間書岳飛と曹成の間諜
岳飛と曹成の間諜。
『宋史』にいう。岳飛は詔を奉じて嶺表の賊を招撫したが、曹成はこれに従わなかった。そこで上奏して言った。「群盗はもとより、力が強ければほしいままに暴れ、力が尽きれば招撫に応じるものです。もし多少なりとも剿討を加えずに、にわかに招撫を議しても、うまくはいかないでしょう」。そこで兵を率いて賊地に入った。賀州の境において、曹成の間諜を捕らえ、これを陣中に縛りつけた。岳飛が陣を出て兵糧を調べていると、役人が「糧食が尽きました。どういたしましょうか」と告げた。岳飛はわざと「しばらく茶陵に引き返そう」と言った。そうしてから間諜を顧み、いかにも落胆したふうを装って足を踏み鳴らしながら中に入り、ひそかに命じてこの間諜を逃がしてやった。岳飛は、間諜が帰って曹成に告げれば、必ず追撃してくるだろうと見込み、すぐに命じて食事を用意させ、ひそかに嶺を回り込んで進んだ。夜明け前にはすでに賊の砦に迫っており、不意を突いて驚かせて叫んだ。「嶽家の兵がやって来たぞ」。岳飛はその機に乗じて攻め、賊は大いに潰えた。これより連戦連勝して険しい要害を次々に奪い、賊は窮した。岳飛はそこで言った。「今こそ招撫の令を行うことができる」。
按ずるに、反間を用いなければ勝つことはできず、勝たなければ賊は窮しない。窮しないままに招撫すれば、今日招撫しても明日にはまた叛くことになる。