民國演義第六十二回 宴に侍り封を乞い両姨寵を争い、軽装にて劇を観れば万目花を評す (侍宴乞封兩姨爭寵 輕裝觀劇萬目評花)

川南方面の護国軍進撃

  • 黔軍司令戴戡は重慶方面へ、滇軍総司令蔡鍔は永寧へ進出する。四川第二師長劉存厚は将軍陳宦の命で永寧を守るが滇軍に押されて撤退、蔡鍔の勧めに応じて護国軍四川総司令を称し独立を通電、袁の内政・外交の失政と帝制強行を非難する。
  • 馮玉祥率いる袁軍が瀘州方面で劉存厚軍に敗れ、蔡鍔配下の援軍と合流した劉軍が瀘州を占領し、川南一帯が護国軍側につく。

妃嬪たちの封号争い

  • 袁世凱は登極延期に焦りつつ寵妃たちと酒宴を開く。洪姨・周姨(憶秦楼)は封妃を求めるが、袁は「子を生んだ者を妃、生んでいない者を貴人とする」と発言し、子のない周姨は落胆する。
  • 十四姨(香姨)・十五姨(翠媛、洪姨の姪)も加わり、洪姨と激しい口論となるが、袁が仲裁して収拾する。
  • 香姨(元は婢女で衛士との醜聞が伝わったが、子を得て寵愛を保った)、翠媛(洪姨の紹介で入侍したが、皇子との醜聞を洪姨に流布された)の裏事情も語られる。

周姨への内訓大綱

  • 落胆する周姨を見た袁世凱は彼女の部屋で慰め、将来の相続や後宮統制に関する「内訓大綱」四箇条(母后の摂政禁止、儲君は密建法による、皇子は封王・参政禁止で財貨のみ与える、外戚の要職就任禁止)を書き与える。
  • 大公子克定はこれに不満を示すが、袁に諭されて黙る。

周姨の観劇事件

  • 女官長安静生の誘いで、周姨は変装して同楽園に赴き梅蘭芳の芝居を観劇、大枚を投じて梅蘭芳に祝儀を与える。しかし正体が見物客に見破られ新聞にまで報じられ、袁世凱の知るところとなる。

評語

  • 著者は、川湘の戦況が緊迫する中に宮中の艶聞を挟む筆致の妙を評しつつ、この回の主眼は洪姨・周姨の寵愛争いにあるとし、狡猾な洪姨とそれに知略で対抗する周姨が老袁を手玉に取る様を描く。もし袁が真に皇帝となっていれば後宮の争いはさらに深刻化し、袁氏の破滅を招いただろうと結ぶ。