民國演義第六十回 秘謀を泄らし売国使を拒絶し、密書を得て炸弾案を発生す (泄秘謀拒絕賣國使 得密書發生炸彈案)
周自齊の使命と日置益の翻意
- 周自齊は、帝制承認と引き換えに日本へ利権を譲る密勅(吉林割譲、奉天司法権、津浦鉄路北段割譲、天津・山東沿海権、財政顧問招聘、軍事教官招聘、兵器工場の中日合弁という七条件)を携え、特命全権として渡日する予定だった。
- 出発直前、日本公使日置益から「大隈内閣は事情により専使の来訪を延期してほしい」との照会が届き、袁世凱は困惑する。
- 陸徴祥は日露協約交渉中であること、大隈が狙撃されたこと、大隈内閣内の対袁賛否の分裂など諸説を挙げるが、袁は釈然としない。
- 日置益を呼び出すと、彼は「秘密の約定が英・仏など五国に漏れており、我が政府はもはや協力できない」と告げ、周自齊の渡日中止を通告して立ち去る。
密約漏洩の真相
- 実は密約はフランス公使康悌の探索により露見していた。公使館の中国人職員方璟生が、袁の側近である内史沈祖憲・内尉勾克明(袁邸の乳母の子で、寵愛されていた)を酒宴に誘い、金銭に釣られた両名から密約の写しを引き出させた。
- 方璟生は謝礼十万元を三人で分配し、これをフランス公使に渡して数十万の報酬を得た。
- フランス公使は英・米・露・伊の四公使に通報し、五カ国は日本に抗議。狙撃事件で動揺していた大隈内閣はこの抗議を受けて方針を転換し、密約を否認、専使の来訪拒否を決めた。
段芝貴の急報と炸弾事件
- 段芝貴が、袁乃寛の息子・袁瑛が奉天将軍張作霖に討袁の挙兵を呼びかける密書を持参し、袁世凱に報告する。袁は激怒して乃寛を叱責するが、乃寛は関与を否定し必死に許しを乞う。
- 袁瑛はかねて共和を志し、父とは異なる立場を隠して宮中に出入りしていた。各省への檄文発送や模範軍への内応工作を進めていたが、密書が張作霖の手で段芝貴に届けられたため計画は露見する。
- 新華宮内を捜索すると、地中に埋められた鉄皮製の爆弾が多数発見され、宮中は騒然となる。
- 翌日、天津から袁世凱宛てに、袁瑛が帝制反対と暗殺未遂の意図を明かし、退位・帝制取消しを迫る書簡が届く。
- 袁瑛はまもなく天津警察に拘束され、京へ送還される。
評語
- 著者は、袁世凱が国民や部下を欺いてきた報いとして沈祖憲・勾克明にも同じ手で欺かれたと評し、袁乃寛は保身に走る小人、袁瑛はなお大義を知る者として、乃寛より瑛を評価すると述べる。