高士傳卷一 王倪
経歴
- 王倪は堯の時代の賢人で、被衣を師とした。嚙缺もまた王倪に学び、道を尋ねた。
嚙缺との問答
- 嚙缺が「物事に万人共通の是非があるか」と問うと、王倪は「私にどうして分かろうか」と繰り返し答えた。人の住処・食べ物・美醜の好みが人・獣・魚でまったく異なる例を挙げ、知・不知の判断そのものが立場によって異なることを示した。
- 王倪は「仁義や是非の基準は入り乱れており、私にその見分けはつかない」と語った。
- 嚙缺が「利害も分からないなら、至人も利害を知らないのか」と重ねて問うと、王倪は「至人は神のごとき存在で、大沢が燃えても熱がらず、大河が凍っても寒がらず、雷が山を裂き風が海を震わせても驚かず、雲に乗り日月に跨って四海の外に遊び、生死にも心を動かされない。まして利害などにおいてをや」と答えた。