間書宋の張斉賢――契丹を欺いた偽の援軍
張齊賢が契丹に対して用間を行った話。
『宋史』にいう。張齊賢は代州の知事となったが、契丹が侵入してきた。齊賢は使者を送り、潘美に并州の軍を率いて会戦に来るよう約束させたが、その使者は契丹に捕らえられてしまった。まもなく潘美からの使者が到着し、「軍を出して柏井まで至ったところで密詔を受け、出戦を禁じられたので、すでに州に引き返しました」と告げた。齊賢は言った、「敵は潘美の軍が来ることは知っているが、退いたことは知らない」と。そこで夜、兵二百人を出動させ、旗一本を持たせ、薪の束を一つずつ背負わせて、州の西南三十里の地点に並べて薪に火をつけさせた。契丹の兵は遠くに火影の中に旗が見えるのを望み、并州の軍が到着したと思い込み、驚いて逃げ散った。齊賢はあらかじめ兵二千を上鐙砦に伏せておき、これを襲って大いに破った。
按ずるに、張齊賢が捕らえられた使者を利用したことと、韓世忠が魏良臣を利用したこととは、いずれも勢いを借りて反間を行ったものである。事情は異なるが、その仕組みは同じである。いずれも機に応じて変化させる巧みさに優れている。