間書宋の麟州の軍士の用間――戎人を用いて泥で欺く

『東軒筆録』にいう。麟州は黄河の外側に拠って西夏の要衝を扼していたが、城中には井戸がなかった。慶暦年間、ある戎人が元昊に言った。「(麟州には井戸がありません。)これを半月包囲すれば、たちまち兵士も民も渇き死にするでしょう。」元昊は兵をもってこれを数日包囲したが(囲みを解かず)、城中は大いに窮した。ある軍士が策を献じ、「(あちらの包囲は解けず、必ず水が無いことで我らを追い詰めようとしています。今、)溝の泥を取り、人を高い所に登らせて泥を(積んだ)草の上に塗りつけて(敵に見せましょう)」と言った。州の将はこれに従った。元昊はこれを遠望し、急いで先に策を献じた戎人に語って言った、「お前は井戸が無いと言っていたが、今や泥があるではないか。(どういうことだ。)」と。そのまま(その戎人を)斬って囲みを解いて去った。

これらはみな、死間を用いることに巧みであった例である。