明徳を襟に昭らかにして永く忘れない。
  • 望燎・時和之曲――龍輿は杳々として上方に帰る。金風が律に応じて燎が揚がる。精誠が達して霊光と合し、帝の廷は玉帛の献を納れる。下土を顧みて眷みを忘れず、我が民に長く豊かで康らかであることを賜らんことを。

嘉靖十八年(1539年)興都大饗樂章

  • 迎神・中和之曲――高く上に在す皇穹を仰ぐ。九囲を冒って遍く覆い、西も東も止まるところがない。王者が出て王のように巡り遊ぶときも必ず天を奉じて顧みる。愚かな臣のこの行いも、まことに庇護を荷うものである。
  • 初獻・夀和之曲――帝の庥みが昭らかで、臣は恩に感ずること淵々たり。旧藩の地を巡省するのは、実に天を承けて止まるところである。下情は報いを思い、この心は拳々たり。瓊の巵と蒼い幣を捧げて壇前に扣く。
  • 亞獻・敷和之曲――楽は三たび奏し、觴は再び呈される。帝が微かなものまで鑒みて誠と言われるならば、小臣は頓首して、どうしてこの精誠を厳かにせずにいられようか。
  • 終獻・承和之曲――臣がこの土に来たのは本より親を思うゆえ。親を思うとは何か、その嗣人を昌んにすることである。嗣人がよく昌んなのは、帝が汝に臨まれるからにほかならない。
  • 徹饌・永和之曲――粛やかに具え、祀礼を行い、儀を備えて楽舞を張る。進退を省みれば臣は疎かで狂おしい。含み育む仁に浴して、どう量ろうか。
  • 送神・感和之曲――王の狩には禋を望む典がある。柴を焚いて祀るのは、まず上蒼を重んずるゆえ。臣の情は尽くしがたく、夙夜に惶々としている。神に愚かな誠を捧げ、まことに恩光に頼る。遥かに六龍が騰り翔るのを瞻る。帝が祉を垂れて万世永く昌えんことを。

嘉靖十一年(1532年)定雩祀樂章(十七年に罷める)

  • 迎神・中和之曲――穆やかな上帝は瑤宮に処る。爾の黎庶に資り、覆い憫れむことは窮まりない。旗と幢が到り、雲龍が委蛇と連なる。霖の沢が漙く降れば万宝は終わりを全うする。
  • 奠帛・肅和之曲――神が格ると思って文纁を奠る。盛んな楽が挙がり、香気は氤氳とする。精しい禋は熱く、紫の冥にまで徹する。懇ろに膏の沢を祈り、我が嘉い生育を渥くしたまえ。
  • 進爼・咸和之曲――百川は潤いを注ぎ、名山は雲を出す。日照りの過ぎるのが甚だしく、膏沢が屯まっている。天に年を祈り、牲を俎に載せる。神が格ると思って、甘い雨で報いたまえ。
  • 初獻・夀和之曲――厳かに祀を崇くし、日は吉く辰は良い。罍と洗を酌み、椒は馨しく黍稷は香ばしい。元の功は溥く済い、時の雨と時の晴れをもたらす。ひとえに神が聴きたまい、多くの実りで綏んじたまえ。
  • 亞獻・景和之曲――皇々たる禋祀はまことに恵み深く明らかである。仰ぎ瞻て歆けたまえと拝首して欽み承ける。醽の醴があり、清らかな酒がある。雲韶が献を佑け、粛やかに雍やかに和して鳴る。聖霊は赫々として、精誠を鑒みて享けたまえ。
  • 終獻・永和之曲――霊は倦むことなく承け、走り仕える者は容を正す。嘉い玉を陳べ、鬯を酌んで供える。礼は三たび称え、誠はひとすじに従う。物を備え志を致し、重ねて薦めていよいよ恭しい。神が昭らかに貺を垂れ、我が耕農を祐けたまえ。
  • 徹饌・凝和之曲――赫々たる旱と暵で民は労れ瘁れている。牲を捧げ醴を捧げ、舞い、詩を歌う。礼は三献を成し、敬んで撤するのに遅れない。神がこれを聴き、我らの公私の田に雨を降らせたまえ。
  • 送神・清和之曲――敬み清らかに導いて昊穹に昭らかに事える。甘い雨を仰ぎ祈り、我ら三農を恵みたまえ。すでに歆け格りたまい、太空に帰ると告げる。下土をあまねく霑せば万方はこれを同じくする。
  • 望燎・太和之曲――赤龍が馭を旋らせ、礼は洽く楽は成る。燔燎がすでに挙がって精しい禋が昭らかに格る。ひとえに帝が康を降し、雨を施し雲を行らせ、我らの黍と稌を実らせ、その明らかな恵みをあまねく受けさせたまえ。
  • 祭が畢わって楽舞の童が群がって歌う雲門之曲――□(底本欠字)龍の精が時に現れるのを測り、鶉の緯が宵に懸かるのを見る。広い楽を鏗鍧と張り、皇舞を蹁躚と列ねる。方と社に祈って怠らず、圭璧を薦めてまことに虔しい。密雲を六漠に需め、甘い雨を九元に沛がしめ、我ら農民を潤して慰め、明らかな昭しとして豊年を賜らんことを。

洪武元年太社稷異壇同壝樂章

  • 迎神・廣和之曲――五土の霊、百穀の英。国は土に依って寧く、民は食によって生きる。基図を建て始め、祀礼を修め明らかにする。神よ来り臨みたまえ、粛やかに恭しく迎える。
  • 奠幣・肅和之曲――国があり人があれば社稷は重い。昭らかに事える初めに玉帛を虔しみ奉る。幣物は珍奇ではないが、敬いをこめて奉る。これをもって礼とし、敬んで明祇に達せしめる。
  • 進爼・凝和之曲――高い壇は北に向かい、明らかな禋がここに開かれる。潔い犠牲があり、礼は物によって顕れる。大房を設けて中の情を展べる。□(底本欠字)運をすでに承け、神の貺はここに衍く及ぶ。
  • 初獻・夀和之曲――太社について。高いものは山林となり、深いものは川沢となる。崇い丘も広い衍も、原も隰もある。神が司るところ、百霊が職を効す。清らかな醴を初めて陳べれば、顒然として昭らかに格る。
  • 初獻・句龍配――水土を平治した万世の神功により、民は安んじ物は遂げて万世これを同じくする。恵みは窮まりなく、報祀は豊かにするのが宜しい。配食は尊く厳かで、国家の崇めるところである。
  • 初獻・太稷について――黍・稷・稲・粱・来・牟が祥を降す。民の天たるものである。豊年は穣々として、その功は甚だ大きく、その恩は甚だ長い。そこで芳しい斉を升らせて享り奉る。
  • 初獻・后稷配――皇々たる后稷はよく天に配される。嘉い種を降し、大田に樹え植えた。生民が粒食を得るのはその功で、万年に垂れる。壇を京に建てて、この吉く潔い祀を歆けたまえ。
  • 亞獻・豫和之曲、太社について――広く厚く偏りなく、その体は宏い。徳は坤の順に等しく、万物が生ずる。民に地の利を錫え、神の化が行われる。恭しく祀って虔しみを告げる、国の禎である。
  • 亞獻・句龍配――四方をあまねく覧て偉大な功業が昭らかに彰れる。九州はすでに平らぎ、五行は常を得た。壇位に妥んじて牲と醴を奉る。これを崇め厳かにすれば典章は煥然と輝く。
  • 亞獻・太稷について――億兆の民が林のように群れ、資るところは穀である。雨と晴れが時に応ずれば家は給し人は足り、倉庾は丘のように積まれる。神が多くの福を介けたまえ。敬んでその儀を薦め、昭らかに事えて粛やかである。
  • 亞獻・后稷配――みずから稼穡に勤め、助ける道があった。稂も莠も生えず、実は堅く好い。農事は国を開き、皇基は永く保たれて豊年がある。今より常に蘋藻を奉る。
  • 終獻・豫和之曲――詞は亞獻と同じ。
  • 徹豆・雍和之曲――礼はその勤めを展べ、楽はその節を奏する。庶々の品は苾く芬しく、神明に達する。厳かな執事が俎豆を撤する。穆々雍々として、ひとしく歓び悦ぶ。
  • 送神・安和之曲――壇は潔く清く、主は堅く貞しい。神の帰るところ、これに依って寧らかである。土宇は靖まり安く、年穀は順に成る。祀事は昭らかに明らかで、永く昇平を致す。
  • 望瘞・時和之曲――晨の光がすでに発ち、侑め歆けた。この牲と幣を瘞めて幽陰に達せしめる。神と人は和し悦び、まことに我が心を得た。永久の禋祀は今より始まる。

洪武十一年(1378年)合祭太社稷樂章

  • 迎神・廣和之曲――土と穀は造化の工と思う。民のために命を立てるゆえ報い崇めるべきである。民は歌い舞い、朝は雍々たり。筵を備え職を率いて迎えを待つ。聖の来られるとき祥風が生ずるのを想い、欽んで稽首して豊年を告げる。
  • 初獻・夀和之曲――氤氳の気が合して物は遂げ蒙る。民が命を立てるのは陰なる功を荷うゆえ。我は玉帛を奉じてわずかな誠を献じ、初めて醴を斟んで薦めれば民の福は洪い。
  • 亞獻・豫和之曲――楽舞を行わせて再び觴を捧げる。神が昭らかに格って軍と民が康らかであらんことを願う。必ずや穆々として霊は洋々たり。厚い恩に感じて祥光を拝する。
  • 終獻・熙和之曲――干と羽が飛び旋って酒は三たび行きわたる。香煙が燎を繞り、雲の旌は□(底本欠字)。我は今稽首して忻び、かつ惶れる。神の顔が悦べば霞の彩が彰れる。
  • 徹饌・雍和之曲――粗末な礼を陳べたが神は喜び受けた。琅然と絲竹が鳴り、楽舞は揚がる。願わくは祥が遠近あまねく降り、烝民も率土もことごとく安く康らかであらんことを。
  • 送神・安和之曲――氤氳として祥光が張る。龍車と鳳輦が飛び揚がる。遥かに瞻て稽首する、いずこへ去るのか。民の福が留まり、雨と晴れが時に順う。
  • 望瘞・時和之曲――殽羞を捧げて瘞の場へ詣る。鑾を鳴らし率いて舞えば声は鏗鏘たり。神が納れて民の福が昂まることを思い、我は今稽首して恩光に謝す。

嘉靖十年初立帝社稷樂章

  • 迎神・時和之曲――東風が吹いて地脈は融ける。まず稼穡の仕事に務める(割注――秋の祭では「金風が吹いて万宝は満ちる。稼穡の仕事の成るのを忻ぶ」とする)。ここ苑の中で神を祀る。来り格って我が心を慰めたまえ。
  • 初獻・夀和之曲――神が来り止まれば、清らかで醇い酒を礼として薦める。薄い幣が笥にあり、初献は式に遵う。神がこれを鑒みて、この藻蘋を享けたまえ。我らの祀とは何か、祈りと報いによる。神が祉を錫えれば我が民は豊かになる。
  • 亞獻・雍和之曲――二度目の觴を挙げてこの殷んな勤めを申べる。神が悦んで納れれば、祥の靄が氤氳と立つ。
  • 終獻・凝和之曲――礼が終わって酒は三たび行きわたる。黍・稷・粱の茂り実るのを喜ぶ。農事は豊かで康らかであることを待つ。我は稽首して望む。
  • 徹饌・保和之曲――祀事は終わりを告げ、三献はすでに周った。撤するのに遅れず、恵みが田疇に注ぐ。よき貺を迎えて、秋の実りに庇われる。
  • 送神・廣和之曲――耕し耨ることが第一である(割注――秋の祭では「耕し耨ることが成るのを告げる」とする)。力を尽くして豆と籩に事え、粢盛はこれに頼る。この大田で我は祀を行う。神よしばし留まりたまえ。願わくは嘉い祉を留めて我が潔く虔しい心に副い、粛やかに駕して雲を旋り、我らにあまねく豊年を与えたまえ。
  • 望瘞の曲は送神と同じ。

洪武二年分祀天神地祇樂章

  • 迎天神・中和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。太歳の尊神、雷・雨・風・雲、その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。奠帛より後はすべて朝日と同じ。
  • 迎地祇・中和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。地の祇、百霊が繽紛と連なる。嶽鎮・海瀆・山川・城隍、内は中国、外は四方に及ぶ。その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。
  • 奠帛より後はすべて朝日と同じ。

洪武六年(1373年)合祀天神地祇樂章

  • 迎神・保和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。太歳の尊神、雷・雨・風・雲、嶽鎮・海瀆・山川・城隍、内は中国、外は四方に及ぶ。その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。
  • 奠帛より後はすべて朝日と同じ。

嘉靖九年復分祀天神地祇樂章

  • 迎天神・保和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。□(底本欠字)雲・甘雨・風・雷の神、その霊は赫々として、功は生民に著しい。元の化を参賛し、蒼き仁を宣べ化す。ここに報祀して、この藻蘋を鑒みたまえ。
  • 奠帛より後はいずれも旧のとおり。
  • 迎地祇・保和之曲――吉日良辰に祀典を陳べる。霊なる嶽、方の鎮、海と瀆の神、京畿と四方の山沢の群れなす真。霊を育んで隅々を分かち、我が生民に福をもたらす。この享りと報いを薦める、我が恭み慎みを鑒みたまえ。
  • 奠帛より後もまた旧のとおり。

洪武四年(1371年)祀周天星辰樂章

  • 迎神・凝和之曲――星辰が象を垂れて元い穹に列なる。この吉日を択んで祀礼を崇くする。その霊は濯々として我が心を昭らかに鑒みる。謹んで候って迎えるので、どうか歆けたまえ。
  • 奠帛・保和之曲――詞は朝日と同じ。
  • 初獻・保和之曲――神がすでに留まれば品物を薦める。祀を奉ずる初めに醴酒を奠る。霊なる耀きを仰ぎ、享け歆けたまえ。何をもって觴を侑めようか、楽は八音を奏する。
  • 亞獻・中和之曲――神がすでに初めの献を享けたので、亞獻を再び升らせる。醴斉を酌んで神を仰ぎ鑒みる。洋々として上に在す。燕やかに安んじ、わずかな誠を表して神明と交わる。
  • 終獻・肅和之曲――神がすでに再びの献を享けたので、終わりの享りが備わる。厚くはない儀だがその意を奉る。この酒醴を薦めて常の祀を成す。神よ顧みて歆けたまえ、久しく楽しからんことを。
  • 徹豆・豫和之曲――祀事はすでに畢わり、神はすでに歆けた。この俎豆を撤して礼を成す。神は楽しみ忻び、始めと終わりに間断がない。楽の音が再び起こり、わずかな心が達することを期す。
  • 送神・雍和之曲――詞は朝日と同じ。
  • 望燎・雍和之曲――神がすでに祀を享け、霊なる馭が金のごとく旋る。燎の煙が升り、神への帛が焚かれる。巍々たる霄漢へたちまち適く。拳々たる我が衷は瞻み望んでも及ばない。

嘉靖八年(1529年)祀太嵗月將樂章

  • 迎神――吉日良辰に祀典を陳べる。国を輔け民を祐ける太歳の尊神、四時の月将、功曹の司る神。その霊は濯々として、その心は赫々たり。候って迎えれば、格り来たり歆けたまえ。
  • 奠帛より後はいずれも神祇の楽章と同じ。

洪武元年宗廟樂章

  • 迎神・太和之曲――慶びの源が祥を発し、世々の徳は崇い。それが我がささやかな身に及んで基を開き功を建てた。京都の中、親廟は東にある。我が子孫は永く祖の風を懐い、気も体も同じく、呼吸も相通ずる。格り来たり崇りたまえ、皇霊は顕らかに融ける。
  • 奉册寶(時享には用いない)――水に源があり木に根があるように、先世が善を積んで福が後の世に垂れた。册宝は玉に鏤み、徳は顕れ名は尊い。敬んで礼文を奉じ、洪き恩に仰ぎ答える。
  • 進俎(時享には用いない)――明々たる祖考よ、清らかな廟に神を妥んじ、牲牷を薦める。孝を尽くしたと言うのではなく、神明に通じ、治の効の成ることを願う。これが帝王の道であり、また祖考の教えでもある。
  • 初獻・夀和之曲(徳祖廟)――思うに皇なる髙祖は穆やかに深く元い。年を歴ることは久しくその神は天に在す。太室に尊く臨まれ、余慶は綿々と続く。几筵に歆けて、永くその伝えがあらんことを。
  • 初獻(懿祖廟)――思うに皇なる曽祖は清く勤め純朴で古風であった。田里に光を韜み、天はその祜を篤くした。我ら曽孫を祐けて広く土宇を開いた。遠きを追って虔しみを竭くし、先の規矩に遵うことに努める。
  • 初獻(熙祖廟)――我が皇祖はよき後嗣に謀を貽した。盛徳は霊しく長く、泗水と流れを同じくする。孫の枝に発して明らかな禋と酒を薦める。嘉い潤いは海のごとく、恩に何をもって酬いようか。
  • 初獻(仁祖廟)――我が皇考は淳くかつ仁であった。その身を耀かさず、まことに嗣ぐ人を開いた。子が天下を有てば尊は親に帰す。□(底本欠字)運は新たになり、そこには因るところがある。
  • 亞獻・豫和之曲――至って親しきものに対い、儼として生けるがごとし。その気は昭らかに明らかで、庭に感じ格る。その形を見るがごとく、その声を聞くがごとし。愛して敬うのは中心の情から発するものである。
  • 終獻・熙和之曲――先人の徳を承けて家を国に化した。予小子などと言うことはない。基となる命が績を成した。その徳に報いようとしても昊天は極まりない。懇ろに三たび献じて我が心は悦び懌ぶ。
  • 徹豆・雍和之曲――楽が奏されて粛やかに具わり、神は燕やかに嬉しむ。祖に成るを告げ、また皇妣が祐ける。敬んで撤するのに遅れず、祀礼を終える。祥光が煥やかに揚がり、嘉い祉を錫えたまえ。
  • 送神・安和之曲――顕らかにも幽かにも、神の運びに跡はない。鸞の馭は逍遥し、その適くところに安んじる。その霊は天に在り、その主は室に在る。子々孫々、孝思は倦むことがない。
  • 洪武二十一年(1388年)に改め定めた。初獻を合奏とし、他は同じである。その詞――思うに皇なる先祖は霊を天に耀かせた。源は衍かに慶びは流れ、髙祖から玄祖に及ぶ。玄孫が命を受け、その先を遠く追う。明らかな禋を世々崇め、億万年に及ぶ。
  • 永樂以後、迎神章の「致我𦕈躬」の句を「助我祖宗」と改め、また終獻章の初めの四句を「惟前人之功 肇膺天厯 延及於小子 爰受方國」と改めた。他は同じ。

嘉靖十五年(1536年)孟春九廟特享樂章

  • 太祖廟・迎神・太和之曲――皇なるかな、我が聖祖を仰ぐ。武にも文にも優れ、夷を攘って華を正し、天下の大君となった。古に比べて隆く、かの放勲(堯)を越える。王業を興し起こして子孫を祐け啓いた。功徳は超え抜き、大室は尊ばれる。まず春の祀を称えて誠敬を申べる。神は格ると思い、万世まで存するがごとし。
  • 太祖廟・初獻・夀和之曲――帛を篚に薦め、牲を俎に潔め、黍稷を嘉くし、清らかな酤を酌む。愚かな孫が祀を慎み、初めの献を挙げる。翼々たる精誠で我が皇祖に対える。居ながらに顧みて歆け、永く純い祜を錫えたまえ。
  • 太祖廟・亞獻・豫和之曲――籥の舞をすでに薦め、八音は洋々たり。工の歌は喤々と響き、醇い醴を羞める。斎み明らかにこれを奉る。永く子孫を祐け、歳ごとの事を承け、嗣ぎ続く者がよく承け、百世にこれを表さんことを。
  • 太祖廟・終獻・凝和之曲――三つの爵をすでに崇め、礼の秩は終わりを得た。満ち溢れて顒々と信じ、相い助けて粛やかに雍やかである。皇祖よ格りたまえ、繹き融け、窮まりなく重ねて錫えたまえ。臣民に及んで万福をともにせん。
  • 太祖廟・徹饌・豫和之曲――礼は畢わり楽は成り、神は悦び人は宜しきを得た。籩豆は静かに嘉く、敬んで撤するのに遅れない。穆々たる容、秩々たる儀。いよいよ敬んで厳かにする、どうしてここに倦むことがあろうか。
  • 太祖廟・還宫・安和之曲――皇なる我が祖は天に陟り降る。清らかな廟は翼々として、禋祀にまず虔しむ。明らかな神がすでに留まり、寝に静かに深く祐ける。大いなる福と綏らかな禄、錫と蔭は綿々と続く。我が家邦を恵んで万年に及ばんことを。
  • 成祖廟・迎神・太和之曲――思うに文皇は重ねて光を宣べた。内難を戡めるに充ちて、神のごとく乾を転じ旋らせた。外は百蛮を讋えさせ、威は八埏に行われた。典と則を子孫に貽して忘れず過たない。聖徳と神功は皇天に格る。廟を作ること奕々として、百世不遷とする。祀事はまことに明らかで、億万年に及ぶ。
  • 成祖廟の初獻・亞獻・終獻・徹饌・還宫は、いずれも太祖廟と同じ。
  • 仁宗廟・迎神・太和之曲――明々たる我が祖は盛徳が天のごとく成った。至れる治と大いなる謨は、遂に駿しい声誉があった。専ら奠って享を致すのは、ひとえに古の経に則るゆえ。春の祀は厳かで、それによって聖霊を迎える。ひとえに庭に陟り降って、我が思い成すところを賚えたまえ。
  • 仁宗廟・初獻・夀和之曲――幣と牲を陳べ、金と石を懸ける。清らかな酒を献じ、百執事は虔しい。明らかな神は洋々として、天より降り歆ける。我が孝思を助け、徳音は天より来る。
  • 仁宗廟・亞獻・豫和之曲――中なる誠がまさに殷んで、明らかな神は存するがごとし。醴斉はまことに醇く、再び罍と尊を挙げる。福禄は穣々として、助け至る。遠きを追って報い酬いる、極まりない恩に。
  • 仁宗廟・終獻・寕和之曲――楽は声歌に比し、佾の舞は婆娑と翻る。玉の爵を称え、酒は旨くかつ多い。献享はここに終わり、神は聴いて和する。孝孫は位に在って、受ける福は多い。
  • 仁宗廟・徹饌・雍和之曲――牷と牲は俎に在り、稷と黍は簠に在る。孝しく享って儀は多く、我が皇祖に格る。歌を称えて撤し進める。髦士は膴々として、孝孫は福を受け、下土に敷き錫える。
  • 仁宗廟・還宫・安和之曲――犆享はまことに明らかで、物は備わり礼は成った。天に昭らかに在して、聴かれぬことはない。神明はここに安んじ、ひとえに華やかな寝に憑る。祀を始めて今に至り、百世敬んで承ける。
  • 宣廟(宣宗)・英廟(英宗)・顯廟(憲宗)はいずれも仁廟と同じ。
  • 孝廟(孝宗)・迎神・太和之曲――列祖が統を垂れ、景運は重ねて熙やかである。思うに孝皇は敬徳をまことに持し、大いなる烈を光らせ、かの烝黎を化した。専らの廟で享るのは経礼に適う。俎豆を陳べれば、どうか来り思われんことを。
  • 孝廟・初獻・壽和之曲――粢盛はまことに潔く、牲牷は肥え太る。鼓を考てば淵々と鳴り、万の舞は躚々と翻る。清らかな醑を初めて酌み、天に在すものに対える。明らかな神は居ながらに歆け、その虔しみを昭らかにする。
  • 孝廟・亞獻・豫和之曲――祀事はまことに勤しく、精しい意は分かれない。楽は鳳の儀に感じ、礼は虔しく走り仕える。醖斉から清らかなものを挹み、瑤の尊に奠る。神は格ると思い、福禄が来り至らんことを。
  • 孝廟・終獻・寧和之曲――楽舞はすでに成り、献享はここに終わる。明々と対え、いよいよ恭しさを篤くする。篤く恭しいとは何か。明徳を崇めることである。神がこれを聴き、万福が来り同じくせん。
  • 孝廟・徹饌・雍和之曲――牲と牢と醴を陳べ、享り奉る。黍稷と蘋藻は潔く白く馨しい。撤して成るを告げ、禧を降すこと穣々たり。神が錫えること疆りなく、我が万方を祐けたまえ。
  • 孝廟・還宫・安和之曲――礼享はすでに洽く、神の御はここに興つ。廟寝は煌々として、これに憑り安んじる。ひとえに神は遠からず、上下ともに庭に在す。寝にあってまことに安く、永く我が烝民の生を安んじたまえ。
  • 武廟(武宗)・迎神――列祖が統を垂れ、景運は重ねて熙やかである。思うに武皇は徳を昭らかにし威を敕し、それによって奸兇を剪り除き、大業を隳さなかった。専らの廟で享るのは経礼に適う。俎豆を陳べれば、どうか来り思われんことを。
  • 武廟の初獻・亞獻・終獻および徹饌・還宫は、いずれも孝廟と同じ。
  • 睿廟(睿宗=獻皇帝)・迎神・太和之曲――穆やかな神なる皇は徳を秉り道を凝らした。仁厚を積み累ねて穹昊に配される。慶びを流し休みを顕して、ささやかな我が身に萃まる。窮まりなく施し、似ぎ続けて、我が皇宗を光らせ紹ぐ。この気の始まる時に俎豆を供える。その典礼に循い、敬み崇める。神よ至り止まり、愚かな衷を鑒みたまえ。
  • 睿廟・初獻・夀和之曲――制帛と牲牢、庶々の羞は芬しく膫る。玉の戚と朱の干は韶と簫に協う。清らかな醑が筵にあり、中なる情は纏綿する。神は格ると思い、その儀容は僾然と見える。
  • 睿廟・亞獻・豫和之曲――瑤の爵を陳べ、工の歌で侑める。籥の舞は蹌々と翻り、八音は諧い和する。孝思は肫々として、誠が感じ格る。慤を致せば存し、その声を聞くがごとし。
  • 睿廟・終獻・寧和之曲――儀式は踰えず、爵を奠ること三たび。楽舞は雍容として、雅にも南にも適う。仁の源と徳の沢を仰げば、嶽のごとく崇く海のごとく淵い。願わくは我が子孫を啓き、緝き熙やかに光り明らかにして、両儀に参ぜんことを。
  • 睿廟・徹饌・雍和之曲――嘉い饌は甘く、すでに歆けられた。登歌のうちに速やかに撤し、終わりを敬んで始めを全うする。ひとえに神はまことに昭らかで、賚えは永く孝に成る。
  • 睿廟・還宫・安和之曲――幽と顕は測りがたく、神は方所がない。祀事がすでに成れば神は帝郷へ返る。重ねての祭に休みと祥があり、嗣ぐ者を蔭って蕃り昌えさせる。君たるに宜しく王たるに宜しく、世を歴て疆りない。

九廟時祫樂章

  • 孟夏・迎神・太和之曲――序は夏の首に届いて風気は薫る。礼は厳かに時祫を行い、鐘と鼖を打ち鳴らす。群主を迎えて合わせ享り、交々に歓ぶ。皇なる列聖よ、正しく南面して、崇い報いと皇なる勲を申べる。
  • 孟夏・初獻・夀和之曲――曙の色がまさに明ける頃を瞻て、上に在す列聖を仰ぐ。金の觥を奠り、紋のある幣を捧げる。小さき孫は満ちた盃を執って、どうして懼れ慎まずにいられようか。
  • 孟夏・亞獻・豫和之曲――皇祖を思い、聖神を仰ぐ。列なる主が来って太宸に会する。時祫は古い倫に循って修める。ひとえに聖が愚かな孫の真心を鑒みて歆けたまえ。
  • 孟夏・終獻・寧和之曲――斉と醴は清く、麦は新たに熟した。籩と豆は潔く、孝の念を申べる。祖の功を仰ぎ、宗の徳を仰ぐ。後の人に祐けを降したまえ。
  • 孟夏・徹饌・雍和之曲――楽が終わり礼が成るのを告げる。玉が振るい、金の声が訖わる。撤するのに違わず、精誠を粛やかにする。
  • 孟夏・還宫・安和之曲――三献が済んで祖宗が鑒み享けた。ひとすじの誠を露わにして念いは長い。思いは尽きず、思いは忘れがたい。徳沢の啓き祐けるところを深く荷い、小さき孫はその余光に頼る。神が宮に返って永く安んじ、家国を保って益々昌えんことを。
  • 孟秋・迎神――時は孟秋、火星が西に流れる。時に感じて祀を慎めば、爽やかな気が回る。金風が飄って来るのを喜び、祖宗を仰いで永く慕う。秋の祫をここに挙げるので、どうか鑒み歆けたまえ。小さき孫が恭しく迎え、素朴な供えを捧げる。
  • 孟秋・初獻――皇祖が筵に降り、列聖の霊が連なる。執事は躓くのを恐れ、楽舞は蹁躚と翻る。小さき孫が満ちた盃を捧げて、どうして虔しまずにいられようか。
  • 孟秋・亞獻――再び玉のような漿を酌む。潔く浄く馨しい。祖宗が享けて、まことの昌えを錫えたまえ。万歳この礼が行われんことを。
  • 孟秋・終獻――酒を三たび觥に進め、歌と舞は雍やかに韺やかである。鐘と鼓が轟き錚と鳴る。皇祖と列聖よ、永く愚かな誠を享けたまえ。
  • 孟秋・徹饌――秋の嘗をここに挙げ、稌と黍は農に豊かである。三献はすでに周り、聖霊は容を顕した。小さき孫は時に思い、恩徳をひとえに□(底本欠字)。
  • 孟秋・還宫――皇祖を仰げば聖なる神の功。祀典を陳べて報いるが窮まりない。嘗の祫は竣わりを告げ、鸞の馭が宮に旋る。皇霊は天に在り、主は室に在る。万世に陟り降って、どうして終わりがあろうか。
  • 孟冬・迎神――時は孟冬、凛として凄い。時に感じて祀を慎めば、気は潜かに回る。朔風が北から来るのを遡り、祖宗を仰いで永く慕う。冬の祫をここに挙げるので、どうか鑒み歆けたまえ。小さき孫が恭しく迎え、素朴な供えを捧げる。
  • 孟冬の初獻・亞獻・終獻はいずれも孟秋と同じ。
  • 孟冬・徹饌――冬の烝をここに挙げ、俎豆はひとえに豊かである。三献はすでに周り、霊なる聖は容を顕した。小さき孫は時に思い、恩徳をひとえに□(底本欠字)。
  • 孟冬・還宫――孟秋と同じで、ただ「嘗祫」を「烝祫」に改める。

大祫樂章

  • 迎神――慶びの源を仰げば大いに祥を発し、世々の徳はひとえに深く長い。時はまさに歳の暮れ、大祫を洪く張る。祖宗の聖なる神は明々皇々たり。遥かに瞻て頓首する。世々の徳をどうして忘れようか。
  • 初獻――神が格れば我が思いは慰められる。思いが慰められて玉の巵を捧げる。御前に捧げ来って慄々とする。歆けて納れられれば幸いである。
  • 亞獻――再び瑤の漿を挙げ、楽舞が群がり張る。小さき孫は位に在り、賢良が陪り助ける。百工が羅なり従い、大礼を粛やかに奉る。ひとえに我が祖宗が我が恩光を顕したまえ。
  • 終獻――祖の功を思えば深く長く、宗の徳を景仰すれば馨しい。歳ごとの事の成るのを報いるのは、先王の典則である。ひとえに功徳に報いようがないのを、どう量ろうか。
  • 徹饌――三度の酌がすでに終わり、ひとすじの誠が感じ通じた。聖霊が居ながらに歆けるのを仰ぐ。万世これを挙げるのが、酬い報いる心にかなうであろう。
  • 還宫――顕らかにも幽かにも、神の運びに跡はない。跡がなく化は方所がない。霊は天に返り、主は室に返る。願わくは神功と聖徳が終わりなく啓き祐けたまえ。玄孫が拝し送って、謝しかつ祈る。

大楴樂章(大禘の誤りか)

  • 迎神・元和之曲――思うに皇祖は大いなる基を創め肇めた。祥を鍾めるのには由来があり、まず先んずるところがあった。奄かに万方を有ち、これに君となり師となった。追い報いるのは隆くするのが宜しく、それによって孝思を申べる。瞻み望んで稽首し、我らに休みと禧を介けたまえ。
  • 初獻・夀和之曲――木に本があり水に源がある。人は祖に本づき、物は天に本づく。徳に報いようと思えば礼より先なるものはない。仰ぎ鑒みられんことを願い、どうして虔しまずにいられようか。
  • 亞獻・仁和之曲――中の觴をここに升らせ、この瑤の觥に注ぐ。小さき孫が御前に奉り、その誠を歆けたまえと願う。楽は列に在り、庶々の職は庭に在る。祖の鑒みはまことに昭らかで、祐けを錫えて享けたまえ。
  • 終獻・徳和之曲――思うに先祖は慶びを延べて深く髙い。追い報いるのにどうして能く尽くせようか。三たび香しい醪を進める。
  • 徹饌・太和之曲――豆と籩は芬しく、黍と稷は潔い。祖が歆け享けたのだから、撤するのにどうして違おうか。礼は備わったと告げ、辞を陳べ終える。永く後の人を裕かにし、億世まで大いならんことを。
  • 送神・永和之曲――禘の祀はことごとく張られ、佳い気は鬱として昂ぶる。皇霊が錫え納れて喜び受ける。ひとすじの誠が通じて万載まで昌えん。鑒みと祐けを祈り、天下が康らかであらんことを。仁の源と浩い徳を仰いで、どう量ろうか。小さき孫は頓首して望む。遥かに瞻れば冉々として、聖霊は皇々たり。

洪武七年(1374年)御製祀厯代帝王樂

  • 迎神・雍和之曲――聖なる容を仰ぎ瞻る。鑾輿が影のように従うのを想う。雲の衢を降って前後に来り、わずかな誠を俯して鑒みたまえ。聖の臨まれるのを荷えば蒼生に崇いものがある。諸帝を眷みてここに臨みたまえ。我は頓首して幸いに蒙る。
  • 奠帛・和均之曲――わずかな真心を秉って聖なる功を動かす。来って殿庭に列坐したまえ。我は今その勤めを効そうと願い、礼帛を奉じて酒尊を列ねる。我が情を鑒みて忻んで享けられ、しかるのちに雲の道へ駕を旋らせたまえ。
  • 初獻・保和之曲――酒が行きわたって爵は満ち、喜びの気は雍々たり。重ねて蒙りを荷い、瞻み崇める。群臣は忻んで躍り従う。穆々たる聖なる容を覩ることを願う。
  • 亞獻・中和之曲――酒を斟んで礼は明らかである。諸帝は熙やかに和して情を悦ばせる。百職は奔り走って庭に満ちる。籩と豆を幾重にも陳べ、亞獻の成らんことを願う。
  • 終獻・肅和之曲――酒を献じて終わりに至れば、早くも雲の鸞を整えて宮へ旋ろうとする。我が心は神聖を眷い恋い、攀じ留めようにも由がない。雲の衢を躡んで緩やかに行き、遥かに瞻て九重に達することを得たい。
  • 徹饌・凝和之曲――殽羞を納れて陳べ終えた。烝民は楽しみ、生きる幸いを得ている。何をもって崇く報いようか。ひとえに歳ごとに瞻み迎えるのみ。
  • 送神・夀和之曲――旛と幢が繞って来る跡を導く。鑾輿は冉々として天宮に帰る。五色の雲が擁き、祥風が従う。民は聖の祐けを歌い、豊年を楽しむ。
  • 望燎・豫和之曲――神の機は測りがたく、造化は工である。珍しい羞と礼の帛を火の中に薦める。瘞の庭を望んで稽首し、神がわずかな衷を鑒みられんことを願う。

洪武六年定配先師孔子樂章

  • 迎神・咸和之曲――大いなるかな宣聖、道徳は尊く崇い。王の化を維持し、この民が宗とする。典祀には常があり、精しく純いことはいよいよ隆い。神よ来り格りたまえ、昭らかな聖なる容よ。
  • 奠帛・寧和之曲――生民が生まれて以来、誰がその盛んなるを極めたか。ひとえに王(のち「師」と改めた)は神のごとく明らかで、前の聖を度り越える。粢と帛を陳べ、礼の容はこれに称う。黍稷は馨しく、ひとえに神が聴きたまえ。
  • 初獻・安和之曲――大いなるかな聖なる王、実に天が徳を生んだ。楽を作って崇め、時の祀に倦むことがない。清らかな酤は馨しく、嘉い牲はまことに大きい。羞を薦めて神明に献じ、どうか昭らかに格りたまえ。
  • 亞獻・終獻・景和之曲――百王の宗師、生民の物の軌である。これを瞻れば洋々として、神はここに寧んじる。かの金の罍を酌めば、清くかつ旨い。献ずること三たび、ああ礼は成った。
  • 徹饌・咸和之曲――犠と象は前に在り、豆と籩は列に在る。享り薦めて、芬しくかつ潔い。礼は成り楽は備わり、人は和し神は悦ぶ。祭れば福を受ける。これに率い遵って越えることがない。
  • 送神・咸和之曲――厳かな学宮に四方から宗とする者が来る。恪しく恭しく祀事に仕え、威儀は雍々たり。歆け格るのはただ馨しさによる。神の馭が旋り復れば、明らかな禋はここに畢わり、みな百福を膺ける。

洪武二年享先農樂章

  • 迎神・永和之曲――東風が蟄を啓き、地脈は奮い立つ。蒼龍が角を掛け、天田は煜々と輝く。民の命はただ食にあり、物を創めたものが先にある。圜鍾がすでに奏されれば、この筵に降りたまえ。
  • 奠帛・永和之曲――帝は震から出て、天は農の祥を発する。神が筵に降れば藹々洋々たり。神を礼するには帛があり、その色はただ蒼である。どうして物を具えるためだけであろうか、誠敬をこれに奉るのである。
  • 進爼・雍和之曲――制帛はすでに陳べられ、礼は厳かに牲を奉ずる。これを俎に載せれば祀事はまことに明らかである。簠と簋を列ね、黍稷は馨しい。民の力があまねく存するのは、先に穡を教えた霊のおかげである。
  • 初獻・壽和之曲――九穀がまだ分かれず、庶草と同じであったころ、これを表して嘉い種としたのは実に先農である。黍と稌はここに豊かで、酒と醴を供える。奠を献ずる初めに感通を祈る。
  • 初獻・配位(后稷)――そもそも生民の粒食はその天である。物を開いたのは智に依るが、遠い古のことは伝えようがない。思えば文なる后稷こそ農官の先である。神を侑めて主とし、初献はひとえに潔い。
  • 亞獻・壽和之曲――かの広い甫田は、隰も原もある。耒と耜を載せ、驂と馭の間にある。本に報いて享ることを思い、亞獻はひとえに虔しい。神がこれを歆けて、古よりの豊年があらんことを。
  • 亞獻・配位(后稷)――后稷は天に配され、有邰に興った。嘉い種を降し、栽え培った。南畝に事を始め、敬んで三たび耒を推す。神を祐けて再び献じ、我が尊と罍を歆けたまえ。
  • 終獻・夀和之曲――帝耤の典は享祀の資るところである。潔く豊かで嘉く堅い供えを、みなここに仰ぐ。時に親耕を行い、我が農師を享る。礼は三たびで成り、陳べる辞を終える。
  • 終獻・配位(后稷)――嘉い徳の薦めによって民は和し歳は豊かである。帝の命は率い育て、本に報いる功がある。常を陳べ夏を時とし、その徳その功は斉しい。民が格るところがあり、ひとえに献の終わりである。
  • 徹饌・雍和之曲――赫々たる先農よ、この潔い修めを歆けたまえ。篚に、爵に、饌に、羞に。礼が成って撤するを告げる。神の恵みをあえて留めない。餕は畝を終えるまで及び、豊年をこれに求める。
  • 送神・永和之曲――神は在らぬところがなく、天に昭らかである。迎えるといい送るというのも、享りの筵においてである。冕と衣は列に在り、金と石は懸に在る。往いて至らぬところなく、その佩は翩々と翻る。
  • 望瘞・太和之曲――祝と帛、牲と醴を先農はすでに歆けた。留めず汚さず、これを厚く深く瘞める。幽かに瘞めれば赫々と臨まれる。これが礼の常であって、今に始まったことではない。

嘉靖九年定享先蠶樂章

  • 迎神・貞和之曲――穆やかな神は蚕と桑を肇め啓いた。我が万民に衣を着せ、我が家邦を保つ。ここに稀なる儀を挙げる。春の日はまさに陽ざしを載せ、恭しく霞の馭を迎えれば霊気は洋々たり。
  • 奠帛・夀和之曲――神が臨むと、苾しく芬しい香りが立つ。玉の齍を献じ、文なる纁を奠る。昭らかな鑒みを仰ぎ祈れば、淑やかな気が氤氳とする。この蚕婦たちを顧みたまえ、祁々として雲のように連なる。
  • 初獻の曲は奠帛と同じ。
  • 亞獻・順和之曲――清らかな觴を挙げれば蚕の祀はまことに明らかである。格り享け、瑟を鼓し笙を吹く。陰の教えがこれによって彰れ、坤の儀はまことに貞しい。神がこれを聴き、この禋の誠を鑒みたまえ。
  • 終獻・寧和之曲――神がこれを聴きたまえ、桑の土はここに宜しい。三たび繰り七たび就して、この繭の糸を得た。献の礼は終わりを得た。神が我を遺てず、我に純い服を錫え、藻と繪の皇なる儀を賜らんことを。
  • 徹饌・安和之曲――俎豆をことごとく撤し、礼を式として過たない。すでに匡し、すでに敕して、我が祀はまことに虔しい。我は古人を思い、葛覃の賢を思う。明らかな霊が歆けて、永く桑の畦を顧みたまえ。
  • 送神・恒和之曲――神が升れば日は霽れ霞は蒸る。この女の紅を助け、杼と柚がここに興る。元い宮に返り、鸞と鳳が翔り騰る。瞻み望んでも及ばない。永く嘉い徴を錫えたまえ。
  • 望燎の曲は送神と同じ。