十国春秋卷七十六 楚十 列傳 僧虚中

詩をもって世に伝わる

  • 僧虚中は宜春の人である。瀟湘山(一に玉笥山に居るに作る)に遊び、沙門の斉己・尚顔・栖蟾らの徒と詩友となった。その後、湘西の栗成寺に住み、王子希振と情好はなはだ篤かった。希振は虚中を迎えて詩閣に入れた。
  • 虚中は火を焚くことを好み、そのたびに煙が閣のあたりの彩色や翠色を燻したが、希振はさらに髹雘(漆と彩色)を施し、忤(さから)うこととはしなかった。かつて希振の池亭に多くの佳句を題し、希振は大いに称賞した。
  • また時々司空図に詩を贈り、図もまた推重した。「碧雲詩」一巻を著して世に伝わる。同時代の湘南の僧、文喜・乾康もまた詩をもって名があった。文喜の「失鶴詩」、乾康の「詠雪詩」はいずれも湖南で大いに伝えられた。